クルマを走らせる時に乗り心地と操縦安定性を高次元で両立させようとしたサスペンションがトヨタ自動車が開発したTEMS「テムス」があります
これは加速、ブレーキング、旋回Gに対応してショックアブソーバーの減衰力を電子制御に可変させる機構です
これにより加速時(アクセルレスポンス比)のアンチクォーズ(リアの沈みこみ)を抑えたり、ブレーキングでのアンチノーズダイブ(フロントの沈みこみ)を抑えるに加え、旋回時にもロールセンサーやステアリングセンサーにより減衰力を電子制御で可変することにより、操縦性能と乗り心地を両立するものでした
[他社の電子制御サスペンションについて]
この頃、日産ではアクティブサスペンションの進化への過程でスーパーソニックサスペンションを発表
ブルーバードマキシマやレパードに採用しました
動作としてはトヨタのTEMSはステアリングやブレーキング、アクセル開閉により減衰調整をしたのに対して、日産は車体先端に地上に対してのソナー信号を発信し、路面と車体の距離を計測して減衰調整をすると言う、理論上はトヨタのTEMSを上回るものでした
しかし、当時のコンピューターの解析演算速度は20マイクロセコンドと人間の瞬き程の時間を有していました
それは、時速60㎞でその検知したものを、前輪が乗り越えてからの制御しか出来ずに、かえってちぐはぐな制御になることもあり、早くから廃盤となりましたねぇ~
[TEMSの進化]
TEMSの進化系はスポーツTEMSとも言われたピエゾTEMSやHインフィニティーTEMS、スカイフック理論に基づいたTEMSに進化しました
・ピエゾTEMS
従来のTEMSは乗り心地重視を目的にクルマの挙動により減衰を固い方向にふることで操縦安定性を両立したのに対して、ピエゾTEMSはピエゾ素質の反応変化の速さを利用して普段は固めの減衰力から過度な突き上げによる不快をピエゾ素質が感知して柔らか目の減衰力に変化させることにより実現したサスペンション
これによりスポーツテイストを阻害したい程度の乗り心地を確保出来たのです
・HインフィニティーTEMS
従来のTEMSの制御(3から4段階の可変減衰制御)を約16段階くらいにファジーに制御するものです
車速変化(加・減速)や旋回Gの強弱にファジーに制御することにより、全速度領域をカバー出来るようになりました
・スカイフック理論に基づいたTEMS
車体重量が2㌧を超えるようなクルマ(トヨタで言うセンチュリーやランクルなど)ですと、ある程度の固いレートのスプリングで対応していましたが、これですと乗り心地の上質感向上に限界が生じます
この限界を補うために、エアースプリングを採用しました
しかし、エアースプリングの欠点はサスペンションストロークが取りにくなるものでした
この領域をショックアブソーバーを積極的に利用し、補う事とそもそもヘビーな重量を持つ車体の乗り心地を利用して打ち立てた理論がスカイフック理論です
スカイフック理論とは仮想でクルマの車体を吊り上げた形でタイヤと路面、車体をフリーに動かしてやることにより、揺れのないサスペンション減衰制御が出来る優れもの
試しに、この理論を搭載したトヨタ・センチュリーに当時まだ赤ちゃんだった長女を乗せたところ500mも走らないうちに「すやすや」とお休みモードになる乗り心地
この乗り心地は他のどのメーカーでも味わえない操縦安定性ですねぇ~

以上、トヨタTEMSのつたない解説でした

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Posted at
2014/10/08 22:48:17