
ここ数ヶ月、資金繰りの悪化より本社工場での生産が数度に渡り停止されるなど、トラブルが報道されている Saab Automobile AB ですが、新しい 9-5 も昨年日本導入が発表されたにもかかわらず、輸入元によるお披露目が震災のため一時延期になるなど国内でもツキがない状況にあります。先日、無事開催されたとのニュースを見てこのブログを書いていますが、さてさて、この後、国内販売に漕ぎ着けて、それなりの成功を収めることができるのでしょうか? 少し心配ですね。
サーブはボルボとならぶ、スウェーデン発祥の自動車メーカーであり、個性的なクルマづくりで、クルマ好きには気になるブランドであり続けてきました。今は資本関係はありませんが航空機・軍需品メーカーである Saab AB の子会社であった経緯もあり、個人的には Saab 35 Draken、Saab 37 Viggen といった昔の名ジェット戦闘機のイメージも手伝い、Saab 900などは、当時のボルボよりもスマートな(格好いい)クルマだなと好印象を持っていました(1995年頃滞在していた米国ボストンでは北国のためか、結構な数の 900 が走っていました)。
イグニションキーの配置や、航空機のコクピットを連想させるダッシュボードの佇まい、グリーンに照明された計器、そしてナイトビューモードなどのインテリアも良い雰囲気で、前車シトロエン C5 の購入を検討している際には、9-5 も候補の一台として考えたりもしていました(余談ですが、シトロエンの初代 C5 には、サーブ譲りのナイトビューモードが備わっていました。現行型はどうなんでしょうかね?)。結局、シトロエンより更にディーラーが少ないこと、セグメントととしてやや上級であったこともあり、購入には至りませんでしたが、その後も Saab 9-3 の登場や 9-5 の Face-lift など、動向には注目してきました。
さて、今回の new 9-5 ですが、どうでしょうか?エクステリアデザイン的には、9-3後期型や直近の 9-5 の Face-lift の流れを汲むもので、過去の Saab のデザインからは随分と変わったのではないかと思います。ただし、空力重視をイメージさせる Flash Surface、伝統的なシェル型のボンネット、そしてグリル、エンブレムなど、一目で Saab と分かるアイデンティティは一応保持していると思います。最初に見たときは、直前の 9-5 と同様、好印象は持たなかったのですが、PV や写真を見るうちに、これもまあ悪くないな、と思うようになりました。デザイン的にはA~Bピラーをブラックアウトしているのが個性的かつ格好良いと思います(今まで見たことないです)。それ以外の成り立ちは、まあ正統的な(普通のともいえますが)セダンといったところでしょうか。インテリアは過去のSaab車のそれを現代風にアップデートした感じで、これも悪くありません(個人的にはボルボより好きかも)。
いつもの如く愛車 S60 との比較のかたちで、スペックを見てみると、
サーブ 9-5 (Vector):
全長×全幅×全高=5008×1868×1467mm/ホイールベース=2837mm/車重=1860kg/駆動方式=FF/2リッター直4DOHC16バルブターボ(220ps/5300rpm、350Nm/2500rpm)
580万円
ボルボ S60:
全長×全幅×全高=4630×1845×1480mm/ホイールベース=2775mm/車重=1540kg/駆動方式=FF/1.6リッター直4DOHC16バルブターボ(180ps/5700rpm、24.5kgm/1600-5000rpm)
375万円
S60 に比べて、ひと回り大きく、エンジン出力も高く、セグメントとしては、D ではなく、E セグメントのクルマになります、当然、値段もそれなりのものになっています(汗)。機械としての成り立ちを見ると、これといって目を引く点はなく堅実なつくりといえますが、Saab は昔から、スペック的には突出したところはないものの、使ってみると乗りやすい「いい車」として定評があるので、今回の New 9-5 も競合する、メルセデス E クラスやBMW 5シリーズとは異なる良さがきっとあるのだろうなとは思います。
しかし、実際にそう思って購入するヒトが日本に何人いるか、が最大の問題だったりするわけで... 個人的には、国内で手に入る輸入車の多様性を確保するためにも、Saab には是非存続して欲しいと思っていますので、日本での成功を切に祈っている次第です。
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スウェーデン車 | クルマ
Posted at
2011/07/02 09:26:16