
以前、ある方の講演で知ったお話です。
30数年前、地元の某団体が本田宗一郎氏を記念講演に招きました。
“本田宗一郎が来る”地元のホンダ販売店はショールームを磨き上げて待ち構えたそうですが、立ち寄った本田氏はショールームには目もくれずに整備工場へ。
私は整備のことはよくわからないのですが、オイル(?)を溜めておく槽(?)のようなものがあるそうで、本田氏はそのオイルの中にズボッと手を突っ込むと、管理が行き届いていないことを指摘し、自分が(翌日の講演が終わって)帰るまでに改善するように指示したそうです。
ユーザーの立場になれば、車を売る(買う)までよりもその後のサービスがしっかりしているのは嬉しい限りですよね。
大物がやってくると必ずあるのが市長表敬訪問というやつです。時の市長は本田氏とどんな話をすれば良いかを周囲に相談していたようです。そんな中で“ホンダの工場誘致を考えている”という話題はどうか? という意見があったそうで、実際に話題にしたそうです。
おそらく、社交辞令ぎみに軽く言ったのだと思いますが、のちに問題になりました。
数か月後、羽田か、どこかの空港で本田氏の秘書と市長の側近がばったり出くわしました。秘書は真顔で「あなた方は何をしているのですか?」と切り出したそうです。そう。本田氏は「工場誘致」の話を待っていたのでした。
青ざめた市長の側近は文字どうり飛んで帰り、早急に準備を進めて本田技研に使者を送りましたが、もはや後の祭りでした。当然ですよね。元々はその場しのぎの話題だったのでしょうが、言ったからにはちゃんと取り組まないと・・。
本田氏は講演の話が来るまでは知らなかったであろう地方都市の話にもしっかりと向き合ってくれていたのに、なんということだろう。もしかしたらHONDAの工場ができていたかもしれないのにね・・。
むかし、むか~しのおはなしでした。
Posted at 2017/04/19 20:41:48 | |
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