
H「吉牛、まだ食えないんスかね。」
Y「一発目でダメダメな場所を送ってきちゃったからねぇ。」
H「ココんとこ牛肉自体が食卓に登場する機会が減りました。何―んか鶏と豚ばっか。」
Y「ああ、ウチもそんな感じだよ。たまーに牛肉買ってきても、何か美味しくないんだよね。」
H「ウチの家内は勘違いして『ラム肉』を大量に買ってきましたが、非常に苦痛な献立が続きました。」
Y「まぁ、昔は牛肉自体が今ほど食卓に並ばなかったんだよね。」
H「そうですね。ステーキなんてガキの頃に食べた記憶ないですよ。」
Y「あの当時は『ビフテキ』と言ってたね。今言ったら若い奴に笑われるだろう。」
H「ああ、思い出した。ガキの頃、父親が国際線の機関士やってるって友人がいたんですわ。」
Y「昔、機長と副操縦士の後ろで横向いて座ってた人ね。」
H「そうっス。で、彼の家で夕食ゴチになったんですけどね、家の雰囲気違ってました。何というか、あんまり地べたに座ったり、寝ころんだりできないような…」
Y「そりゃ緊張しそうだね。書斎の壁には難しそうな外国の本がバーンと埋め尽くしているような。」
H「ああもう、そんな感じの家っス。もー、ガチガチっすヨ。で、お父様、ワインとか飲んでるんですわ。当時ワインなんて普通は飲まないッス。赤玉パンチとかじゃないですよ。」
Y「お父様にはアレかい、ダンディなヒゲ装備とか。」
H「もー、バッチリ。アンタみたいな中途半端でコ汚ないアゴヒゲでなく、70年代セレブな口ヒゲです。」
Y「中途半端でコ汚くて悪かったな。」
H「そしたらですね、見たこともない食い物が出てきたんですわ。聞いたら『タンシチュー』。もー、ビックリですよ。シチューが茶色いですからね。さらにタン。何じゃそりゃって感じです。」
Y「当時、シチューというものは白いものと決まっていたから、そりゃ驚くわな。タンはツバメの巣とかみたいな『キモい珍味』だと思っていたよ。」
H「晩飯がタンシチューで、パパはワインですから。普通の家の晩飯じゃないっスよ。さすが飛行機乗りの家だなぁと思いました。」
Y「で、そのパパは、城達也みたいな声で『ゆっくりしていってくれたまえ』とか『仲良くしてやってくれたまえ』とダンディ口調でトークするわけ?」
H「まぁ、近い感じはありましたね。タンシチューを運んでくれた奥さんも、細身でエライ綺麗な感じでした。」
Y「ダンディ親父に『グヒヒィ~、旦那ぁ~。ヨメ、スッチーだったんスか?夜のフライトは今でも一緒っスか?』とか聞いた?」
H「ンなバカなこと聞けるわけないっしょ。ガチガチで受け答えしながら、初めて見る茶色いシチューをウメェウメェとたいらげた後、ボディの横が木目になった『見たこともないワゴン』で送ってもらいました。」
Y「サニーカリフォルニアじゃなくって、メリケンワゴンだろうね。その感じじゃあ。ダンディパパは『それでは快適な空の旅を、ハッハッハ…』とかセレブなギャグを言っちゃったりして。」
H「まぁ夕食もそうですけど、同じ父親・母親でもウチと全然違う。家に送ってもらったら、ウチのお袋が頭にクルクルのカーラー当てっぱなしで出てくるわけですから。住む世界が違う人がいるんだなぁと思いましたよ。」
Y「しかし、その同級生の子とは仲がよかったんでしょ?」
H「ええ、礼儀作法はしっかりしてましたけど、基本的に脳みそはボクや周りのクラスメートと同じ『chinchin-shirishiri-unkounko』のオゲレツOSでフォーマットされてましたからね。」
Y「じゃぁ、アレだね、ダンディパパもお前さんが帰った後『いっやぁ~!スッゲー緊張したっ!!ブーーーーッ!(放屁)おーい、ヨメ!!ビールビール!あとスルメ焼いて。』とか言いながら、その辺にゴローンと横になってたりして。」
H「清楚なママも『うるせぇなぁ、自分でヤレよ、このトンチキが!』とか言って、その周りで友達が『ギャハハ!クッセー!クッセー!』と大はしゃぎしてたりして…。」
Y「しかし、マジな話、そういうダンディパパって憧れるね。明日ッからその路線で行こうかしら。」
H「子供は純粋なんでダマされないっスよ。」
Posted at 2006/01/24 00:36:25 | |
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