今回は日経ビジネスオンラインの掲載記事を3話連続でご紹介させて頂きます。
掲載は対談形式による掲載です。
F:=フェルディナント・ヤマグチ(取材者側)
さ:=さーぱぱ(私)
さーぱぱ夫人:嫁さん
[日経ビジネスオンラインの掲載記事紹介]
さてさて、それでは本編へと参りましょう。
ながらく続いたロードスター大特集も、今回でいよいよ最終回である。
試乗→開発エンジニア→ユーザーと三部構成でお届けするのが、当「走りながら考える」の基本フォーマットで、ユーザー編に関しては、既に香川県の長距離走行男、山下さん(彼は先日納車半年にして走行距離4万5500キロを突破した。変態である)にお話を伺い終了している。
ところがここへ来て大変な方と知り合ってしまったのだ。(ND型ロードスターの開発主査、山本氏からのご紹介で実現した取材でした。)
筑波山の麓にお住まいのさーぱぱ一家である。
何とこのさーぱぱファミリー、一家5人で8台のロードスターを所有される変態家族である。
末のお嬢さんはいま17歳で免許を保有されていないので、単純計算で免許保有者1人当たり2台のロードスターをお持ちなのだ。
ご商売が中古車屋さんならまだ話は分かるのだが、ご主人はフツーの会社員
。
一体どうなっているのだろう。
これは何としても事情を伺わねばなるまい。
筑波までお話を伺いに行ってきた。
F:はじめまして。
フェルディナント・ヤマグチと申します。
今回は取材というよりも、個人的な好奇心を満たすためにやって参りました。
何でもロードスターを8台もお持ちであるとか。
これは一体どういうことなのでしょう。
さ:どうと言われましても……(苦笑)。
ただただ私も家内もロードスターが大好きなので、彼女にプレゼントしたり、子供たちが免許を取ったので買ってあげたりしている内に、徐々に増えてしまって。
ご覧ください、横一列にズラリと並んだ8台のロードスター。
これが一家族の所有車とは驚きです
F:増えてしまってって……。ものには限度というものがあるでしょう。
買ったクルマを全部取っておくなんて。
新しいのを買ったら前のは売るとか、いろいろとやり方はあるじゃないですか
さ:1台1台が全て違うクルマですからね。
ムダなクルマ、不要なクルマは1台も無いんです。
この8台のロードスターのほかに、ロータスのエキシージやスープラも有ります。
F:おかしい。
おかしいですよ。
小森さんは不動産関連の会社にお勤めの、フツー
のサラリーマン
だ。
18歳から同い年の奥様と同棲生活を始め、5年経った23歳で結婚された。
その頃からクルマが大好きで、カローラFX、70スープラ、お子様が生まれたのでハイエースなどのクルマ遍歴を重ねていく。
さ:家族全員、クルマを運転することが大好きなんですよ。
私自身も好きですが、家内も子供たちも大好きです。
クルマというよりも馬を飼うような感覚です。
ですから家族揃って清掃もやりますし、整備もやります。
F:ははあ。
それではボンネットを開けて中を覗いたりすることも……。
さ:覗くというか、エンジンを降ろして整備をやりますから。
知り合いの工場を休みの日に借りて、エンジン降ろして全部バラしてバランスを取ったりして。
F:降ろしてバラして
エンジンを、ですか
15万円のポンコツが「筑波の赤い彗星」に変身
さ:はい。
子供たちもみんな自分でやります。
エンジンって、何か不具合が起きるのは、だいたいオイル系か冷却水系なんですね。
ボアアップなどのチューニングはしませんが、大抵の整備は自分たちでやってしまいます。
最初に買った初代ロードスター(NA)は、サーキットを走るために15万円で買ってきたポンコツでした。
クラッチは滑るわ塗装はベロベロだわ、ボロボロだったのですが、それも自分たちでコツコツ直して塗装もやって最高のコンディションに仕上げました。
当時は「筑波の赤い彗星」と呼ばれていたくらいです。
ちょっと変態チックですけれど(笑)。
F:いやもう完全な変態です。
ド変態ですよ。
さ:ありがとうございます(笑)。
F:いや、褒めてないですから(笑)。
それにしても、どうしてそこまでクルマにのめり込んでおられるのでしょう。
さーぱぱ夫人:今はもう彼の方が専門家になってしまったのですが、私はもともとホンダの販売店の娘なんです。
家には旧ライフとか旧N360とかがたくさん停まっていて、その後部座席がお昼寝の場所だったんです。
若いころの彼は、私の気を引くために、一生懸命クルマの勉強をしたんです(笑)。
F:なるほど。
そもそもの動機が不純なんだ(笑)。
でも動機が不純であればあるほど、集中力も高まりますからね。
さ:そう。メキメキ習得していきました。
F:さーぱぱさんは峠道をブッ飛ばす、いわゆる「走り屋」だった。
具体的な話は日経のメディアでは書きにくいが、筑波の峠道を0カウンターで走り抜けていた、と言えばその技量は想像いただけよう。
「トヨタ・ソアラの500馬力」等、仲間のクルマの改造も多く手掛けて来た一方で、ご自身はあくまでもノーマル派である。
そうすると、行き着く先は結局チューニングですよね。
さ:うーん。
そういったクルマはたくさん手掛けてきたし、散々テストもしてきましたけれども、やっぱりチューニングって一長一短が有るんですよ。
クルマが丸くなくなってしまう。
使い勝手が悪くなっちゃう。
それを自分は知っていますから。エンジンをイジらなくてもクルマは十分に楽しめます。
F:たくさんのクルマを乗り継いできて、他の人のクルマをチューニングしてテストドライブまでしてあげて、そんな走りのクルマを知り尽くしたさーぱぱさんが、なぜロードスターなのでしょう。
2話に続く