まとめ記事(コンテンツ)

2011/11/01

生物 クルマは生き物だ。

 懐かしい広告が出て来た。

 あまり氏は、公になる事を良しとしなかった人だが、内容を読むと、短いコメントに、この当時から彼一流の論理があった事を伺わせる一級の資料だと思う。

 氏のクルマ・・・もうスカイラインそのものだろうが、よく「浪花節」だとか、ローカルカーだと言われる事がある。それは、あくまで日本という国情や風土にマッチしたクルマ造りを指して言うのかも知れない。

 2Lに拘って、5ナンバーの枠を超えることを、頑なに拒んだ姿をそう言わしめたのかも知れない。

 僕のクルマに対する思いや考え方については、多分に氏の影響が大きいと思う。印象に残った氏の言葉を言えと言うと、澱みなくスラスラと出てくるのだから間違いないだろう。

 この広告を読んでいて、フト思い出した氏の言葉たちが

「クルマに 痛い と言わせることができるだろうか」

「ドライヴァーが手足の様にクルマを扱うと同時に、クルマの方からフィードバックがあるような、つまり手足をつねれば痛いと感じるように、クルマの方から自然にドライヴァーに語り掛けて来る様なクルマが出来ないか」

「それは警報ブザーなんていう不自然なモンじゃダメなんですけどね。」


 この事を例えれば、徳小寺的に解釈すると、クルマに乗り、オーヴァースピードでコーナーに突っ込んだりして、限界が高いのは良いけど、そこまで何事もなく、ところが限度を超えると一気にスパッと行くようなクルマはダメで、その手前からシート越しに、タイアと路面がコンタクトを外しそうですよと、なんだかムズムズする様な感覚を、お尻に伝えて来たりするクルマがそうで、ちょっと突っ込みすぎたかなとか、オーヴァースピードだ!なんて、ドライヴァーが自然に自重する感じなのかな・・・なんてね想像を巡らしたり。

 
 「机上で計算し、機械を組んだだけでは良い車は生まれないですよ。車(マシーン)の性能を落とす疑問点を無数の実験と創意で解決してゆく・・・・辛いことですが、楽しみでもあるんです。レースなどで結論の正しさを知ったときなどは特に

スカイライン2000GT常勝と云われますが、レースは厳しいい性能実験の場・・・・というのが私の信念なんです。」


 このセンテンスを読んでいると、また、氏の違った言葉が蘇ってきた。


「一等賞を取ったからと言って、とび上がって喜ばないですね。
大勢の人達の前で走らされて、かわいそうだと思いますね。つらいだろうなぁって。よく勝ったと言うより、よく勝つまでに成長してくれた・・・・情がうつってしまって、終わってから涙が込み上げる様な時もありましたよ。」


 ここが、今の技術者の失ってしまった事なのかもしれない。

 まぁ、実際に氏と仕事をして、理不尽とも思える様な要求をされたり、思い込みが・・・と思うような事がたくさんあった事も承知だが、それは技術者として理想を究めようとするからであり、そうした妥協なき熱意が無ければ、良いものが作れないという事の裏返しのような気がしてならない。

 真説 櫻井学校~伊藤修令氏編~
https://minkara.carview.co.jp/userid/124785/blog/908477/

 また、氏は図面を描くことの事の大切さも教えてくれた。

 現代ではCADが進歩して、間違った線を引いても簡単に修正できるが、かつては簡単に鉛筆で描いた図面の修正は難しかった。さらにCADでは簡単に図面が画けてしまうので、困難な加工や組み立てだって気付かず、実は図面を見て削ったり組み立てる人にとって、非常に分かり難いモノだったりする。

 大手の、それも大企業と呼ばれる会社の図面を良く見るが、正直、昔の基準でいえば、とんでもない図面が平気で罷り通っている姿を見て、日本の製造業も終わったな。。。と思う事がしばしばである。

 
 無論氏は万能ではないし、大きな矛盾や、疑問点はたくさんある。

しかし、技術者として何が大切か、何がモノ造りに必要かを、無言で教えられているような気がするのだ。

 
 誤解を恐れずに言えば、クルマ離れの元凶は、モノづくりの真意、造り手の思いと、買い手の姿を忘れた、単純なマーケッティングという数字の遊びで、多い少ないを論議してきた日本のメーカーの責任だと改めて感じているのだが如何だろうか。

 
 技術も機械も、すべては「人」。

そんな当たり前のことを、再び思い出した広告であった。
Posted at 2011/11/06 12:46:23

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