自転車プロロードレースの話題です。
4/12、フランスでクラシックレース、「パリ~ルーべ」が開催されました。
パリ~ルーべは、今年で107回を数える、大変、歴史とステータスのあるクラシックレースです。
コースは、パリ郊外、コンピエーニュからベルギー国境の街、ルーべまでの259km。
コース途中には、27セクションの長短、様々な“パヴェ(石畳)”が組み込まれ、悪路のため落車やパンクといったトラブルが頻発するレースです。
この時期のヨーロッパは天候が悪いことが多く、ひとたび雨が降れば、石畳は“ぬかるみ”の泥道へと変わり、その様相から、別名「北の地獄」とも呼ばれています。(^^;;)
あまりにも過酷なレースのために、有名選手でも出場をキャンセルしてしまうほどのレースです。
特に、ジロ・デ・イタリアやツール・ド・フランスを狙う選手は出場しません。
それだけに、このレースで勝利するというのは、クラシックレースを専門に狙うプロロードマンにとっては、最高の名誉になります。
さて、レースですが・・・。
レース開始後、少人数の飛び出しがありましたが、有力選手を含むメイン集団は静観。
そのまま、レース中間点過ぎ、163km地点にある「アーレンベルクの石畳」まで来ました。
↑パリ~ルーべ名物、アーレンベルクの石畳です。
距離2400m、難易度★★★★★のガタガタ道はトラブル続出・・・。
石畳の損傷が激しく、数年前、パリ~ルーべのために修復工事までしたという石畳です。
優勝候補筆頭のT・ボーネン(クイック・ステップ)が先頭で進入。
ものすごいスピードです。
ボーネンは、メイン集団のメンバーの絞込みを狙っての動きだと思います。
案の定、アーレンベルクで落車が発生!
メイン集団の人数が大きく減ってしまいました。
ひとつ目の勝負所で、ボーネンの読みが当たりました。
200kmを過ぎて、逃げる先頭集団とのタイム差を詰めるべく、ボーネンがメイン集団の先頭を引いてスピードアップ。
逃げる先頭グループ5人を捕らえ、ボーネンを含む10数人の先頭グループが出来上がりました。
この後、レースは石畳をクリアーしていく度に先頭集団の人数が絞り込まれ、レース終盤のセクター5、カンファナン・ぺヴェールの石畳で大きく展開します。
先頭グループのメンバーは・・・。
L・ホステ(サイレンス・ロット)、J・ヴァンスーメレン(サイレンス・ロット)、J・A・フレチャ(ラボバンク)、T・ハスホフト(サーヴェロ・テストチーム)、F・ポッツァート(カチューシャ)、ボーネンの6人。
石畳の左コーナーで、先頭集団にいたフレチャが落車!!(◎_◎;)
これに、ホステとヴァンスーメレンが巻き込まれます。
↑フレチャの落車から、ボーネン独走までの映像をどうぞ。
先頭グループがバラけた状況で、次の石畳、セクター4、カルフール・ド・ラルブルでハスホフトがアタック!
ボーネンのみが後ろを付いていきます。
左コーナーをボーネン先頭でクリアー。
あ~、後ろのハスホフトが落車!!!(◎_◎;)
左コーナーでオーバースピードだったのでしょうか?
バリアーに激突して落車してしまいました。
これで、ボーネンが先頭に立ちます。
追走はハスホフトを追い越したポッツァート一人・・・。
残りの石畳セクションは3つ。
ボーネンがガシガシとペダルを踏み締めて、渾身の逃げです。
ポッツァートも必死で追走。
コース沿道では、黄色いフランドルの旗が振られています。
ボーネンもフランドル出身のフラマン人。
沿道の観衆も熱狂しています。(^.^)
ゴールまで残り2kmを切りました。
ボーネンとポッツァートとのタイム差は約30秒。
ほぼ、ボーネンの逃げ切りは確定です。
↑レース残り1kmからゴールまでの映像をどうぞ。
パリ~ルーべのゴールは、この自転車競技場(ヴェロドローム)です。
過去、数々の名選手が優勝したゴールですね。
今年はボーネンが単独でゴールしました。
レース展開としては、終盤の先頭グループで落車が相次ぎ、ボーネンの“タナボタ”的勝利にも見えます。
しかし、パリ~ルーべでは、落車に巻き込まれないポジション取り(常に集団の前方で走る)や、滑りやすい石畳を走るバランス感覚やテクニック、ガタガタ道でスピードに乗れない悪路に負けない脚力とスタミナが必要です。
今回のボーネンのように、いかにトラブルを回避して勝利に近づくのか・・・というのは、パリ~ルーべで優勝する最大の必須条件となります。
今回のボーネンの勝利は、この全てにおいて、他の選手を圧倒していたことになりますね。
“クラシックレースの女王(パリ~ルーべの別称)”は、ボーネンに微笑みました。
彼の戦歴で、パリ~ルーべは昨年に続き2連覇!
通算、3回目の優勝です。
クラシックレースでの実力が本当に素晴らしいボーネンの活躍でした。
次のクラシックレースは、オランダで行なわれる「アムステル・ゴールドレース」です。
起伏の激しいマーストリヒト郊外の丘陵地帯を巡るコースとなります。
上り・下りと休むヒマのないレースは、選手達を苦しめることでしょう。
これまた、楽しみなレースです♪(^.^)