モーターショーの報告だけではみなさんに飽きられそうなので、一発試乗記を。
naka.CB20@M52さん、我慢できずに試乗してしまいました。ゴメンナサイ!
ゴルフのガチンコライバル。
デミオに続くスカイアクティブ第二弾。
SKYAKTIV-DRIVEなる6ATの仕上がり具合を、前から試してみたいと思っていました。
標準車 マツダ アクセラ 20S-SKYAKTIV 215万円(税込)
オプション ツーリングコンフォートI ・・・ ディスチャージヘッドランプ
アダプティブ・フロントライティング・システム(AFS)
205/50R17 89Wタイヤ&アルミホイール
ツーリングコンフォートⅡ ・・・ クルーズコントロール
リアビークルモニタリングシステム(RVM)
自動防眩ルームミラー
本革巻パーキングブレーキレバー
試乗車価格 229万円(税込)
ゴルフと変わらない装備でこの価格はなかなか魅力的です。とはいってもゴルフも本国ドイツではこのくらいの値段かもしれませんが。
●外観デザイン
デビューしてから2年半が経過しているため新鮮味はありませんが、かといって古臭さを感じさせるほどでもなく、いいデザインではないでしょうか。間近で見るとボンネットフードがかなり高く感じます。GTIと比べるとGTI自体が標準のゴルフよりフロントで22mm車高が落ちているせいもあるかもしれませんが、アクセラのほうがエンジン搭載位置結構高い感じがします。
全長4460mm×全幅1755mm×全高1465mm、ホイールベース2640mm
車重1330kg
車重はゴルフの1.4TSIコンフォートライン・プレミアムエディションが1290kgなので、ターボなしのアクセラはもう少し軽量に仕上げてほしかったですね。

いまどきエアロワイパーじゃないところが残念。
●エンジン
直列4気筒2リッター直噴で、もちろんスカイアクティブです。
スペックは113kW(154ps)/6000rpm、194Nm(19.8kgm)/4100rpm
デミオは圧縮比14ですが、こちらは12です。
下からトルクがあり結構走りやすいのですが、デミオと違い、あまり回しても気持ちよくありません。エンジンにがさつな振動が感じられるのと、音が気持ちよくないことが原因です。デミオのほうがもっとスムーズに回って気持ちよかった印象があります。
がっかりしたのは、試乗のときに外に立っていて、店員が試乗の準備のときにエンジンをかけたら、「ガラガラ、ガラガラ」とものすごい音がしたことです。「このクルマ大丈夫?」って思ったくらいで、直噴エンジン特有の「カラカラ」音の域を完全に越えていました。単にこの固体だけの現象ならまだいいのですが、それにしても買う側がその固体に当たってしまったらイヤですもんね。
燃費は10・15モードで18.8km/ℓですが、実際はリッター11~12kmくらいだそうです。ターボのGTIとそれほど変わらないんじゃないでしょうか。スカイアクティブと聞くと期待してしまうので、このくらいでは満足できないですね。
●ミッション
今回一番確認したかったのが、この新開発の6ATであるSKYACTIV-DRIVEです。
シフトアップはちょっとつながりがゆっくりですが、ダウンシフトのときにはレスポンスがすばやいです。ただし、ショックは大きめ。ゴルフのDSGと比べると、まだまだ洗練されていない感じがするし、BMWの8ATと比べてもスムーズさに欠けます。滑っている感じはないので、あとは変速時の回転の合わせ方等の制御をもっとうまくすれば、良くなっていくのではないでしょうか。ちょっと期待はずれでした。
●ハンドリング
マイナーチェンジでリニアな特性に変えたとのことですが、マイナー前のモデルと比べて劇的に良くなっているようには感じません。ここでもやはりデミオのほうが自然に感じますし、ゴルフと比べてもリニアさに欠けます。電動油圧パワステの制御でむりやり直進性を出している感じで、ステアリングを切りはじめるときに、抵抗を感じるところがリニアさに欠けている感じがするのです。
●足回り
フロントがストラット、リアがマルチリンクです。
タイヤはサイズが205/50R17 89W、銘柄はTOYO PROXES R32 です。
ちょっと固めの乗り心地ですが、これがスポーティーというとちょっと違うような気がします。なんだか乗っていて楽しくないんですよね。ボディの剛性がゴルフと比べるとやはり低いのでしょうか。それと、体感的にボディの幅よりも左右のトレッドが狭く感じられて、どっしりと安定した感じが足りないのが残念です。前に乗っていたフォレスターを思い出しました。
●ブレーキ
フロントがベンチレーテッドディスク、リアがディスクです。
特に不満はありません。少し強く踏んでみましたが、踏み代に対して踏んだ分だけきちんと効いてくれるので、コントロールしやすいブレーキでした。
●静粛性
静粛性は高いです。
アイドリングストップが働いていても、周りの音が気になることはありませんでした。
ドアモールは写真のようにボディ側とドア側にそれぞれあり、2重になっています。

リアホイールハウス内側には、ベンツと違って遮音材は貼ってありませんでした。
●シート
残念なのは特にシートです。大きさは丁度良く、フィット感も良かったのですが、とにかくクッションが固い。足回りが固い分をシートでカバーしてくれていれば問題なかったと思うのですが、この固さでは腰痛持ちの私にはちょっとツライです。長時間乗っていたいとは思いませんでした。
●内装(インパネ)
ゴルフと比べるとさすがに安っぽく感じますが、個人的には結構インパネのデザインは好きですね。ゴルフは質感は高いけれども、遊び心がない。アクセラは使い勝手が悪くならない範囲でデザインが凝っていていいと思います。
メーターはタコメーターとスピードメーターの間にある液晶表示の文字が小さくて見にくいです。マイナーチェンジでむりやりつけた感じで、フルモデルチェンジでは改善されることを期待します。
右が燃費等を表示するマルチファンクションディスプレイ、左が空調用ディスプレイ。
●トランク
ゴルフより質感が高いんじゃないでしょうか。それにボードが工夫されていて仕切りとして使えるので、ゴルフに比べたら使い勝手はこちらの方がいいような気がします。容量的は430リッターとゴルフの350リッターに比べ、かなり大きめ。
いろいろ厳しいことを言ってしまいましたが、この価格では他の国産車ではないような装備も付けられていて、がんばっていると思います。日本車では高級車以外にAFS(アダプティブ・フロントライティング・システム)がついていませんが、私はゴルフで体感して、世の中のクルマ全部に付けてほしいと思ったくらい役に立つものなので、アクセラにはオプションとはいえ設定があることを嬉しく思いました。
とはいえ、やはり気になるのはゴルフと比べてどうかというところでしょう。ほぼ同じ装備のゴルフ1.4TSIコンフォートライン・プレミアムエディションが289万円で価格差60万円。新車にこだわらなければAFSはついていませんが、1年落ちの中古車が230万円くらいであります。アクセラは日本車にしてはがんばっているとは思いますが、ゴルフを経験した今となっては、ゴルフのほうが価格差を補って余りある魅力があると断言できます。ボディの剛性感、タイヤのたわみ具合まで感触として伝わってくる足回り、アクセルの踏み込み量に対して、リニアに加速するエンジン、クセがないハンドリング、長時間乗っても疲れないシートなどなど。どこが飛びぬけていいというわけではないけれど、個々のパーツがクルマとして一体になったときに醸し出される質感の高さは、アクセラにはないものです。もしゴルフが円高還元で安くなったら脅威ですね。