愛車紹介にも載せていますが、自分にとって自家用車といえる始めての存在が、米国赴任中に乗ったVolkswagen Jetta MkIIになります。前任者から譲り受けた中古車で何年度生産モデルか等は良く分かりませんが、おそらく普通の1.8L、CLiであろうと思われます。残念ながら20年近く前の話になりますので、いい写真が残ってなくて申し訳ないのですが、ネットで拾ったこのモデルの色違いの濃紺の車でした。
車としてはハズレ個体であったようで乗っていた2年間であちこち壊れまくって結構大変な思いをしたのですが、まあそれは置いておいて(笑)、運転してみて、また使ってみての印象は、さすが傑作として名高いGolf MkIIをベースに作られているだけあり、まさに優れた実用車というに値するものでした。具体的に感想を列挙してみると、
・グラスエリヤが広く明るい室内
・荒れた路面や少々の雪でも安心なFF(北国でしたのでありがたかった)
・みしりともいわない頑丈な車体
・驚くほどの直進安定性(特に高速道路で際立つ)
・びっくりするほど大きなトランクルーム
家内に言わせると、最初はパワステじゃないと感じた程の重ステと、暗いヘッドライトなどが不満点でしたが、当時国産車ではまだ珍しかったUVカットガラスも装着しており、何とはなしに高級感もあったこと、あと細かいことですが、エンジンを止めてキーを外しても、温度が高いと電動ファンがしばらく回り続けるところが、いかにも生き物みたいで、今でも懐かしく思い出されます。おそらく燃費はそこそこであったろうと思いますが、そこは1ガロン1ドルの当時の米国のガソリン事情、気にしたことはありませんでした(笑)。
少し余談になりますが、80年代~90年代のヨーロッパ車のハンドリングの特長として、セルフステアリング気味といっていいのか分かりませんが、直進と曲がりで割りとスイッチみたい切り替わるタイプの設定を持つ車が多かったのではないかと感じています。書物で古いメルセデス・ベンツのハンドリングがそんな感じであったとの一文を読んだことを覚えていますし、このJettaもしかり、更に過日運転する機会のあった、シトロエンZXも、良く似たハンドリングフィールであったのに少し驚きました。こと直進性に関しては手を離してアクセルを踏んでも矢のようにまっすぐ進んでいくという印象でした。一方、最近の車は、その辺りはシームレスかつスムースな設定であり、昔の車のハンドリングを懐かしむ声はあるものの、ある意味クルマの技術的な進歩と捉えるほうが良いのかも知れません。
ということでJettaは2年間の北米の生活ではあちこちに移動する足車として随分と利用させてもらい、良質な道具としての実質を備えた車として今でも好印象を持っています。
* * *
さて、自分の家の近くに、フォルクスワーゲンのポロが停めてあります。赤いボディカラーのまさにこの写真のモデルです。最近のワーゲンのエクステリアデザインには賛否両論があるようですが、少なくともポロについては、大変良いデザインであると個人的には思っています。
こころみにJetta MkIIと最新世代のポロとで、その仕様を比較してみると、
<ジェッタ>
全長 4,385 mm、全幅 1,680 mm、全高 1,410 mm、ホイルベース 2,470 mm、エンジン1.8L 105馬力
<ポロ>
全長 3,995mm、全幅 1,685mm、全高 1,475mm、ホイールベース 2,470mm、エンジン1.2Lターボ105馬力
全長と全高はやや違いますが、ホイルベースとエンジン馬力は全くの同一(!)、成り立ちからは、当時のジェッタ(ゴルフ)2=現在のポロと言えるのではないでしょうか。おおよそフォルクスワーゲンには、上にはゴルフ、パサート、そしてCC、フェートンとラインナップが存在し、最近ではトアレグのような大型SUVもありますが、ワーゲンのアイデンティティは、やはりこのクラスの実用車にこそあるのではないかと思うのです。
残念ながらポロには試乗したことはないのですが、ジェッタの美点を引き継いでいるのだとしたら、きっと優れた車なのだと想像しますし、ドイツ車の中では(今)個人的に最も気に入っているクルマといえます。
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ドイツ車 | クルマ
Posted at
2012/03/10 23:42:42