まとめ記事(コンテンツ)

2020/11/17

激戦区・プレミアムセダンの資質とは(車両側から分析1)

<車両側から見てみる:アテンザ編>

さて、現行型では奇しくも同じ程度の車重になっていますが、メルセデスはアルミ化で、エンジニアは「100kgの軽量化」が出来たと言っている。当然衝突安全や次世代モデルとしての要求を引き上げたうえでの軽量化であり、マイナス100kgの稼ぎをさらなる剛性につぎ込んだわけです。そしてアルミのドアは重厚感が無い(;^_^A それをメルセデスは良しとしたわけですね、何かと引き換えに。

FFとFRのボディ剛性はそもそも要求値が違うことを解説します。
(車両運動性能とシャシーメカニズム:グランプリ出版から引用)

下図は、前提条件をWB:2.5m、重心高H:500mm、車重1400kgでの比較
<0.5G加速時の輪荷重変化>


ブレーキングから50:50バランス(タイヤのグリップ限度内の余裕の領域)での旋回中盤まではFFもFRもさして違いませんが、後半の脱出加速に向けてリア荷重でトラクションが掛かるリア駆動力は、FFの自重分のトラクションが出せる最大で、そこから踏めば抜けてゆくFFとは比べられない負荷を受けます。つまり操舵軸と駆動軸を支えているのがボディなので、、リア荷重で増えたサイドフォースを受け止める必要があります。(あまり踏んで脱出しなければ、FFと大差有りませんが(;^_^A)

そこで言いたいのが負荷の違いとして、

<加速時の駆動輪荷重の変化>


私が書き足した通常のG範囲と殆ど公道では使わない高G範囲でのFFとFRの
トラクション限界比較。仮に黄色い右下がりがアテンザ相当で、赤い右上がりがメルセデス相当と考えます。
以前私のノートe-powerで加速Gログ取ったら、トラコン介入で最大Gは0.5Gでしたが、諸元は違うけどほぼ合ってますね。メル子では0.6Gを超えるキャパが有ることになります。これ程の加速Gが立ち上がるのはゼロ発進ぐらいで、車速が60キロぐらい出ていると、もうその差はほとんどないでしょう。しかしコーナリングフォースに前後輪がを食われているときはどうでしょう。これは次回の運転スタイルの方で取り上げます。

これを一度念頭に置いたうえで、車の設計思想を見てみます。メーカの違いはあるとはいえ、目差す共通項は「操縦性と安定性」です。前者はドライバーの意志でのヨー制御で、後者は外乱によるヨーの収束性です。つまり相反関係にあります。なので、そのバランスの求め方、バランス点に各社の意志とスキルが出てくると言えます。(ただしあくまでこれは、普通領域では無くて、試乗ではこのFFとFRがクロスする領域を行き来してみたわけです。特に山岳Aは0.5G付近まで使って)


マツダはここでスカイアクティブシャシーとして、マツダの考える人馬一体の具現化に向けて、「快適性と安心感を高めた・・」と言っています。その考えは低速域ではヨーゲイン(車の向き変え応答性)を高め、高速域では逆に落ち着いた挙動とする応答性を低くする二律相反の具現化(HPの説明では下図を使っています。)

<シャシー応答性の考え方>



タイヤからの負荷が前軸に集中するFFは、FRよりもむしろコーナ初期は前荷重アクションが少なくても舵は忠実に効きます。FRも前は問題ありません。そして最大旋回Gが掛かるコーナ頂点から出口に掛けて、FFは前後タイヤのコーナリングフォース差により、キャパを使い切る前の方が先に限界が来るので、基本がアンダーステアで、アクセルでそのキャパを食えばより膨らむ、その膨らみ差をヨー制御することになります。

一方FRでも、基本はアンダーステアに設定します。オーバステアは危険なので。ただし、駆動輪が操舵輪と別なので、加速でリアのコーナリングフォースとトラクションの取り合いバランスをアクセルで制御できます。特にややフロントが重い設定では、加速勝手でリアサスが安定し、動的重量配分も50:50になり、最もタイヤを使い切る状態にできます。

ドライバーがリア荷重(加速態勢)にすることで、車の安定と脱出加速を得ることができます。その分、FRはリアサスの荷重増加分を受けとめるサスセッティングになります。

メーカでは現実によく使う範囲でのバンプ含めたバネレート分がボディに入力されるタイヤの想定上下エネルギーになりますから、FFもFRも前軸は、ブレーキング荷重とパワープラント質量が掛かるので、大体同じ程度ですが、リアが明確に柔らかいのは、縦のピッチング(トラクション)とサイドフォースの出せる旋回Gの違いです(ところが、荷物を積む荷室も広いFFはそれだけの荷重範囲を受け止めるセッティングとなると、弱点は荷物が無いときの乗り心地と荷物を積んだ時に飛ばすと、リアセクションの剛性が不足する、の狭間で調整せねばなりません。オートレベリングと可変ダンパーが欲しくなりますね)

では前部は剛性同等かと言えば、縦置きエンジンはちょうど前サスの取付位置を左右につなぐクロスメンバをゴツく通すことができますが、FFでは横置きエンジンが前軸より前に搭載する必要があり、更に左右ステアリングラックとドライブシャフトも通るため、エンジンベイに、左右をつなぐクロスメンバーは実に複雑怪奇な形状(エンジン補器を避ける構造もあって、見た目ごついが、梁が曲げを受ける形が多い)剛結点が置けません。加えて横置きエンジンでは幅の制約でWウイッシュボーンを置くのは厳しくスペース的にストラット式が多くなります。
アテンザもFF基本構成で、ストラットタワーが高い位置で剛性的には不利。(ただし、Aピラー根本近くにはおけるのでボディの曲げでは有利)が、そしてクロスメンバーの剛性を優先すると、エンジンは相対的に上に置かれ重心がたかくなる。近年ロングストローク省エネエンジンは余計に全高が高く、ボンネットの歩行者保護の面で高くなり、SUVは楽だが、スポーティなセダンは作りずらい(あのコンセプトデザインが作れない)。というパッケージの制約もあります。

<アテンザフレーム>
トラクションの抜けにくいエンジン配置と、前軸サスの取り付け部、ストラットの剛性に配慮した成り立ち。


<前ストラットと後マルチリンク構成>


そして、マツダとしての自覚ある補強をしたクロスメンバ。



話が長すぎるので、次回にメルセデスの方を書きます。(;^_^A
Posted at 2020/11/17 21:45:03

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