8/12(木) 9:10
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クルマが水没しそうになったときにドアは開く?
夏場には、ゲリラ豪雨や台風などにより、狭い範囲で大雨が降る「集中豪雨」が発生する場合があります。
では、集中豪雨のときにはクルマにどんな危険が起こる可能性があるのでしょうか。
【画像】ざぶざぶ進んじゃダメ! 冠水でクルマが動けなくなる道路は?
冠水した道路では、水深何cmまで車のドアは開く?
集中豪雨は、非常に狭い範囲に数時間にわたり大量に降る雨のことで、とくに夏を迎えた台風の接近時、上陸などが増えるこれからの時期に多く発生するといわれています。
多少の雨でも「クルマに乗っていれば大丈夫」と考える人もいるかもしれませんが、集中豪雨のなかでの運転にはさまざまな危険が潜んでいます。
例えば、大雨が降っているときはワイパーを作動させても雨の量が上回って追いつかなくなり視界が悪くなります。
JAFでは、1時間の雨量が80mm(気象庁が「非常に激しい雨」と表現するレベル)のときに時速80km/hで走行中、前車に気がついてからブレーキをかけてどれぐらいで停止できるかという実験をおこなっています。
この実験では、前方の停止車両がテールランプを点灯している場合、昼間であれば停止車両の60m以上手前で止まることができました。
それに対し、前方車両のテールランプが無灯火の場合では、昼間では39.2m、夜間では24.1m手前まで接近していたことが分かっています。
そのため、雨天時には昼間であってもヘッドライトとテールライトを点灯し、後続車にアピールすることで衝突のリスクを少しでも避けるように心がけるべきといえるでしょう。
さらに恐ろしいのは道路の冠水です。
とくに、アンダーパスでは豪雨時には冠水により、巨大な水たまりのような状態に変化してしまう恐れがあります。
では、もしクルマが水没しそうになった場合に、クルマから脱出するためにはどのような対処法があるのでしょうか。
クルマが水没しそうになったときは、ドアが開けられるかが重要なポイントになります。
JAFでは、セダンとミニバンを使用して水深30cmから120cmの状態でなかからドアが開けられるかどうかという実験をおこなっています。
その結果、セダン(運転席側ドア)、ミニバン(後席スライドドア)共に水深30cmでは問題なくドアが開きました。
しかし、水深が60cm以上になると開くのには大人であっても相当の力が必要になるということが分かっています。
水にクルマが浸かって重くなったフロント部分に対して、軽い後部の車輪が浮いてしまった状態になった際には、もっともドアが開けにくくなるという結果が出ています。
後部が浮いた状態よりもフロントガラスから下が完全に水没して、室内にもかなり水が侵入してきた状態のほうがドアは開きやすくなります。
これは、外と中の水圧の差が少なくなるからというのが理由に挙げられ、万が一の場合には、焦らず落ち着いて状況を確認して行動することが必要です。
豪雨時の運転についてJAFの広報担当は、次のように話しています。
「一般道、高速を問わず激しい雨が降っている際は自身の視認性を良くするために、ライトをハイビームにして視界を確保してください。
ライトは自身の視認性を高めるだけでなく、自車の存在を他のクルマにアピールするためのものと考え必ず点灯しましょう。
また、アンダーパスのようなすり鉢状の道路では冠水の危険性が高まるので、このような形状の道路には近づかないようにすることが先決です。
最近では、危険性の低い河川の氾濫や土砂崩れなど、想定外なことがさまざまなことが起こっています。
ここは危険、ここは安全と安易に分けるのではなく、不要不急の外出を避けることが重要でしょう。
もし、冠水した道路に侵入してしまった場合、浅く見えてもマンホールが外れていたり、危険なものが沈んでいる可能性もあり非常に危険です。
管水路に侵入して動けなくなってしまったらクルマを停止して、すみやかにエンジンを切ってください。
クルマを出て避難する時には、水深を測りながらゆっくりと足をつき、進んできた方向に戻るなどして安全な場所に移動しましょう。
万が一に備え、脱出用ハンマーを車内に用意しておくのも有効です。
実は、脱出用ハンマー以外の方法の多くは効果が無いことが実証されています。
もし、脱出用ハンマーがない状況でも、車内の水位が外側と同じになると、外からかかる水圧が軽減されることで、ドアが開きやすくなります。
いずれにしても、いざというときのイメージを持って準備しておくことが大切です。
そうすれば緊急時でも慌てず落ち着いて行動できるでしょう」
アンダーパスに要注意! 冠水で走行不能に
冠水した場所にクルマで進入した状況をJAFでは、スロープ上の道路を使って深い水たまりに突入する実験としておこなっています。
セダンで実験をおこなった場合では、フロントバンパー上端が浸かるぐらいの水深30cmでは時速10km/hであれば走行できましたが、フロントガラスの下あたりまで水に浸かる水深60cmではエンジンが停まって走行できなくなってしまうことが分かっています。
車高の高いSUVで実験した場合でも、水深60cmでは走行することができましたが、速度を10km/hから30km/hに上げると、水しぶきがエンジンルームに侵入して走行不能になったようです。
JAFによる冠水テストの様子
通常、クルマのエンジンは取り込んだ空気をガソリンと混合して圧縮、燃焼させることでピストンを動かします。
ですが、この実験結果からも分かるように、水は空気と違って圧縮することができないため、エンジンルームの部分に水が混入してしまうことで、エンジンが停止し、さらにエンジン内部に深刻なダメージを与えてしまう恐れがあります。
さらに、エンジンルームには電装系も集中しており、水が侵入することで誤作動が発生したり、回線のショートを引き起こすなど大変危険な状態になります。
※ ※ ※
多少の雨でもクルマなら大丈夫、と油断することは危険です。
とくにこれからの季節は集中豪雨が多発することから、大雨の中を走行するリスクを十分認識し、万が一の時にも落ち着いて対応するようにしましょう。
Peacock Blue K.K.
以上転載
「過去に経験ない大雨のおそれ。未曾有の災害に厳重警戒を」
とウェザーニューズで出ています。
特にこれから九州、中国、東海、北陸などで観測史上一位と同等以上かそれ以上の大雨が予想されているそうです。
もちろん今のうちに対策をしておいたほうが良いと思いますが、万一身近に起きてしまったら早目に判断したほうが良さそうです。