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2005年05月18日 イイね!

フロントサスジオメトリとステアリングフィールとは

フロントサスジオメトリとステアリングフィールとはフロントサスセッティングとは、で書いたように、ステアリングフィール、復元性に影響を与える要素は、「キャスター角」、「キャスタートレール」、「キングピンオフセット」、「キングピン傾斜角」になります。

しかし、前輪が駆動力を路面に伝えている状態では、多くの要素の影響が弱まること、またFF車ではキャスターを大きな値に設定できない(0度~2度)ことから、キングピン傾斜角によってステアリングの復元性を持たせているようです。

そのため、レガシィをはじめとするAWD、FF車のサスの写真を見ると、ストラットが内側に大きく倒れているものが多いみたいです。

また、FFは元来の性質で安定性が高いことと、駆動力による姿勢の変化を嫌ってキャスターを付けないようですが、FRではフロントのサスジオメトリによって、安定性を出す必要があるので、キャスター角は3度~10度くらいと大きい値に設計するのが普通のようです。

FFではこのように、駆動力によってサスジオメトリの影響が薄れるため、路面からの情報が減ったり、ステアリングトルクが変わるのでフィールが変化します。


写真は、最新FF車で左手前が後方になり、ステアリングのタイロッドは、前方側になります。
ストラット式サスでは、ハブとストラットの取付点と、ロワーアームの取付点(流行のダブルジョイントなら仮想転舵軸が変化する)の2点を軸としてタイヤが切れるので、どこに取り付けるとどのようにタイヤが寝るのか分かり易いと思います。

FRの場合、キャスターを大きめにして、キャスタートレールもある程度設けるため、ふつう転舵軸はキャスター角方向に寝ることになり、切ったときにタイヤは寝る傾向が強くなると思います。

FR車は、このようなサスジオメトリの影響をステアリングフィールとして受けるので、各社によって色々な味付けが存在します。
情報も、駆動力がないため伝わり易いのですが、ハンドルを握る手に情報が伝わるためには、その経路の剛性が高くギアボックスのなどの精度が高いことが重要になります。
Posted at 2005/05/18 12:44:12 | コメント(0) | トラックバック(0) | 技術解説 | クルマ
2005年05月16日 イイね!

フロントサスセッティングとは 3

フロントサスセッティングとは 3フロントサスは、アームの取付部分の強度や、耐久性の点からも完全剛体とする事は不可能です。

そのため、外力によってブッシュやアームが変形する事は避けられず、それを積極的に姿勢安定に利用しようと言う考えになっています。

そこで、フロントサスセッティングとは 2で書いた、サスの弾性たわみによる、挙動の乱れを抑えるために、ブッシュのチューニングや、サスのメンバーマウントの位置決めを行っています。

車のサスを見ると、アームの取付点は、位置決め角:αを持って取り付けられています。

また、アームの捻れや、ブッシュの変形を軸方向と半径方向のバネ定数として、弾性変化をシミュレーションして決定します。

さらに、コンピュータの進んだ現在では、ゴムブッシュに挫繰りを入れて、縦方向、横方向など力の方向によって、バネ定数をシミュレーションして、そうしたブッシュを採用する車種も増えてきました。

そのため、知識の無い整備工場で足回りをいじったり、ブッシュ交換をすると、差し込む方向や向きを確認しないで圧入されることがあるので注意が必要です。

また、自分でやる際は最後の締め付けは、サスに荷重をかけた状態で行うのはお約束です。

実際は、こうしたサスジオメトリはバネやダンパーも含めて決定したものなので、ホイール一つ変えてもバネ、ダンパーなどとのバランスがあるように、バネやダンパーの交換は、ブッシュや弾性補正を見直すのが本来です。

そこまで行わなくても、見た目のためにホイールスぺーサーを入れると言う行為でも、キングピンオフセットを狂わせ、弾性補正の計算点を狂わせて、トレッドのワイド化以上に運動特性の害が大きいので、新しい設計の足回りほど行わないのが吉です。


サスを見るとわかるように、トーとキャンバーは、サスペンションジオメトリーの運動特性、およびスプリング圧縮に伴う運動特性の変化に影響されます。さらに、サスに働く力(加減速、上下の力、転がり抵抗)も、マウントや構成部品の弾性によって、動的なホイールポジションに影響を与えます。

一般に、運動学と弾性運動学を用いて、適切なホイールポジションが決定されて、アクスルの運動学と弾性運動学特性については、力の影響とスプリングの運動が互いに補い合うように設計します。

ベンツなどの懐の深いサスは、古くからの設計思想で、タイヤに頼らずメンバーマウントの位置を決定し、スプリングの動きに伴ってカルダン角が生じます。それを、ゴム製ブッシュの設計を工夫して、弾性運動の補正を行っているようです。
Posted at 2005/05/16 12:16:58 | コメント(2) | トラックバック(0) | 技術解説 | クルマ
2005年05月16日 イイね!

フロントサスセッティングとは 2

フロントサスセッティングとは 2どこかのHPで、車の走行時のホイールベースなどの変化を計測している物がありましたが、ブレーキング、加速時など数ミリではなく、20ミリ近く変化しています。

特に、マルチリンクサスのようにパッシブにコントロールするものは、前後の動きをトーインに変化させるので、ホイールベースが変化するのは当然の事と言えます。

また、アーム剛性やサス取付点強度からも、完全剛体にすることは不可能で、ブッシュなどを介すため、どうしても弾性変化が発生します。

フロントサスも同様で、最近流行の仮想転舵軸を持ったダブルジョイントのものは、どうしても外力によってサスジオメトリが変化してしまいます。

写真は、フレーキング時など前方からの入力があった場合の、弾性ホイールポジションです。

このようにブレーキング時は、トーアウトになります。

また、FF車が加速する場合は、この図と反対の状態・・・すなわち、トーインの方向に弾性変化するので、トーアウトでセッティングします。

そのため、弾性たわみを補正したセッティングが必要になります。

フロント(操舵輪)を駆動する場合、どうしてもFR車には無いトルクステアが出てしまうので、何とか減らそうと努力するわけですが、そのためには、デフレクションフォースレバーアーム:rstと、キングピンオフセット:rsが効いてきます。

写真は、フロントサスセッティング 1のものを参考にして下さい。

◎デフレクションフォースレバーアーム:rst
ホイール中心とキングピン中心線との最短距離です。この長さは駆動力に対する反力・・・すなわち転がり抵抗の尺度になりますが、巾の広いタイヤを履くために大きくなる傾向があります。

◎キングピンオフセット:rs
前面から見たタイヤの接地点と、キングピン中心線と路面の交点との距離になります。
キングピンオフセットがあると、タイヤに前後の力が加わった時に、タイヤを捻る力になるので、ステアリングへの反力やステアリングホイールの直進位置への復元モーメントを発生させます。

スバルがff1では、インボードディスクを採用してキングピンオフセットを0にしたり、トヨタがレビンなどのスーパーストラットでキングピンオフセットを0にしましたが、これはステアリングへの反力によるフィールの悪化を嫌ったための策でした。

キングピンオフセットが、タイヤ接地点よりも外側にくるものを、ネガティブキングピンオフセットと言って、ステアリングアングルの自己安定性を持つように出来ます。

次回 弾性たわみ補正につづく予定
Posted at 2005/05/16 10:50:30 | コメント(0) | トラックバック(0) | 技術解説 | クルマ
2005年05月15日 イイね!

フロントサスセッティングとは 1

フロントサスセッティングとは 1たまには、車の話なんぞも(^^)

先日、precisionさんのポルシェのフロントサスのブログがあったので、フロントサスまわりの運動学について...

最近は、一般にもアライメントと言う言葉が知られるようになり、トーイン、キャンバー、キャスターなどと言う言葉も車好きの人には普通に使われるようになり、トーインにすると直進安定性が上がると言うことも知られるようになりました。

それは間違いではないのですが、車の運動は単純に1要素で決まらないので、アライメントを1つ変化させて、希望の特性を引き出すと、必ず犠牲になる特性があります。

それも、「直進安定性の向上←→アンダー・タイヤの片減り」と言った単純なところでない、知識がないと思いもよらない運動特性にです。


なので、車は購入して足回りを触ることが出来ますが、所詮スタビ、バネ、ブッシュ、ダンパー、アライメント程度で、基本運動特性を決定するサスジオメトリは、その車が設計された段階で決まるので、試乗を繰り返して手を入れなくて満足な足回り(特性)を持った車を選択するのが理想です。


写真はホイールポジションですので、記号を参考にして下さい。

先日、高速安定性とはで書きましたが、日本車の高速安定性が基本ジオメトリによらず、アライメントレベルのサスセッティングによって引き出していると感じるのは、このあたりの考え方の違いだと思います。

超高速域で安定性を出すためには、トーインの調整がありますが、それは本質的なものでは無く、FF車におけるステアリングの弾性運動学的変化を補正(FRの15~25mmに対して、-20mm以内)するのに使うのが本来です。

下手にトーインをいじるのは弊害もあるので、キャスター角とキャスタートレールの適切な設定と、サスの横剛性の向上によって対応するのが良いと思います。

ベンツ、BMWなどは200km/hでハンドルから手を離して、メーターにカメラを向ける余裕があるほどの直視安定性がありながら、トーインに頼っていないので、車検におけるサイドスリップテストでは既定値(5mm)に収まらないことが知られており、車検場でも既定値に入らなくてもパスさせてもらえます。


キャスター角:τとキャスタートレール(ナッハラウフ):nは、影響を混同される場合がありますが、その力の働きを分けて考える物です。

◎キャスター角τ
図のように側面からみた、キングピン中心線と垂直線のなす角度です。
キングピン傾斜角とともに、ステアリングアングルによる、キャンバーの変化とステアリングの直進位置への復元力に影響を与えます。

バイクでも、フロントフォークが寝た物ほど、ステアリングを切った際に、タイヤが寝るように、欧州車の多くはステアリングを切って行くと、壊れたようにタイヤが寝てくるのは、τの設定が日本車よりも大きく設定されていることからもわかります。

このあたりは、回転半径を小さくすると言う思想もあると思いますが、超高速域での安定性を狙った設定と言う意味合いが大きいでしょう。

ベンツなどは、τが大きい割にステアリングの戻りが悪いのですが、これはアシストとステアリング系の味付けで、ハンドルの戻しも滑らすのは咄嗟の場合に対応出来ないので、運転者が意識してハンドルを戻すべきと言う思想から来ているように思います。


◎キャスタートレールn
図の側面からみた、タイヤの接地点とキングピン中心線(ストラット中心線と考えても良い)と路面との交点との距離です。
nは、タイヤの直進位置への復元に作用して、コーナリーング時のステアリングモーメントおよび直進安定性に影響します。

通常、τを大きくすればnも大きくなりますが、市販車、とくにFF車ではnを大きくすると、アンダーとステアリング反力の変化が大きくなるので、あまり大きくせず、また駆動力補正のためのトーインと総合的に考える必要があります。


τ、nは通常プラス側にされます。
これは、ブレーキングや通常の入力をダンパーに伝えやすく、剛性が出しやすいのと、ステアリング系の設計においてもギアボックスやリンクの配置が楽なためです。

直進安定性やハンドルの戻る力は、プラスマイナスで関係無いと思いますが、動的な運動では違いが出てきます。

ポルシェなどでは、マイナス側に設計されているようですが、マイナスにするとステアリングを切ったときに引きずられて、アンダーが強くなります。これは、928なのようなFRでの設定をみていないのではっきりわかりませんが、オーバー傾向のRRゆえの設計と思います。

また、マイナス側にすると、ブレーキングにおいてもノーズダイブしにくくなりますが、ストラットに高い剛性が無ければ、正確にサスを動かすことが出来なくなります。
Posted at 2005/05/15 12:48:23 | コメント(1) | トラックバック(0) | 技術解説 | クルマ
2005年05月11日 イイね!

水抜剤とは

水抜剤とは今更ながら水抜剤です(^^;

しかし、オイル添加剤などと違って、ガソリンスタンドでも勧められるので、カー用品店に行かない人でも知っている有名品ではないでしょうか?

以前は、メチルアルコールが使われていましたが、燃料の低硫黄化が進められて、対応出来なくなったことから1997年以降の使用を規制し、いまではガソリン用とディーデル用で別の物が使われています。

ガソリン用は、ほぼイソプロプロピルアルコールが100%で防錆剤が少し入っています。

一方、ディーデル用は、イソプロピルアルコールが約70%に、イソブチルアルコールが30%の割合で、後は防錆剤とガソリン用には入っていない潤滑性向上剤が入っています。

他には、エチレングリコールモノブチルエーテルを使用している者もあるようですが、少ないです。

しかし、ホームセンターで安売りされている粗悪品や、海外の製品ではいまだにメチルアルコールを使用している物がありますので、注意が必要です。


イソプロピルアルコールは、医療用では50%程度の水溶液を、注射時の消毒に使ったりする、比較的毒性の弱いもので、工業用でもインク落としやヘッドの清掃に使います。

しかし、溶剤、可塑剤であり、長時間皮膚に触れると脂肪を溶かして、皮膚の毛穴から吸収されやすくなるし、吸入すると低濃度でも頭痛やめまいが起こり、水抜剤みたいに高濃度のものは麻酔作用があって意識がなくなることもあるものです。

性質は吸湿性があって、水にも油にも良く溶けるので、ガソリン中の水分とガソリンを親和させる働きを持ちます。


イソブチルアルコールも、イソプロピルアルコールとほとんど同じ化学的性質を持ちますが、ディーデル用にだけ含まれている理由は、セタン価を維持するためと、潤滑剤を溶かすために必要だったためと考えられます。

ディーデルのインジェクターは燃料の硫黄分などによって潤滑していましたが、硫黄分の低減によって別途潤滑剤が必要になったためです。


それで、水抜き剤は入れた方が良いか?ですが...
特に必要無いと思います。

タンク中の水分は、梅雨時や温度差の大きい夜間などにタンク内に凝縮して溜まると考えられています。ですから、いつもガソリンを満たしている方が溜まりません。

そして、タンクの下部に溜まって錆の原因になるため、水抜剤が必要と言われます。

確かに、古い金属製のタンクは錆びる事があるようですが、今はメッキも良く、燃料フィルターによって濾過されるので、エンジンには問題無いようですし、プラスチック製のタンクなら錆びる事は無いでしょう。

アルコール燃料は、アルミエンジンなど腐食させやすいので、使用しない方が良いと言われて、ガイナックスは見なくなりましたが、たまに少量の水抜剤を入れるくらいでは、パッキンなどへの影響も少ないでしょうから、あまり車に乗らない人や、旧車などを大切にされている方は、たまに入れてもいいと思います。

でも、実際はタンクに溜まった水は振動によって撹拌されて、エンジンに送られて水蒸気として排出されてしまうようです。

冷戦時代のソ連では、オクタン価の高い燃料が手に入らず、ジェットエンジンに水を噴射してオクタン価を上げていたくらいです。

また、以前に廃車で行った実験では、ガス欠のタンクに1リットルくらいの水を入れると、タンクの底や配管中のガソリンが押し出されて走れて、そこにガソリンを補給すると水分は水蒸気として排出されるようで、また問題なく走れました。

まあ、スタンドにとってはガソリンを売るよりも、水抜剤やオイルを売った方が利益率が高いので、無くなることは無いと思いますが、以前よりも水抜剤入れませんか?と言われる事は無くなったように思います。

水抜剤は、燃料タンクがプラスチックに変わっても、生き残っていくのでしょうか...
Posted at 2005/05/11 18:03:34 | コメント(1) | トラックバック(0) | 技術解説 | クルマ

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年齢と共に、車に求めるものも速さから快適性に変わってきたような気がします。 冬は、おいしいお酒を求めて、スキーなどに飛び回っていますがアウトバックでなく、...
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