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2005年01月18日 イイね!

オイル添加剤とは その2

オイル添加剤の続きですが、結論としては添加剤を入れないで良いオイルを入れましょう!と書くと身も蓋も無いので、一つずつ考えてみたいと思います。

前回添加剤は大きく分けると、粘度を向上させる物と摩擦係数を低減させるタイプの2種類で、さらに摩擦を低減させるタイプには、添加剤の成分によってテフロン系、塩素系炭化水素、モリブデン系の3つの種類が主な物だと書きました。

-----粘度を上げるタイプ-----

オイルの性能が今ほど良くなかった時、高負荷高回転で油膜切れを防ぐには、高熱下でも厚い油膜を保持する粘度の高い物を用いるというのが一般的な考えでした。
その頃からある元祖と言うか正統派タイプですが、この方向性の製品は現在はあまり見かけなくなりました。

要するにそれだけオイルの性能が向上したってことでしょうか。営業車って結構ハードに使われるし、高速でもぶっ飛んでいくのを見かけますが、オイルが原因で焼き付いたなんて聞いたこと無いし、あの程度のオイル管理で10万km以上元気に走る物です。

このタイプの添加剤の成分はポリイソブチレンやエステルポリマーなどで、通常のオイルにもブレンドされています。

油膜が厚くなるので、ピストンリングの減った旧車に使用すると効果があるかもしれませんが、最近の車のエンジンに用いるメリットは無いと思います。デメリットは回転が重く燃費が悪くなる、スラッジの元になるといったことでしょうか。

多くの添加剤がそうですが、劣化するとスラッジの元になるので、なるべく素性の良いベースオイルに不要な添加剤は少なくと言うのが高級オイルの考え方です。

添加剤を理解するには、その化学的特性だけでなく、流体潤滑、境界潤滑、極圧潤滑、固体潤滑を正しく理解し、エンジン内部でオイルはどのように働いているかを把握している必要があるが、それぞれが大学の講義になるような本であるため、全ての面から評価したものは無いと思われます。

ティムケンテストなど分かり易い極圧試験は出来ますが、燃焼熱に曝されたときの化学的変化とか、エンジンのどの部分にメタル軸受けが使われて、どこがベアリングでどのような潤滑状態であるか、場所によっては油膜の維持と摩擦の低減という相反する条件が厳しい場合、適当な添加剤を入れると、どちらかのバランスを崩すことになりかねません。

-----テフロン(PTFE)系添加剤-----

これは色々な情報がネット上にあり、みなさん聞きかじった話で発信したり嘘も真も入り乱れています。特にマイクロロンと言う有名品があり、レーシングカーデザイナーも広告に一役買っているので値段の高さと相まって効きそうな雰囲気を醸しています。

また、テフロンというと新しいような気がしますが、アメリカで車のオイル添加剤として商品化されたのは30年以上前の1970年頃になります。その約10年後になり、テフロンの販売元であるデュポン社はオイル添加剤に適さないと発表しています。

添加剤の議論が持ち上がると良く引き合いに出されます、オイル添加剤の真実↓

http://www.mercedesbenz-net.com/trouble/tenkazai/index.html

ご存知の方も多いと思いますが、はじめての方はどう思われるでしょう。

比較的真実を表していると思いますが、中にNASAで独自調査・・・みたいな表現がありますが、私はそうした記録は見つけることが出来ませんでした。
NASAが車のオイルの試験をやるとは思えないので、もしかしたらロケットで使用する軸受けなどの潤滑剤として試験をしたのかもしれませんが、真相をご存知の方がみえたら教えてください。

で、開発元のデュポン社はどうなっているかというと、テフロンの説明のあるHP↓

http://www.teflon.com/Teflon/consumer/ap/jpn/home_page.html

で自動車関係と言うところをみると、英文ページに飛びますが、ワイパーブレード、オイルフィルター、ボディやシートのコートが紹介されているだけでエンジンオイルと言う言葉は出てきません。

メーカーもテフロン分子は柔らかいので極圧のかかる部分では有効ではないと過去に発表していますので、現在販売されているオイル添加剤(デュポンが添加剤に対してテフロンと言う登録商標の使用を禁じたためPTFEと表現されている物)は害はあっても効果は無いと考えられます。

その1で書いたように、溶剤がオイル粘度を下げるため吹けが良くなることと、テフロン粒子が柔らかくショックを吸収するため音が静かになることから、効果があると信じている根強い信者がいるように思います。

ただ、デュポンのHPをよく見ていると、フッ化系添加物で登録商標名がZonyl(ゾニール??)と言う粒子があり、その中で内燃機関のオイルに添加するみたいな説明があります。

↓のOILと言う部分。

http://www.dupont.com/teflon/fluoroadditives/applications/lubricants.html

デュポン社では、テフロンはエンジンオイルの添加剤に適さないと発表した後もテフロン粒子の研究を進めていて、約10年後の1991年にフッ化系添加物はオイル添加剤として優れていると言う発表をしており、それがこのZonylというテフロン粒子と思われます。

しかしこの翌年92年、米国のロードライダーマガジンと言う雑誌で、Snake Oilと言うタイトルで、テフロン系添加剤をバッシングする記事が発表されて、幾つかの製品は訴訟などもおこり事実上米国内での販売が出来なくなりました。
これは、化学合成オイルメーカーが仕組んだものだとか黒い噂がありますが真相はわかりません。

Snake Oil の記事↓

http://www.vtr.org/maintain/oil-additives.html

Zonylの話に戻りますが、説明の中で内燃機関で使用するには化学的、温度的安定度が重要であり、MP110という製品が粒子が小さく液体では安定したコロイド状態で化学的に安定した物だと書かれていますが、製品検索で「潤滑」「オイル、グリス」に使用できる物を検索しても適合する物が出てこないなど良くわからない部分があります。

オイル添加剤の真実の中にも書かれていますが、米国ではメーカーが正式に使用禁止を呼びかけているのに、日本では同一メーカーの車を扱うヤナセや他のディーラーで販売するなどおかしな点があります。

穿った見方をすると、使用した事による故障の確率と利益を比べると利益が大きいとか、日本人は簡単に訴訟を起こさないから大丈夫とディーラーが考えているのかと思ってしまいます。

効果のほどは、エンジンオイルと添加剤のHP↓

http://web.kyoto-inet.or.jp/people/macchann/hiroshi/f4c2.html

でも、言われているほど摩擦の低減にならないとあります。
同HP中に問題点など書かれており、NASAのルーウ”ィス研究所による見解などネット上では良く見かけるものなのですが、NASAにはそのような研究所は無いですし、似た名前でルイス研究所と言うのがありますが、テフロン系添加剤に関する研究を行った実績は見つけることが出来ませんでした。

テフロン系添加剤の裏には、色々と政治的な匂いもして調べれば本1冊には十分なりそうです。

だらだらと書きましたが、シリンダーにはわざわざクロスハッチを付けて油膜を維持して流体潤滑を行っているのに、金属表面の溝を埋めるとか、そもそもテフロンは後から金属面に定着などしないので、コーティング膜が出来てコールドスタートが防げるなどと書いてある製品は信用出来ません。

また、クランクシャフトのメタルや、カムが高負荷時に流体潤滑から境界潤滑になることが知られていますが、この点を考えると効果の認められる化学合成油が安心ですし、純正のオイルならそうした高負荷時でも保護出来る事を確認しています。

レガシィや高級車はクランクシャフトはベアリングで支持したり、カムなども最近は窒化チタンコーティングを施して摩擦抵抗を下げるなど、添加剤よりも優れた材料が使われています。

細かいとは言え固体物質をエンジンに入れるのは抵抗がありますから、テフロンはフライパンやワイパーゴム、マウスの裏に付けて滑りを良くするのが一番良使い方だと思います。
くれぐれも、ハンズなどでテフロン粉末を購入してエンジンに入れることの無いようにとしかアドバイス出来ません。

元気があったらつづく
Posted at 2005/01/18 14:43:50 | コメント(0) | トラックバック(2) | 技術解説 | クルマ
2005年01月17日 イイね!

オイル添加剤とは その1

カー用品店に行くとエンジン保護や性能向上をうたったオイル添加剤が数多く並んでいます。
値段も千円未満から1万円近い物まであり、説明をみると良いのかも~、これは入れなくっちゃと思わせる言葉が並んでいるが本当に良いのだろうか?と車好きなら一度は悩んだことがあるはずです。

現在はネット上でも多くの情報がありますが、添加剤販売側のHPでは存在しない研究機関やNASA等の言葉を引き合いに出したり、自社で実験を行わずに、科学的に根拠のないデータや記事を引き合いに出して売り込んでいるものが多く感じます。

一方で、添加剤アンチ派の情報が正しいかと言えば、研究論文から一部だけ都合のいいところを持ち出したり、しかもそれの元を辿れば誤訳だったりとこちらも情報が一人歩きしている感じがするものが多く、真実が見えない状況だと思います。

添加剤を使用している人の多くは、少しでも車の調子が良くなればと思って使用していると思いますが、自動車メーカー、オイルメーカーで添加剤を推奨している所はなぜ無いと思いますか?

冷静に考えてみると添加剤で主流となっている、テフロン、有機モリブデン、塩素系炭化水素は本当に安い物であり、そんなに効果のあるものならばオイルメーカーが初めからブレンドしているはずです。

特に、添加剤ではテフロン系であるマイクロロン等が高額ですが、添加剤としてみた場合、テフロンは有機モリブデンよりも安く手に入ります。東急ハンズなどでもテフロン粉末を売られていて、それをオイルに混ぜている人をweb上で見かけたりしますが、どうして300万近い高価な車にそんなことが出来るのか不思議でなりません。

私自身、添加剤の効果は否定するものではなく、効果があるのは承知の上で、ある意味添加剤の集合体であるモーターオイルとして、メジャーオイルメーカーがブレンドした完成品に市販添加剤を入れるというのは、価格はもちろん性能のバランスの点で入れない方が良いと考えています。

最も信者の多いマイクロロンと言う製品がありますが、これを入れると確かにエンジン吹けが良くなると言うことで、自動車メーカーにおいても好きな者達が実験を行ったことがありました。

結果は、吹けが良くなる原因は添加剤ではないと言う結論でした。
どう言う事かというとテフロン(これは開発元である米デュポン車の商品名であり、化学名はPTFE:Polytetrafluoroethylene)は化学名が表すように、重合したフッソ樹脂で安定度が高いため長期間エンジンを動かさないと沈殿してしまうため、エンジン動作中にオイルに良く分散させるため洗浄分散剤と入れる必要があり、マイクロロンではこの洗浄分散剤としてフロン溶剤を用いています。

そのため、このフロン溶剤がオイルの粘度を低下させて、マイクロロンによってレスポンスが良くなったと錯覚するのではないかと言う結論になりました。テフロン系添加剤はたいてい同じ現象がみられます。(長期的には溶剤は蒸発するが、粘度が下がっているときは油膜切れが起こりやすい)

オイルというと、中東で油田から吹き出して来るもので、原始的というイメージもありますがなかなか科学的に考えられています。
また、多くの人は、サラダ油などの植物油なんて使えないと考えがちですが、油膜の強さ、粘度など鉱物油にも勝りレースなどで使用された実績もあります。
ただ、植物油はすぐに酸化してしまうため一般に使用するには、安定性の点で難しいですが、私が学生の時に、自動車部が廃車にするスターレットにサラダ油を入れてどれくらい走るか実験をしたら、予想に反して壊れるどころか調子が良くて最後にはオイルを抜いて走り回ったけど、それでも内部に残った分だけで何十kmも走れたということがありました。

そもそも、エンジンオイルはベースとなるオイルに、減摩剤、酸化防止剤、清浄分散剤、粘性維持剤、消泡剤、流動点降下剤となるいわゆる添加剤をブレンドした、添加剤の絶妙なブレンドによって出来ています。

人間の病気の薬でも、多量接種すれば死亡するように、添加剤もバランスを間違えるとオイルの性能の大切な部分を悪くしたり、エンジンにダメージを与えたりします。

市販の添加剤は上記の添加剤作用のうち、オイル粘度を向上させて高温時の油膜とコンプレッションを向上させるタイプ(STPの製品など古くからレースなどで用いられた)と、マイクロロン等に代表される潤滑性能(摩擦低減)を向上させて燃費向上、エンジン保護などを目的とするタイプの2つタイプに分けられると思います。

そして、この2つ目のタイプは成分によって更に大きく3つに分けられる。
1つ目は、テフロン(PTFE)を配合して金属面に定着し、境界潤滑、極圧潤滑性能向上をうたうもの。代表製品として、マイクロロン・SX-6000、SX-8000などなど多数。

2つ目は、塩素系で金属面を改質して境界潤滑性能向上をうたうもの。代表製品としてミリテック・モーターアップなどなど北米に多い。

3つ目は、有機モリブデンを主成分とした境界潤滑性能向上をうたう物です。

エンジンオイルの基礎知識としてはこちらが詳しいので参考にしてください。

http://web.kyoto-inet.or.jp/people/macchann/hiroshi/oildata.html

つづく
Posted at 2005/01/17 15:03:45 | コメント(1) | トラックバック(2) | 技術解説 | クルマ
2005年01月15日 イイね!

エンジンオイルのコメント

本文にコメントを書いていただいたシュンスケさん。

返信を書いてから、名前を間違えて書いていることに気付き、自分の返信だけ消えるのかと思い、削除ボタンをおしてしまいました。大変申し訳ありませんでした。

elfから出ている水平対抗用は良いのでしょうけど高すぎますよね。
SF規格だったかな?それ以前は、オイルは新品で性能評価をしていましたので、使用するとすぐに劣化するなんてものも見られましたが、今は性能劣化もテストしますから通常の使用で5000kmはちょっと勿体無い気がします。

案外多くの人が、オイルはメーカー指定の1/3なのにクーラントは変えていない人が多いですが、年数を重ねるとクーラントの管理の悪い車のほうがオーバーヒート等で駄目になるケースが多いですから、クーラントも1年半くらいで交換すると結果的に車は長持ちします。

でも、一般の人にとって車って道具だから、特に女性はオイルに無頓着な人が多いですよ。きっとそれだけ気を使って貰える車は幸せな車でしょう。
Posted at 2005/01/16 23:09:34 | コメント(1) | トラックバック(0) | 技術解説 | クルマ
2005年01月15日 イイね!

エンジンオイルとは

エンジンオイルとは車関係の掲示板に良く出る話題に、エンジンオイルや添加剤の話があります。
色々と意見があると思いますが、高いお金を払った大切な車だと思っているなら、変な物を入れるよりも純正でいきましょうよ!と言うお話しです。

某BP・BLレガシィのコミュニティの掲示板でも質問があり、添加剤については詳しく書いたんですが、11月末で新板に移行してしまい消えてしまいました。新板でも同じ質問が出ていましたが、どなたか私の書いた物を保管していてくれたようで、張り付けていてくれたので書きませんでしたが、どうして設計者が辞めて欲しいと言っているのに・・・と、愚痴っぽくなってしまいました(^^;

ここに書かれている人は、何歳くらいの方が多いんでしょうかね?
オイルなどに関しては昔から、半年または6千km毎に交換と言う話があり、それが通説として言われていますが、ここ7年位でしょうか・・・プリウスやフィットが出たり、オイルのグレードがSF以降で急にSJ、SL規格などが出た頃から、車のエンジン、オイルはそれ以前と別物になってきています。

オイルは同じような缶で売られているから分かりにくいですし、オイル開発メーカーにとっては、オイル交換をしなくて良いというオイルは、自分の首を絞めると言うジレンマがありアナウンスされていませんが...

どのあたりが変わったのか、簡単に書いてみます。

-----エンジン側-----

純正オイルは以前は10w-30~40等が普通でしたが、最近は5w-20と言った低粘度オイルを純正指定している車が増えています。
これは、燃費向上と言う意味合いがありますが、こうした低粘度オイルを純正に出来るまでになったのは、エンジン側、オイル側で大きな進歩があったためです。

古い車や、高負荷走行をするには硬めのオイルがいいと言われていましたよね。これは、前者の場合、ピストンリング等が摩耗しているので、固いオイルで厚い油膜を作りコンプレッションを稼ぐと言う意味合いであり、後者の場合は油温が上がりピストンスピードも速いので、油膜が切れないように予め硬めの物を入れると言う意味合からでした。

これは、共に正しい事なのですが、エンジンが保護出来るならばオイルは柔らかければ柔らかいほど気持ちいいし、燃費も良くなります。(またの機会に書きますがマイクロロンを入れるとオイルはシャビシャビになり保護性能は落ち、吹け上がりは良くなります)

ですから、以前はレーシングカーなどでも走行中の油温を想定して、固いオイルを入れていましたが、現在はレース中のガソリンによるオイルの希釈まで計算して、レース終了時にギリギリエンジンが保護できる柔らかい物を入れます。

また、フィットなど5w-20と言ったような低粘度オイルを採用して燃費を良くしている車は、シリンダー揺動面には特殊加工が施されていて、どのような車でもこうした低粘度オイルが使える訳ではありません。

しかし、コンピュータの高速化により、以前は正確に解析出来なかった、燃焼解析やエンジンの熱伝導や熱膨張解析がシミュレーション上で出来るようになり、ピストンのクリアランスを大幅に減らす事が可能になりました。そして、コンピュータの性能向上は加工機器の性能も引き上げて、以前と桁違いに精度の高い加工が可能になりました。

こうした進歩によって、以前は厚めのオイルを挟む必要があったのが、薄いオイル膜で問題が無くなりました。

-----オイル側-----

エンジン側が進歩しても、オイルが進歩しなければ、薄い油膜では高負荷時に膜切れを起こしてしまったでしょうが、そこはオイルの進歩によって薄くても膜切れを起こし難い物が完成しました。

ここの皆さんは車が好きな方が多いでしょうから、エステルと言う言葉を聞いたことがあると思いますが、これはオイル業界にとっては画期的なものでした。
エステル分子は極性を持ち、非ニュートン系とか磁性をうたっている商品はエステルが多く入っていますし、金属分子に磁気的に結合しやすく、音も静かになるので今のオイルには多少なりとも入っているものが増えています。

オイルは添加剤の集合と言えますが、こうしたベースオイルの進歩とそこに加える添加剤に進歩によって柔らかいオイルで、交換サイクルも1.5万km~3万km、1年~3年と言うことが可能になりました。

オイル性能がなぜこのようにあがったか・・・理由は色々とあります。
科学の進歩、設計の進歩・・・ですが大きいのは軍事技術のフィードバックでした。

トライボテックスと言う技術が民間に下りてきたのは、ここ15年位の事ですが、元はアメリカ海軍が原子力潜水艦の運用のため、オイル診断からモーターや軸受けの状態を判定するのが始まりでした。

原子力潜水艦は、いったん有事が発生すれば人間は除いて、年単位で行動出来るように考えられており、そのオイルに求められる性能は飛びぬけて高いものでした。

もうひとつ、高性能オイルを求めたのがジェットエンジンでした。これは年単位を想定しませんが、空中給油で2日間飛んだとすれば、自動車エンジンの10万km以上の潤滑性能を要求するオイルが必要でした。

ですから、かなり前からこうしたオイルを車に使用すれば、10万km交換しなくても良いと言われていましたが、航空機が使用するオイルで1リットル当たり4万以上と車に使用するには価格が高すぎるものでした。

で、我々は自分の車にどんなオイルを入れたらいいのか。

言い古されていますが、純正オイルが一番安全です。今はエンジン設計の段階からオイルメーカーの技術者と連携して、ひとつの部品として、ゴム類への攻撃性も含めて検証しているので、純正オイルを指定サイクルで変えてもらうのが一番安心です。

また、新車でライン充填される純正指定オイルになると言うことは、オイルメーカーにとって名誉であり、また利益も大きいので優秀な技術者が気合を入れて開発をしています。ホームセンターに並んでいる高額のものよりも、そのエンジンの性能を引き出すように添加剤などチューニングされているものです。

今の車は特に問題ないと思いますが、ちょっと古い欧州車に添加剤や、高級オイルを入れたら使用されていたパッキングが溶けて、ラインに詰まったりする故障が発生したことがありました。

と言っても色々と試してみたい方は、メジャーメーカーのSL規格以上で、純正指定粘土の物を入れていれば間違いありませんので、色々と試してみましょう。
ここまで書いておいて言うのも何ですが、車のエンジンがオイルに要求する性能はかなり低いです。あのアウトバーンをとばすメルセデスベンツがオイルメーカーに示した、性能要求はあまりに低いもので驚いたと言う話があります。

あと、高いオイルを長くと安いオイルを頻繁に変えるのはどちらがいいかと言う議論がありますが、これは最近はエクソンモービルの技術者も言っていますが、高いオイルを使ったほうが良いです。

長くと言ってもメーカー指定の範囲内のことですが、今のオイル規格は長期安定性として、8000km使用後に性能基準を満たさなければならないと言うテスト項目がありますが、安いオイルは8000km使用後の高級オイルに洗浄性や潤滑性で劣るものが少なくありません。

以上のことは一般的な使用の範囲の話です。サーキット走行を頻繁に行う人は、純正オイルで構いませんので、油温計を付けて120℃を超えるようでしたらオイルクーラーを装着してください。ご要望があればこのあたりの話も別の機会に書きたいと思います。
Posted at 2005/01/16 15:50:29 | コメント(1) | トラックバック(0) | 技術解説 | クルマ
2005年01月14日 イイね!

コンデンサチューンとは

コンデンサチューンとは逆電圧グッズとかコンデンサチューンと呼ばれるものが流行っていて、ヤフオクでも自作コンデンサチューンの商品が売られていますね。。。

某有名品では、4700μF、1000μF、470μFの3つのコンデンサが入っているだけなのはネット上では有名だと思います。
コンデンサ、ヒューズ、LEDの電気街で買えば1000円程度の部品が入っているだのものに凄い値段が付いていたりします。(綺麗なアルミケースに入っていますが)

私個人はこの手のものに否定的なので、効果を感じている人はこれから先は読まないで下さいね(^^;
付けようかどうしようか悩んでいる人は、そのお金で美味しい物でも食べに行った方がいいよと言うお話しですから進んで下さい。

----先へ進む-----

宣伝に書かれている効果としては、バッテリーでは対応の出来ない負荷の立ち上がりにコンデンサから電気を供給するのでトルクが上がったり、中には燃費までが良くなるなんて言い切っているものもありますね。更に、高価な物は複数のコンデンサを組み合わせて低回転域と高回転域の特性向上とか・・・

中学、高校の理科、化学をやった人でも突っ込み所ありすぎだし、ある程度の電気の知識やエンジン制御を知っている人なら??と言う説明ですね。

他の商品や添加剤等々、本当に効果があればトヨタやメルセデスがほっておく訳がありません。みんな、1%の燃費向上のために莫大な研究費を投入しています。
逆に、オルタネータなどリップルがあるような所に電解コンデンサのように熱に弱く寿命のあるものを入れるのは百害あって一利無しです。

高校生レベルで考えると、コンデンサを並列に繋いでも足し算にしかならないこと、コンデンサは1/jωCであるからリップル電流がコンデンサに流れて発熱する事が理解できます。このようなオームの法則レベルの電気理論は100年以上前に確立され変わるのもではありません。

各回転域に効果があると言うものをみると、容量の違う電解コンデンサが並列に繋がっていますが、コンデンサを分ける電気的理由はありませんし、リップル電流によるコンデンサの発熱、破裂の危険性や漏れ電流による消費、エンジンルームなど熱的に厳しい場所に、熱に弱く(良い物でも耐熱105℃)寿命のある電解コンデンサを付ける危険性などなど私にはこんな物を付けようなどとは考えられません・・・一応ヒューズくらいは入っていますが。

また、効果ですが基本的にコンデンサが必要な箇所には初めから入っていますから、付けても変わらないです。変わると言っている人は、体感ではなくアクセル開度やインジョクションの燃料噴射量など計測したことありますか?

何もやらずに言っても説得力無いということで、以前に一応同じ物を作成してプラグの一次側電圧と、インジェクターの噴射時間をオシロで計測したことがありましたが、予想通り何ら影響を与えませんでした。

まだ、実験用に基板にコンデンサとヒューズを付けた物が残っていますので、とりあえず部品代だけなら試してみたいと言う欲しい人は、部品代+送料だけ(1100円)で差し上げます。(上の写真のもので2つあります。それぞれ耐圧は25Vと50V、耐熱は85℃と105度の高い電解コンデンサを使っています)

まあ、ネット上で検索すればそうした実験を行っている人もいますので、興味のある方は探してみて下さい。

ECUや点火系に詳しい人なら、こんなグッズは影響しないのではとすぐに思うと思います。
と言うか、バッテリ電圧は12~15V位を変動するので、そんな電圧変動によって影響を受けたら困ります。メーカーの技術者だってそんなことで影響が無いように考慮して設計しています。

具体的には、ECUやセンサは5Vで駆動されているので問題ありませんし、インジェクタ駆動はバッテリ電圧ですが通電時間等はECUによって電圧補正されています。
電気を使用していて加速中にエアコンなどを入れて電圧が落ちて失火やエラーが出るようでは困ります。最後の点火コイルはバッテリ駆動ですが下に書くように、CDI等で数百ボルトにされていて、バッテリの電圧の影響が出ないようにしています。

話がずれましたが、電気回路上におけるコンデンサの役割は、フィルター、チャージポンプのような電圧源、オーディオなどの電源分としてです。それならオーディオの音は良くなるのではと言う意見もあるでしょうが、バッテリーの反応速度と短絡容量を知っていますか? それに、こうした商品には見た目が良いのと値段を正当化するために太いケーブルが付いていますが、こんな容量のコンデンサでどれだけ電流が流れるか、中学校の頃のテストを思い出してみて下さい。

3つのコンデンサで6170μFとして、容量は0.07404cでこれが1000分の1秒に全て流れると74Aですがバッテリーの電圧、回路の抵抗を考えると果たしてどれだけの電流が流れるのか・・・家庭用の電気製品のコードでも勿体ないくらいです。
そもそも写真を見れば分かるように、コンデンサの足はあの太さですから。

最後に、プラグの火花などに与える影響ですが、普通車のエンジンに火花を飛ばすエネルギーは30mJ程度であり、圧縮比を上げるほど点火しにくくなり、エネルギーが必要になります。

ですから、レーシングエンジンではプラグギャップを小さくしたり、強い火花を飛ばすように色々と考えられたものですが、今の車はヴィッツのような小型大衆車までダイレクトイグニッションになっています。

20年以上前は、同期したディストリビュータによってイグニッションコイルに電気を流して、その逆起電力によって各プラグに火花を飛ばしていましたが、20年位前、スバルだとザ・ニュー・レオーネと呼ばれた、角目になった確か4代目レオーネからトランジスタが採用されていたと思います。

当時は結構画期的で営業所に行くと火花の強さ等を比較できる実験装置がおいてありました。それから更に10年弱の時が流れ、初代レガシィが出る頃にはトランジスタ+CDIになっていました。

CDIは名前の通り、キャパシタ(コンデンサ)によって数百Vの電圧を作り、それをイグニッションコイルの1次側に流すという、レーシングエンジンから下りてきた技術でした。この段階で、電源にコンデンサを入れた位では火花の強さには影響が出ないのではないでしょうか。

実例だと、オルタネータが故障して発電していなくても、バッテリが上がるまで気が付かないで走って路上で停止してしまった話を聞きますよね。商品の説明通りなら、そんな状況だとオルタネータが故障したことにすぐに気が付くことでしょう。

ですからこうした製品に高いお金を払うなら、美味しいものでも食べるのがいいと思います。そうそう、イリジウムプラグは実験上100μSほど放電時間も延びるようなので着火の安定度を上げる効果はあると思いますので、体感できるかどうかは分かりませんが交換してもいいかもしれません。
Posted at 2005/01/15 20:34:35 | コメント(8) | トラックバック(1) | 技術解説 | クルマ

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