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2007年06月26日 イイね!

マルチリンクサスペンション 2

本屋に行けば山海堂のサスペンションのような専門的な解説書もあるので、さらに突っ込んだ内容を知りたい場合はそちらに譲るが、

ウィキペディアにはこう書かれている。

基本的には4リンク以上とされているが厳密な定義は無いが、マルチリンクサスと言えばメルセデスベンツが最初に最初に採用した5リンク式が一般的であるため、これを基本として話を進めたい。

カタログなどでも、サスペンション部分の写真が掲載されているし、ショールームでもちょっと寝ころんでリアから除くと良く構造がわかるように、マルチリンクサスペンションの構造は思ったよりも単純だ。

車体から伸びた5本のリンクによりハブを別々に保持しているだけなので、ハブに力が加わった時にこのリンクにそれぞれどんな力が働くかを考えると基本となる特性が見えてくる。

手元にある車のカタログや、ネット上の写真を見るとマルチリンクサスをもう少し良く観察すると、5本のリンクはハブを挟んで上側に2本、下側に3本あると思う。

上側のリンクを車体前方から順番に
1.通称:アッパースラストロッド(正式名称:スプリングストラット)
2.通称=正式名称:キャンバーストラット

下側のリンクを車体前方から順番に
3.通称:ロワースラストロッド(正式名称:プッシングストラット)
4.通称:タイロッド(正式名称:トラックロッド)
5.通称:ロワアーム(正式名称:スプリングリンク)
と言う。

この名称も役割を表している。伸びの力か、縮みの力か、ロッド(棒)、リンク(連接棒)、ストラット(支柱、突っ張り)など。

実車にてマルチリンクサスをよく見ると、アームの厚みも異なり、応力によるたわみを許容したリンクや、圧縮方向の力には弱いが、引っ張り方向の力に強い物とかあることがわかる。

特に、4.通称:タイロッド(正式名称:トラックロッド)は他のリンクに比べて弱そうで、前後方向や圧縮に対しては撓みそうだし、取り付けられた方向を見ると引っ張りのためにあると想像出来る。

そうすると、マルチリンクは分割したアッパーアームとロワアームによるダブルウィッシュボーンの変形バージョンかと考えられる。
実際にそうした記述も多く見られるが、それはこのサス構造の本質ではなく単純化した動きの理解でしかない。

その証拠に上側の2本のアームはその取り付け向きからアッパーアームの働きではなく、仮想支持点を外に設定すると共にハブの動きをコンプライアンスする物だとわかる。

こう考えると、マルチリンクサスの本質は、3.通称:ロワースラストロッド(正式名称:プッシングストラット)と5.通称:ロワアーム(正式名称:スプリングリンク)を台形のロワアームとして、バネ・ダンパーで支持するストラットサスだと見えてくる。

Posted at 2007/06/26 21:52:02 | コメント(0) | トラックバック(0) | 技術解説 | クルマ
2007年06月25日 イイね!

マルチリンクサスペンション 1

過去から乗用車のリアサスペンションは色々な形式が試されて進化してきたが、ようやくマルチリンクサスに収斂する様相を呈している。

それは、サスの伸び、縮み、前後左右の力によってトー、キャンバーをコントロールすることができ、車の安定性を向上させることができるからだ。

一口にマルチリンクサスと言っても、アームの長さ、ハブと車体の取り付け位置などの微妙なチューニングによって癖や限界付近での挙動は変わってくる。

マルチリンクを世界で初めて開発し190Eに搭載のはメルセデスベンツだが、リアサスの部品表を見るとボルトなど変更はあるものの、基本となるアーム類はW201からW124、W202、W210と20年以上共通となっている。
(W203以降は未確認だが同じなのでは?)

これは、ベンツがマルチリンクサスのデイメンジョンはこれで完成されていて、もう手を入れる必要が無いと考えている証拠ではないだろうか。

一見簡単そうで、案外正しく理解されていないこのマルチリンクサスペンションについて、これから数回に亘ってその本質について迫っていきたいと思う。
Posted at 2007/06/25 21:54:30 | コメント(3) | トラックバック(0) | 技術解説 | クルマ
2006年04月29日 イイね!

エステルベースのオイルと製造国による違いとは

エンジンオイルについてのご質問をいただいていたので、思いつくままに書いてみます。

オイルについては、過去にも色々と書いていますので興味のあるかたは、カテゴリのもくじあたりから探してみて下さい。

疑問1:エステルは水分に弱いそうですが、並行ものと正規ものって本当に違うのでしょうか?エステル主成分のオイルは日本で使うには向いていないとの説もありますが・・・


◇見解
そもそも、エステルとは?というところから考えてみましょう。

モチュールなどが出している、とっても高いオイルはエステルベースであることが書かれているので、何だか素晴らしい成分のように思われていますが、高校の化学で習っているし、どの家庭の台所にあるものです。

化学的に言うと、アルコールと酸(カルボン酸)を反応させて、アルコールが脱水縮合して出来る、-OCOC-や-COOC-のような結合を持った物の総称です。

独特のフルーツのような香りをもつため香料として使用されたり、繊維のポリエステルもそうですし、オリーブオイル、菜種油、ラードなどにも入っています。

エンジンオイルに用いられるエステルは、原油からの抽出は効率が悪いため、植物油や動物油脂から化学的に抽出したものです。

先に書いたように、脱水縮合していますので、水によって加水分解されるという欠点を持っています。これが、エステルは水分に弱いという理由です。

現在は、色々なエステルが作られていますが、モチュールの資料を見ても、どのタイプのエステルを使用しているかは書かれていません。

おそらく、エンジンオイルとしての使用に耐えるように、結合も考えられているはずですので、1年1万キロ程度の使用に耐える安定性は持っているでしょう。

それよりも注意する必要があるのは、エステルはゴム類を膨張させるという攻撃性を持っていることです。
特に古い車に使用する際にはオイル滲みの原因になることがありますので注意した方が良いでしょう。


平行物と正規ものについてですが、これは差があると言えます。

それは、製造に用いている原油輸入国が違うからです。

日本は資源が無い国なので、原油を輸入に頼っており、その9割近くをOPEC加盟国(中東のサウジ、カタール、アラブ、ベネズエラ、リビア、イラン、イラク、アルジェリア、ナイジェリア、インドネシア、クエート)から輸入していますが、ヨーロッパではこうした国からの輸入度は低く、北海油田やロシア、イギリスあたりから輸入していて、中東への依存度が10%程度の国もあります。

主要国では、ロシア、イギリス、カナダは原油の自給率が100%を超えます。

一見、原油は全て同じようですが、精油して出来るオイルは、原産国によってパラフィン系やナフテン系と言われるように潤滑性能が異なります。

そして、日本が輸入している中東物は、残念ながら潤滑性能に劣ると言われるナフテン系のようです。

実のところ、ヨーロッパで入手出来るオイルの質もアメリカなどで産出する物よりもおとるため、戦争などで良い原料の輸入が出来なくなることを恐れて、高性能潤滑剤の研究を行いエステルベースのオイルが開発されたという話がありますが、真実のほどはわかりません。

日本では、原油を輸入して精油所を持っている会社はそれほど多くありませんが、このオイルから国内で製品が作られます。カストロールをはじめ、海外メーカーも日本法人というか、委託製造をする子会社を設立していて、その工場でつくられています。

エンジンオイルはその20%が添加剤と言われるくらい、添加剤の質やブレンドが各メーカーのノウハウになりますので、完成したオイルとしては十分にエンジンが求める潤滑性能を満たす物ですが、ベースオイルの質が異なる輸入品の方が潤滑性能が優れるということがあります。

どこの国の物が良いかは色々と試してみて下さい(^^)
Posted at 2006/04/29 20:43:47 | コメント(2) | トラックバック(0) | 技術解説 | クルマ
2006年04月19日 イイね!

バネ下荷重の低減効果とは

ご質問シリーズ、
バネ下荷重の低減はバネ上の10倍の効果があるというのは本当か?
オカルトではないか?との質問がありましたので考えてみたいと思います。

よく雑誌やホイールメーカーの広告に、バネ下荷重の低減は、バネ上の○倍の効果と書かれていますが、この○倍という効果の値は4~15くらいの幅があり明確なデータはありません。

また、何がどう10倍なのか説明されているものもみたこともありませんが、車が好きな人は皆信じて、バネ下荷重の低減は10倍近い効果があると言います!

この数字を突き詰めていくと、0-400mのタイムへの影響度合いであったり、車内振動計の評価であったりはっきりしないしのが実状です。

某国産大手タイヤメーカーによると、バネ下荷重の影響を評価したことは無いと聞いたことがありますが、それは本当かもしれません。

それは、何を(加速、振動、燃費など)、どんな条件で比較するのかで変わるので当たり前ですが、バネ下荷重の低減はバネ上を軽量化するよりも、色々な意味で効果があるのは疑いようの無い事実ですし、物理法則からも説明できます。


例えば、模型のタイヤなど同じ直径で、軽い円盤と重たい円盤を、軸を持って回したり、転がしてみれば違いがわかるはずです。

ホイール(タイヤ)などの回転体は、フライホイール効果(GD^2)があるので、軽いほど加速が良くなりますし、発進停止が多いほど燃費は改善されます。

また、回転体でないサスの軽量化は、動くときの慣性が小さくなるので、追従性が良くなると予想できます。

先に、数字の根拠が見えにくいと書きましたが、例えば加速と燃費を考える場合は回転体の持つエネルギーが効いてきますので、バネ下と言ってもブレーキディスクやタイヤ・ホイールの軽量化が効きます。

一方で振動に対しては、バネ下についている重量の慣性力が効いてきますので、ブレーキキャリパーなどの固定物の重量も効いてきます。


 ご質問では、ホイールの軽量化だったのでそれを例に考えてみます。

剛体の運動エネルギーは、重心の運動エネルギー(mv^2)/2と、重心まわりの回転のエネルギー(Iω^2)/2(慣性モーメントI=(mD^2)/8)の和になることから、具体的に、215・45/R17の標準ホイールが9.3kg(+タイヤ10kg)で、これを軽量の6.3kg(+タイヤ10kg)にした場合・・・簡略化のため重量分布は一様とすると、タイヤ直径は0.625mで軸はタイヤ重心を通るので、重心まわりの回転エネルギーを考えると、

標準のI=0.942kg・m^2
軽量のI=0.796kg・m^2

となり、1本のタイヤの持つエネルギーの差は、0.073ω^2Jで4本では0.292ω^2J

時速60kmにおけるωは、16.98π rad/sなので、そこまで加速するエネルギーの差は830Jとなる。

また、そのものの運動エネルギーは、1本あたり3kgの差なので25Jで4本で100Jの差となる。

 タイヤ1本あたり3kgの軽量化、合計で12kgのバネ下重量の低減によって、60km/hまでの加速におけるエネルギーで930Jの差が出る。

 これは、大きいのか小さいのか...

 今、ガソリンから走行するまでの総合効率をざっと15%とすると、ガソリン1gで7500Jのエネルギーとなるので、0-60km/hの加速を8回行ってわずか0.13%程度の燃費改善。

しかし、この合計エネルギー930Jをバネ上で減らそうとすると、111.6kgの軽量化が必要なので、その差は111.6/12で9.3となり、あながち10倍の効果は嘘とも言えない!


 振動(乗り心地)に関する評価はもっと複雑になるので興味のある人だけ暇つぶしに考えてもらうと良いが、乗り心地は逆にバネ上が重くなっても良くなるし、単純にバネ下を軽くしても、バネとダンパーを替えなければダンパーが勝ちすぎて乗り心地が良くなるとも限らない。

 と言うことで、エネルギー面から考えると、バネ上の10倍近い効果があると言えるが、実燃費に現れる差は1%程度と気温や運転の仕方によって隠れるような誤差範囲と考える。

 また、乗り心地に関しては人間は思いのほか感度の良いセンサーなので、バタつき感の変化などを感じるが、車内にセンサーを積んで計測すると、段差を超えるときのGの変化は下2桁目のオーダーでしょう。

 こう考えると、な~んだと思うかもしれませんが、レース、特にF1のように加減速が多く、最高速も300km/hに届くような世界では、ホイールの軽量化は決して無視できない差になって現れるので、こぞって軽量の鍛造ホイールを採用します。

 結論、
◇加速に要するエネルギーについて言えばバネ下荷重の低減は、バネ上の10倍の効果 というのはあながち間違いではない。
◇他の燃費、乗り心地については条件によって差が大きいので○倍と言うには無理があ るが、効果はある。
◇乗り心地は、バネ上荷重を同じとした場合で、かつバネ下の軽量化に合わせてバネ、 ダンパーを調整すると乗り心地は良くなる。
Posted at 2006/04/19 21:11:07 | コメント(5) | トラックバック(0) | 技術解説 | クルマ
2006年04月17日 イイね!

ボディ剛性強化グッズの功罪とは

一応、前ブログからの続きです。

 ボディ剛性強化グッズでオカルトと言い切れるものは、ウレタンフォームの注入だけです。

 これは、振動がすぐに収束するようになるので、非常に剛性感は高まりますが実際の剛性は高まりません。

 ここ数年で発売になった高級車では、新車ラインで標準にウレタンフォームが注入されていますが、静粛性を高めるためで剛性のためではありません。

 まして、後から注入した場合は、どうしても隙間ができますし、あれだけ空気を含んだ物が高い剛性を持つわけがありません。見本は一見硬そうですが、1年もすると表面はぽろぽろと崩れてきます。

 他の、タワーバーをはじめとするものは車体剛性に対して効果(影響)があります。特に、剛性の出しにくいオープンでは、アンダーボディの補強がものすごく効果的な場合があります。

 また、競技車両は、10年間の耐久性よりも1レースを速く走ることの方が重要なので、こうした部品は必需品です。軽量・高剛性だけを目指すならモノコックよりもフレームにカーボンでも張った方が有利だからです。

 こうした剛性を上げるものを付ける功罪は、

◇良い点
・ボディ剛性が上がるためハンドリングが正確になる。
・サスの動きが正確にでる。
・一般的に振動の収束が早まる。

◇悪い点
・限界時の挙動がシビアになることが多い。
・取り付け点でクラックが発生したり、思わぬ部分に応力が集中して寿命を縮める。
・安全性を犠牲にしている可能性が高い。

などになります。

 ですから、10年10万キロ車を良いバランスで持たせるよりも、数年で良いから最高のハンドリングを楽しみたい場合や、競技に出る場合はこうした装備を付ける方がメリットがあるでしょう。

 ちなみに、ベンツやBMWの500馬力ある車は、こうした補強は一切見あたりません。それは初めから、そうした馬力を考慮して全てが設計されているからですし、最近の車はバルクヘッドの設計によってボディの振動や捻れをコントロールしていますので、後から一部を補強することは色々な弊害が出ます。

 そのため、普通に車を使用する多くの人にとっては、耐久性を落としたり限界挙動をシビアにして扱い難い車になるだけでなく、各種衝突時のボディのつぶれ方までシミュレーションしているので、事故時の危険性を高めたりと言うデメリットが出てきます。

 現在は、歩行者をはねた際の頭部保護も設計要件に入れて、ボンネットの強度やエンジンとの離隔を計算しますので、タワーバーを装着することによって、そうした万が一の時の危険性を高めることになります。

 ここまでを理解して、明確な目的があって使用することは良いと思います。

バネ下はまた書きます。
Posted at 2006/04/18 00:00:05 | コメント(5) | トラックバック(0) | 技術解説 | クルマ

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年齢と共に、車に求めるものも速さから快適性に変わってきたような気がします。 冬は、おいしいお酒を求めて、スキーなどに飛び回っていますがアウトバックでなく、...
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