「ブレーキマスターからフルードが漏れている。」
そんな相談が何人かのオーナーさんから寄せられたので、何年かぶりに部品の在庫状況を調べてみたのですが・・・。はっきり言って、
結構ヤバい状況ですね。
銀VR号が
マスターからの漏れでオーバーホールしたのが4年ほど前で、その時点でも制研やミヤコのリペアキットは既に廃番で在庫も枯渇気味だったのですが、
2015年時点で既に三菱からも純正部品がでなくなっていたようです。
スタリオンのブレーキマスターリペアキット(ピストンとシール類のセット)は、大きく分けて1.
86年以前、2.
86年以降88VRまで、3.
88VR以降の3種類あり、1が
MB238245。2が
MB534780、3が
MB618582となっています。北米では87MY以前がMB238385、88MY以降がMB618582となっていたようです。
非常にややこしいのがマスターの内径が2種類あり、
1と2が15/16インチなのに対して、
3は1インチという表記が電子PL上はされているのですが、リペアキット自体は
最終的に1インチ用のMB618582に全て部番統合されてしまう事です。マツダなんかでは15/16インチと1インチでは
かなり大きさ自体が違うようなので、15/16インチ内径に1インチのシールやピストンを入れるという指定の時点で、
本当に出来るんだろか?的な感じです。
どちらにしてもこのMB618582が部品として出なくなっているようなので、スタリオンオーナーはみんな困る事になる訳です。
恐怖のYカンリでなければ、バックオーダーを掛ける事で供給される可能性が残っているのですが、シリウスさんが数年前からMB618582に対応したシールキットやリペアキットをラインナップで準備している位ですので、Yカンリの可能性が高そうです・・・。三菱自工自体が事実上日産/ルノーに吸収されかかっている状況なので、今後は
旧三菱時代の部品は保有しなくなっていく可能性も覚悟しなければなりませんorz
eBayを見てみると、ブレーキマスターAssyは今でも複数のメーカーから北米純正が出るようなのですが、ブレーキブースター側の取り付け形状が異なるので、国内にはブレーキブースターやリザーバ―タンク含めて丸ごと全部取り替えないと恐らく取り付けができません。おまけに、
内径が87MY以前の15/16インチものしか供給されていないようなので、ピストンのみを取りだして転用するという手が88年以前の年式でしか通用しない
可能性も高いです。
RockAutoではEISというメーカーのM7489という部番でリペアキットが入手できるようなのですが、これも15/16インチと表記があり、1インチのものは対応部品が設定されていません。
ただ、「恐らく無理」と敢えて断定しなかったのは
、メーカーによりリペアキットの互換性の扱いがまちまちな為です。国内を見まわすと
新生製作所という会社がブレーキ部品を製造しているようで、
そのカタログをみてみると、MB238245がFT-4035、
MB534780とMB618582が共にFT-4053となっており、
MB618582が15/16インチとして扱われています。
ミヤコ自動車の品番も似たようなもので、
MB534780とMB618582が共にTK-9760となっており、15/16インチという事になっています。北米では88MY以降1インチに切り替わっているはずなのですが、前述の
EIS M7489は88-89MYも対応車種にひっくるめられてしまっています。
1インチのガワに15/16のシールをムリヤリ組んでガマンせいという事なのでしょうか? そもそも米国人の方々は丸々マスターを新品にするという選択肢が取れるので、
1インチ用のリペアキットが無くても誰も困らないせいか、starquestclub.comでも全く話題に出てきません。。。starquest.i-x.netは昨年末から消滅してしまったようですし・・・orz 本当に困った状況です
♪
なお、クラッチのマスター、レリーズのリペアキットは、それぞれMB012161、MD997786なのですが、幸いにしてブレーキと異なり、三菱車で共用部品として使われていた車種が大変に多いので、ミヤコ自動車等のキットがまだ安定的に手に入るようです。
追記:4年前の自分の日記を辿っていったところ、
銀VR号は15/16インチのインナーキットでO/Hをしたようです。リザーバー付近の漏れは
A183A用のリザーバーシールキットを購入して直したらしい事も書いていますね。「らしい」というのは、この辺りの作業は全部ディーラーにお願いしていて、その後特に「合わなくて困りました。従って漏れも治ってませんorz」的な事を書いていないので、まぁ
用意した部品だけで何とかなったんだろうとしか言いようがない状況で。というよりも、この辺りの事をガチであんまり覚えてないんです。
歳は取りたくないもんですねorz
追記2:忘れないうちに他の車両についてもブレーキマスターのリペアキットについて調べておく事にしました。
トライ号はH3年式なので純正リペアキットは7257-71161(\7,630)、ミヤコ部番ではTK-9818(\7,630)、内径は3/4インチでした。これはKR/KT系サンバーの後期型やKJ系ドミンゴと共通です。注意が必要なのはこれが使われているのはKV/KS系でも90年から92年までで、それ以降の98年式までは同じ3/4インチ内径ながらもFA系ドミンゴと共通のTK-F206という系列の部番に変更となり、ABS付き用のTK-F208も含めて
KV系中期以降はミヤコでも既に廃番になっている事です。TT/TV系はそもそもミヤコ部番の設定自体がありません。KR後期~KV初期のTK-9818は世界のどこかで需要が残っているのか、現時点では製造廃止にはなっていません。
GX号は12インチ車なので純正リペアキットはMB238979(\6,800)、ミヤコ部番ではTK-G200(\9,200)、内径は13/16インチでした。三菱はスバルと比べてローターやキャリパーはやや貧相なのですが、
マスターの内径は三菱の方がスバルよりでかいものを使っているというのが面白いところです。この品番は12インチディスク車なら全年式共通で、H2x系ミニカと共通なので現時点ではトライ号と同じく現行部品扱いです。しかし、U4x系初期の10インチドラム車用の7/8インチキット(TK-G218)は既に廃番になっているのでご注意を・・・。
ただ、リペアキットがどういう供給形態だとしても、実動20年を越えたら
フルードが漏れてフロアの床やバルクヘッドを錆だらけにする前に必ず一度は交換しておいた方が良いと思います。なお、キットが入手できて無事交換できた場合でも、
古いインナーピストンとシール一式は予備部品として必ず保管しておくようにしましょう。リペアキットも出ない場合の最終手段として、ディーラーでは
ピストンを一度抜いてシールのみ汎用品で合う物を探して交換する事で対処しているようですので・・・
。リペアキットが廃番の場合は解体車をどうにか探して
ピストンがきちんと抜ける状態のマスターシリンダーを一つ予備部品として保有しておくとよいでしょうね。この場合も、いざ車体側が漏れた場合に予備マスターをばらす事でシール交換で何から何を流用して対処するか、じっくりと検討できるようになりますので・・・。
さらに追記:幾つか質問を頂いたのですが、国内のスタリオンに北米コンクエストのマスターシリンダーを流用するには、
最低でもブレーキブースターの交換が必要です。
国内がこんな形で、

北米がこんな形。

つまり、マスターシリンダーに対する取り付けボルトの配置が水平か垂直かの違いがあるのです。
PL上ではブースター本体から後ろ側の部品構成、画像では
54196のスペーサーや54111のオーバーホールキットの部番は共通なので、恐らくブースター自体は国内にも加工無しで取り付け可能と思います。
マスターシリンダーの全長やブレーキパイプの取り付け部分の全長などが多少異なるので、前述のFD3Sへのセンティアマスター流用の記事の様に、銅配管の曲げ加工が必要になるとは思いますが、後は別体式のリザーバー、出来れば北米純正がベストですが、国内でもU6x系のミニキャブ辺りからタンクを流用などすれば、交換は可能じゃないかと思います。なお、
eBayでは北米マスター、ブースター共に新品が手に入るようです。参考までに。
Posted at 2017/04/02 23:26:20 | |
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スタリオン | 日記