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イイね!
2011年08月15日

108:クルマはだんだん大きくなってる?

 皆さんご承知のとおり、クルマ(この場合は、車種あるいはモデルという意味です)は、プラットフォームには変更のないマイナーチェンジもあれば、全てを一新するフルモデルチェンジもありますが、まあ4年~8年くらいのサイクルで世代交代が繰り替えされているのではないでしょうか?

 新車が登場する度に、その仕様、外観、乗り味等、詳細に渡ってメディアにて紹介、評価される訳ですが、ひとつのモデルにおける、あるいはクルマ全体における長期的な変化のトレンドについて、議論されることはあまりありません。今回、そんな大きな視点での話題として、クルマはモデルチェンジを繰り返す毎にサイズが大きくなるトレンドがあることを論考してみたいと思います。まずは、論より証拠、以下のグラフをご覧ください。


 
 トヨタのセダン3モデル、メルセデスのセダン3モデルについて調べてみましたが、Sクラスを除くいずれもが若干の例外があるものの、モデルチェンジの度にそのサイズが増大していることが分かります。グラフではトヨタとメルセデスを示しましたが、同様の調査は、BMWの7、5、3シリーズ、フォルクスワーゲンのパサート、ゴルフについても実施しましたが、これらは更に明確で、ほぼ例外なしに、モデルチェンジによりサイズが増大していました。

 なお、ドイツと日本のメーカーについて、それもセダンを取り上げて分析した理由ですが、ひとつのモデルを一定の期間で、何十年にも渡ってモデルチェンジを続けているケースを調べると、該当するのがドイツと日本のメーカーが殆どだからです (この辺りに各国の自動車産業あるいは自動車文化・哲学の特徴が現れてて興味深いです)。よって、良質のデータを得るために、上記のようにドイツと日本の複数のメーカー、そして複数のセダンモデルについて調査して、やはり、クルマのサイズは時間と伴に増加するトレンドがあることを確認した次第です。

 また、上記のグラフからは更に以下のことが考察できそうです。
 ・サイズ増大の比率(グラフの傾き)は、モデルによって大きな差異がない。
 ・サイズには上限があり、上限に近づくと、サイズ増大の勢いは鈍るか、あるいは止まる。
 ・上限は、どうやらメルセデスで 14 立方メートル、トヨタで13 立方メートル辺りにあるらしい
 (メーカーによる差異は、もしかしたら欧州と日本の交通環境の違いによるものかもししれません)。

 さて、それでは何故、クルマはモデルチェンジの度に大きくなるのでしょうか?直ぐに提示できる単一の解答(仮説)は思い当たりません。人間の体格が向上してきたことに対応しているのだ、という主張もありますが、国によって増加率に差異がないことや、増加のペースが速いこと、更に我々の実感として、年代間による体格の向上で手狭になったから同一モデルでより大きなクルマを求める、というのは説得力に欠けていることなどから、どうやら正解ではないように思います。では、リスク&ベネフィットで、単純に「大きいことはいいことだ!」ということでしょうか?いや、大きくなることは、当然、デメリットも多くあります。

 ・重量増加による性能低下(運動性能、燃費など)
 ・費用増加
 ・狭い場所での取り回しなど使い勝手が悪くなる
 ・より広い駐車スペースが必要

 最初の2項目は技術の進歩により吸収できるものではありますが、残りは交通環境の劇的変化がないことにはどうにもできない問題です。メリットとデメリットのバランスの点からの上限が、上記のSクラスやクラウンのサイズであり、それ以上のサイズはデメリットが明らかにメリットを上回るので非現実性が高くなるのではないかと考えられます。では、大きくなることのメリットは何でしょうか?

 ・前モデルとの比較でランクアップ感がある
 ・居住性や積載性の向上
 ・技術革新の反映させるためのサイズアップであれば性能向上

 どれも、一つ一つではデメリットを明確に上回る理由とはいえなさそうです。が、どうやら以下のようなことではないかと推察されます。

 クルマを買いたい人は、年齢を重ねるに従い、少しずつ収入等、経済条件が向上する、さらに結婚し、家族ができて、子供が大きくなる、などの環境変化を経る人が多く、そういった経常的かつ、大きなサイズのクルマへのニーズが高まる小さい変化に対応するために、モデルチェンジ毎に少しづつサイズを増大させている、加えて、それなりの費用を払って買い換えるので、前のモデルに比べてのグレードアップ感を得たいという欲求も、サイズ増大を推し進める力として働いている。

 大きく経済条件が変化した人は、モデルそのものを変更することになるのでしょう。そうすると、各クラスのサイズ変化は、同時期の上下クラスのサイズを上回る、あるいは下回るものであってはならない訳で、最初にグラフを見て考察したように、各モデルの変化率に大きな差異はないのは、これが理由のひとつではないかと推察されます。

 さらに、「じゃあ、新たにクルマを購入する若い世代のニーズはどうなるのか?」という質問に対する答えですが、そのようなニーズには、より小さい、すなわち、あるモデルのスタート時点のサイズを持ったニューモデルの登場により満たされるということです。例えば、カローラの場合のスターレット/ビッツ、ゴルフの場合の、ポロ、ルポといったモデルの登場が実例といえます。そしてそのようなモデルも世代を経るごとに徐々に大きくなっていくことになると。

 では次に「どんどん大きくなって、上級モデルと同じサイズになったらどうなるのか?」ということですが、サイズの上限に近いモデルは既に増大を止めているので、その下のクラスがどうなるのかが興味を引かれるところですが、その答えは現時点ではありません(笑)。マークXとEクラスが、それぞれクラウンとSクラスのサイズに接近しているので、サイズの増大を止めて存続するのか、あるいは統廃合されて消滅するのか、行く末が非常に気になるところです。

*      *      *

 以上のように、クルマのサイズの増大といったトレンドの存在を指摘し、その原因について考察してみました。以前のブログでクルマの変化(進歩)は、生物の進化に例えられることがあり、それは、変化を生み出すメカニズムと、変化を選択するメカニズムの組み合わせによる点に共通性があること、しかしながら、メカニズム自体は両者では別物であること、したがって得られる変化は、クルマと生物ではその様相を異にすることなどを述べました。生物では突然変異による変化と自然淘汰による選択のプロセスには、サイズの増大といったトレンドは存在しないと考えられますが、一方、クルマにおいては、使用者/生活者の思いとそれを汲み取る開発者の意図が組み合わされることによって、明確なトレンドが生み出されることになるのです。

 クルマの進歩におけるそういったトレンドは、サイズの増大にとどまるわけではないと思われます。例えば環境問題などの影響がクルマの行く末に全体としてどのようなトレンドを生み出すのかについては、興味深く見守っていく必要があるのではないかと考えています。
ブログ一覧 | クルマ評価 | クルマ
Posted at 2011/08/15 08:54:07

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この記事へのコメント

2011年8月15日 12:16
車がでかくなるのは安全性能の面もあるでしょうね。
以前乗ってたプジョー306は実際マイナーチェンジで
クラッシャブルゾーンの確保のために12cm長くなりました。

でも日本では大きい車は使いづらいですね。
慣れと言えば慣れですが。
コメントへの返答
2011年8月15日 12:39
コメントありがとうございます。

確かに安全性装備の実装のためのサイズ拡大は要因の一つとしてあるのでしょうね。

詳細は割愛していますが、全長、全幅、高さのパラメーターでは、全長の増加が顕著でした。
2011年8月15日 12:19
見栄でのサイズの大きくするは、過去の事象で、今、大きくなっているのは、安全装備を取り付け安全に動作させるためだときいています。

個人的には、サイズアップは否定なんですが、そういう理由ならば納得しますね。
コメントへの返答
2011年8月15日 12:43
コメントありがとうございます。

安全装備の件、影響あるのでしょうね。

ただし、グラフを見ていただければと思いますが、1960年から、サイズ増大量は大きくは変化していないのも事実なので、そういう点からは、安全面以外の要因が、過去も現在も一貫してあるのではないかと考察しています。
2011年8月16日 23:53
90年代後半のアメリカでとある車種のモデルチェンジの際に分かりやすいキャッチコピーが掲げられていました。

Wider is Better

Whyが無いので、大きくなること自体がPositiveなメッセージなんだと不思議に思ったのを覚えています。また、特に南部では開拓時代の馬と同じ感覚で車を選ぶという価値観をでっかいピックアップに乗っている人々から聞きました。大きくて強い馬(車)を持つことがステータスである、と。ヨーロッパの感覚はまた違うのでしょうけど、より大きいものを求める心情は人間の価値観のベースとして刷り込まれているのかもしれませんね。日本人は土地事情で大きさを諦めることが上書きされているような気も…。
コメントへの返答
2011年8月17日 11:49
コメントありがとうございます。
日本人は、宅地に上限があるため、逆にクルマには立派さや大きさを求めてしまうのかもしれません。

アメ車については、おそらく同じトレンドが見出されるだろうと予想はしているのですが、アメ車は、日本車とは別の意味でガラパゴス化が進んでいる(広大な土地、安い燃料、高収入等)ので、敢えて分析対象から外した経緯があります。でも、ご指摘の点から、分析してみても面白いかもしれませんね。
2011年8月17日 7:08
はじめまして。いつも面白い記事を書いておられるのでちょこちょこ見せて頂いてます
モデルチェンジの度に大きくなるのは漠然と感じていましたがグラフにすると分かりやすいですね。大きくなる理由は、売り文句に「大きく立派になりましたよ、室内広くなりましたよ、排気量増えて速くなりましたよ」って使うためだと思ってました。
安全性確保も一因だと思いますが、1998年からサイズの変わらない軽自動車は当時の安全性のままなのかなーという疑問も・・
コメントへの返答
2011年8月17日 11:57
コメントありがとうございます。

同感ですね。私が「グレードアップ感」と書いたのがそうです。使用者観点から書きましたが、売り手からの観点から表現すると、ご指摘のとおりの言い方になるのだろうと思います。

このような要因が背景にありつつ、使用者の生活環境の変化やあるいは安全性向上といったニーズに対する対応として、サイズアップが進むのであろうというのが趣旨です。

ただし、そのトレンドは、いろいろな要因によってバイアスがかかるのもまた事実で、特に行政による規制がそれに当たるかと思います。

 今回、分析していて確認できたのですが、日本車の場合、全幅の拡大には何がしかのブレーキが、ある時期までかかっていることがデータからも分かりました(いわゆる5ナンバー、3ナンバーの壁?)。ただし、そういう時期であっても、今回のような指標にすると常にサイズとして拡大傾向が認められましたので、やはり一定のトレンドは存在すると結論した訳です。

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yutty1325です。シトロエンC5からの乗り換えで、ボルボS60に乗っています。下手の車好きです。ブログにはクルマを中心とした話題を取り上げていきます。
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