「お客だらけ」には見えないけど……町の昔ながらの「自動車整備工場」の経営が成り立つワケ
「最新車の整備はしない」と割り切ることで利益向上も
地元の昔からの常連客が主で実用車が多いため、対応しやすいという側面がある
街中で見かけるのが、昔からある修理工場。見た目も時代を感じさせるもので、オイルの汚れが床に染み付いていたりして、風情がある。しかし、気になるのが、なぜ潰れないのかということ。テレビ番組でも人気のテーマで、失礼ながらお客さんがバンバン来ているわけでもなく、それでも潰れることなく、営業を続けている。 【写真】クルマの進化で泣く産業7つ! ほかの業種なら、学校に納入しているとか、利益率がメチャクチャ高いものを扱っていて、たまにしか売れなくても十分にやっていけるというのが潰れない理由だったりする。では、整備工場はどうなのだろうか。 知り合いの整備工場のなかにはいくつか、このパターンに当てはまるところがあるので改めて聞いてみると、まずあるのは「古くから付き合いのある地元の年配の方が常連」ということ。しかも修理やメンテだけでなく、クルマの購入もしてくれるので、複数人数いるとまずまずの売り上げになる。もちろん値切ることなく、いわゆる正規料金で支払ってくれるので、なおさらだ。 さらに、地元の商店や中小企業といった仕事で使うお客さんを抱えていると、定期的な売り上げが確保できる。また、近くにディーラーがないエリアだと、いわゆるモーター店として、個人、法人問わず、新車も地元の人が買ってくれるのは強みで、その後のメンテで入庫する確率も高い。 経営側としては、オーナー自らが整備を担当していて、奥さんが経理というように、身内だけで回せば人件費は抑えられる。また複数の工場で聞いたのが「最新車の整備はしない」ということ。最新のクルマを整備するには知識も工具もいろいろと必要で、これに対応しだすとキリがなく、コストもかかるだけ。せいぜいデジタル診断機でできる範囲のことにとどめておく。整備を行なう経営者は全体的に年齢的にも高めなので、理解力としてもついていくとなると大変との声もあった。 そういう意味では、地元の昔からの常連を相手にしていれば、実用車が多く、対応もしやすい。地元の常連を相手に、家電や電球などの消耗品を中心に扱うことでやっていける、街の電気屋さんと同じ構造と言っていい。 ただし、これだといつかは整備不可能なクルマが増えてしまうので、そうなったときは廃業しかないだろうという声も聞かれ、そもそもクルマ自体も壊れにくくなっている。常連も年配が多いので減る一方で、法人もコスト削減で社用車も減る傾向にある。 実際、潰れないで残っているように見えても、ドンドンと廃業する修理工場は増え、各地域にある整備組合も会員が減り、統合が進んでいるのも事実。最新技術については、ディーラーの囲い込みも進む。なかにはレア車や旧車を得意として、駆け込み寺的に繁盛しているところもあるが、それは例外だろう。また、建て替えて、上をマンションにして別収入を得るというパターンもあるが、街の修理工場ではその資金がないところも多く、建て替えたとしても修理工場は辞めてマンション経営だけに専念するという例も多い。 仲良くなれば、いろいろとお願いできたり、ときには無理も聞いてもらえたりするが、こういう地味な付き合いは昨今避けられる傾向にあるのもハンディだ。経営的には跡継ぎがいないことも多く、繁盛していても閉店するというパターンも増えているなど、正直逆風にさらされている。気分的な敷居は高いかもしれないが、メーカー問わず、なんでも対応してきたノウハウ十分のプロだけに、一度訪れてみてほしい。
近藤暁史
以上転載
うちの近くにも整備工場があるけど、いつも車がいっぱい。
確かに最新型の車は無いかもなあ。
でも昭和っぽくて悪くないかも。
Posted at 2020/09/19 18:36:11 | |
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