
藤沢市に生産工場の本拠地を構えるいすゞ自動車が、この春にいすゞの歴史やクルマづくりが見学できる「
いすゞプラザ」をオープンさせました。
というワケでさっそくネットで事前予約をして、お勉強がてら息子くんと行ってきました。
入り口を入ってすぐに、いすゞ自動車の前身「東京石川島造船所」が、大正時代にイギリスのウーズレー社の「CP型」をND(ノックダウン生産)していたトラックがお出迎えしてくれます。
このいすゞ第一号トラックは長らく東京のいすゞ本社を構える大森ベルポート内に動態保存していましたが、この開館に合わせていすゞプラザへ引っ越してきました。
ちなみに本社がある大森もかつては、ヒルマン ミンクスをND生産していた工場跡地がその後ベルポートとなった歴史ある場所でもあります。
館内にはいすゞと藤沢市のあゆみが年代ごとにパネルで解説してあって、知らないことがたくさんあり、これだけでもかなり見入ってしまいます。
藤沢工場の今昔がとても分かりやすく解説してあって、この画像は1962年に藤沢工場が作られた当時の写真になります。当時は周辺にはまだまだ何もなく、今ほど道路も整備されていない様子がわかります。
そんなのどかな時代だったので、以前、その当時を知る方からテストコースは塀などなく、有刺鉄線だけだったから外から丸見えでベレットなどの試作車が走る姿が見られたと聞いたことがあります。
そして現在…。いすゞの工場ができたことを皮切りに桐原工業団地が造成され、この一帯は工場地帯へと変わりました。
いすゞの工場自身もこの50年ほどで大幅に変わり、乗用車の開発、生産から撤退、テストコースは他社に売却され、工場西側には藤沢市から綾瀬市へ抜ける県道43号線が開通したため、敷地は多少狭くなっています。
ただ、当初と比べて規模はかなり縮小されたかのように思えますが、画像を見る限り昔と比べてもそれほど変わってないように感じます。
余談ですが、乗用車生産から撤退する間際になった1990年代に入っても、ここのテストコースでは開発車両が走行していたわけですが、流石に有刺鉄線ではなくコンクリート製の壁になっていたけれど、とても薄くて低く隣接する住宅へは走行音が普通に聞こえていました(笑)。
決して高くない壁をよじ登れば簡単にテストコースを覗く事ができ、スクープカメラマンは走行音を頼りに乗ってきた車の屋根などに登りスクープ写真を盗み撮りしたものでした。
とはいえ、いすゞも黙ってはおらず、巡回パトロールが頻繁で、撮影には結構スリル満点だったという逸話もあるようです?(^^;
余談の余談ですが、とあるいすゞ関係者から聞いた話では、“幻の4代目のジェミニ”が存在していたようです。完成間近までこぎつけた試作車までありながら、乗用車生産からの完全撤退となったためお蔵入りとなり、当時ホンダと提携関係にあったドマーニをベースとしたOEMの4代目ジェミニが誕生しました。
100%いすゞ製の幻の4代目のジェミニの試作車両が今でも残っているかは定かではありませんが、いつか陽の目が見られる時が来たらいいなと思っています。
さて、本題をいすゞプラザに戻して…館内の通路を抜けてすぐに目に入るのが“いすゞ県”のジオラマ。1/64スケールで作られた架空の街がテーマごとに作られていて、もちろんこれはイロイロと活躍するいすゞ車を見つけることがポイントです。
で、よーく見ると1/64スケールのミニカーがたくさん! おもにヘルパ製でしょうか? いすゞ以外のイロイロなメーカーの車種が入っていて、マツダではNAロードスターやFD3SのRX-7の他、ランティス(323F)なんてマニアックな車種があったり、これだけでも、かな〜り楽しめます(^^
遠巻きにしか見えないジオラマは、こうやってモニターで見ることもできます。すっかり最近、スマフォをいじる事を覚えてしまった息子くん、このモニター自体をいじってることが楽しかったようで、なかなか次に進めずちょっと困りました(^^.
さて、ジオラマを見学した後は、現在のいすゞ車の展示スペースへ。これは最近よく見かけるようになった路線バスのエルガ。バス会社などのカラーに塗られていない真っ白の塗装の状態のままがかえって新鮮に見えます。
もちろん乗り降り自由。しかも降車ボタンもちゃんと生きていて押し放題(笑)。普段なかなか押せない人は存分に押せるのが嬉しいです。
防衛省に許可を経て自衛隊向けの73式大型トラック車両そのものが展示されているのもいすゞプラザならでは。なかなか身近に見られないだけに、つぶさに観察できます。
もちろん運転席や荷台にも乗ることができて、これだけでも来たかいあったと思えます。
日本国内では未発売のタイで生産されているピックアップトラック「D-MAX」があったりして、こちらも乗って触ったり自由にできます。
他にも警察車両や南極観測隊のトラックなど世界中で活躍しているいすゞの特殊車両車をパネルで丁寧に解説してあります。
2階のフロアではおもにいすゞ車の歴史が展示されています。今でこそトラック・バスの専従メーカーですが、若い世代ともなると、かつて乗用車を生産していたことも知らない時代に突入しつつあります。
いすゞで最も代表的な車種と言ったら117クーペでしょう。これは量産化以前のいわゆるハンドメイドモデル時代の117クーペが展示してあります。
しかしよく見るとタイヤの銘柄は…。。。ナンカン…。時代考証を考えるとちょっとねぇ…的なところ。今となってはサイズがなくて仕方がない部分があるとはいえ、自動車メーカーの博物館なら、もうちょっとなんとかならないのでしょうか。。。
ここはちょっと残念でした。
セドリックやクラウンなどと並ぶいすゞの高級車がベレルです。さすがに私も年代的にはリアルタイムで見た記憶がないのですが、マンガ“こち亀”で両津の上司、大原部長が念願のベレル(タテ目の後期型)を購入して、間違って解体屋に運ばれてスクラップにされてしまい、誤魔化しでよく似ているタテ目のセドリックにすり替えた話をよく覚えております(笑)。
こちらはファスター…と言いたいところですが、よく見ると左ハンドル。そう、いすゞと資本提携関係にあるGMのシボレーブランドのLUV(ラヴ)ってのが憎いです(^^
名車再生!クラシックカー・ディーラーズでも登場しましたよね。
いすゞと言ったら、やっぱりジェミニです。古き良き時代のFR時代の初代ジェミニで、当時一番よく見かけたいすゞ車も今では滅多にお目にかかれません。
このジェミニは、当時のドラマ「俺たちは天使だ!」で、JUN(神田正輝)が後期型の角目を乗り回していたことが懐かしいです(^^
このフロアでは過去に作られたいすゞの全車種が1/43スケールで年代ごとに展示されていてかなり壮観!ミニチュアカー好きにはたまらないコーナーです(^^
FRジェミニマニアの間ではブラックヘッドやらブルーヘッドやらイロイロとあるようですが、私はそこまでマニアではないので、よくわかりません(^^;
さて。実車の展示車を見てふと思ったのはピアッツァの姿はなく、このミニチュアだけだったというのが、最も残念だったところ。
他にもできればビークロスなんてのも展示してくれたら嬉しかったのに…とも。今でも残っているのであれば、私のオフロードの師匠であった塙 郁男 選手がビークロスで参戦したBAJA 1000のオフロードレース仕様なんてのも見て見たいなとも思います。
展示車は入れ替えするでしょうから、今後に期待したいところです。
こんなのモデル化してたっけ? というマイナー車? のミニチュアも多々あって、無い物はあらためて作ったようです。上から初代アスカ、ユニキャブ、エルフハイルーフ。
もしかして3Dプリンターで作ったか? というような質感ですが、同じスケールで並ぶ姿はかなり圧巻でした。
さて、こちらは展示品でもなんでもなく、いすゞプラザ限定で発売している1/43モデルのエルガ。お値段なんと2万3000円(税込)。ものすごくよく出来てはいるし、かなり大きくて存在感バッチリなんですが、値段が値段だけに私は買えません(^^
他にもイロイロといすゞグッズを販売してますが、欲しい方はお財布の中を潤わせてから行くことをお勧めします(^^
過去ばかりではなく、現在のいすゞのモノづくりの展示スーペースも充実しています。これは生産工場のラインの一部を再現しているものです。
トラックやバスの生産に至るまでの開発風景や試作品と生産品の比較があったりと、じっくり見ていると時間が経つのを忘れるくらいです。
というわけで、ざっと見たいすゞプラザはこんな様子でした。土曜日や祝日は併設される無料駐車場を含めて混むようですが、予約が必要だけれど平日(火〜金曜日)は
ガラガラでゆっくりと見られるのでオススメです。
また、駐車場の心配がいらない無料送迎バス(なんと大型観光バスのガーラ)が最寄り駅の湘南台から出ているので、そちらを利用するのもアリかもしれませんヨ。