プログは時間があるときにちょっとずつ書き溜めていくのですが、随分前に書き始めたネタのアップです。今回のは長いです、多分 (^^;;
実はほとんど出来上がってたんですが、書き換えました。。。
というのも、8月の終わりにこんな雑誌を買いまして、、、
173ページに及ぶBentley特集を少しずつ読んで、少し心境が変わってきたからなのです。
これまで、Bentleyの歴史を知らなすぎましたね。。。
そして、本物のBentleyとはなんだろう🤔 という探究心が強くなりました。
今さら知ったのですが、創始者であるW.O.Bentleyが1919年に立ち上げてからの、いわゆるW.O.時代は1931年に終わります。わずか12年しかないのです。その後、67年間に及ぶRolls Royce時代が続き、1998年からはVW傘下です。なんと、オリジナルのW.O.時代よりも、今となってはVW時代の方が長いのです。。。なんか複雑。。。
Rolls Royceに買収された直後のダービー工場の時代からクラウド/SタイプあたりまではRolls Royceの"若干"高性能版モデルという位置付けでした。この時代に数少ない例外があるとすると、Bentleyイチの名車と言われるR-Type Continental Coupeだと思います。しかし、美しさはずば抜けていた反面、性能はずば抜けていたわけでもありません。このクルマはBentley専用ではあったものの、当時はまだシャシーを自動車メーカーから買い、ボディや内装は馬車時代から続くコーチビルダーから買うという買い方も根強く、ボディはH.J.Mullinerによるものです。R-Type Continental CoupeはH.J.Mulliner単独では最後の有名モデルと考えて良いのかもしれません。1962年にはMullinerとParkwardがくっつきます。ちなみに、Mulliner Parkwardのコーチワークによるボディを持つ最後のカタログモデルはContinental Tなのです。その後もブルネイの王様による特注モデルとかはコーチワークされているのだと思いますが。
標準モデルに目を向けると、60年代後半のシャドウ/TからはRolls Royceのグリル違い的な暗黒時代が続きます。Bentleyが再び脚光を浴びるには、82年のMulsanne Turboを待たないといけません。Mulsanne Turboの発展版であるTurbo Rからは輸出国が増え、再びRolls Royce以上のセールスを記録するにいたります。自分が初めてBentleyというクルマを認識したのもTurbo Rだったと思います。この時代からArnage、初代Continental GTへと続いたBentleyのトレードマークともういうべき丸目4灯はTurbo Rが最初だったと思います。あの丸目4灯がBentleyの顔って感覚がやはり強いです。帆世のクルマは、このTurbo Rのショードボディの最終形とも言えるTurbo RSです。SZ系は18年間も作られたご長寿モデルなのです。
しかし、こうした歴史を知った今、Turbo RSはBentleyではなく、Rolls Royceとして捉えた方がいいような気がしています。ま、実際、そうなんですが。。。
W.O.は言わばエンジン屋で、エンツォとは時代が違いますがレース屋。12年のW.O.時代の中でLe Mansを5回優勝しています✨ 今とは時代が違うことを加味しても、創立から数年でLe Mansを連勝するのはすごいことです。そして、作っていたクルマもグランドツアラーというよりも、レーシングカーと市販車の境目があまりなかった時代のスポーツカー。究極系です。W.O.時代末期の8リッターとか、スポーツ性能にラグジュアリーが加わったあたりから、Rolls Royceも本格的に危機を感じたのかもしれません。しかし、W.O.はRolls Royceとはウマが合わなかったようで5年後の1935年にはLagondaに移ってるくらいですから、もし、Rolls Royceに買収されずに単独で生き残っていたとしたら、Bentleyはスーパーカーメーカーになっていたように思えます。そういう意味では、VW製を少し毛嫌いしてましたが、初代Continental GTにあったスパルタン仕様のSuperSportsや2代目のGT3-Rのほうが、Rolls RoyceモノよりW.O.の精神に近い気がしてきました。この系統も一度乗ったほうが良いのかもしれません。さすがにW.O.時代のものに乗る勇気はまだないので😳 8リーターはちょっと乗ってみたいですが、、、
Rolls Royceと考えると、Turbo RSのスポーツグレードとしての仕立てにも納得がいきます。Turbo RSは専用のスポーツサスペンションとハイパフォーマンスブレーキを備え、SZ系サルーンとしては最もスポーツ仕立ての一台。
いわゆるスポーツサルーンには、スポーツカーからサルーンに来たものとサルーンをスポーツカーに近づけたものがあると感じますが、Turbo RSは明らかに後者。それもだいぶサルーン寄りです。たしかに柔らかくはないですが、決して固すぎることはない。ロールも少なく、収まりもいいですが、動きがゆったりしていて、見た目以上に重心が高い感じがする。あまりクルマとの一体感を感じる系統ではありません。この乗り味はハイドロのサスとブレーキという機構によるものもあると思います。ガンガン走るには少し物足りなさも感じる反面、長距離をほどよくスポーティに行くにはちょうど良い味付けと感じます。実際、長距離を走っても全然疲れないです。300〜400キロとかを一気に走ると疲れるクルマと疲れないクルマの差が顕著に出ますからね。
疲れないのはいいことなんですが、23年前のクルマなんで、頻繁に長距離を走るような使い方をして大丈夫なのかは気になるところ。。。
納車後5,000キロ近く走りましたが、まだ探り探りなんで。。。
実際のところ、SZ系、Arnage/Silver Seraphの場合、興味はあるけど、実際フツーに乗れるのか、維持費はどのくらいなのか的なところで躊躇してる方が少なからずいると思います。少なからずと言っても、全国に10名様ほどだと思いますが 笑
10名だと少ないかもしれませんが、売り物の数から言って、その10名様が真剣購入しようと同時に動き出したら相場に少し影響するような世界です。
とりあえず、ここまではフツーに乗れていて、維持費もかかってませんが、、、どうなんでしょうね。
維持費に関しては、車種よりもこだわりに依存する部分の方が大きい気がしてます。E/Gオイル1つ取ったって、1L/1000円以下のものもあれば、1L/4000円を超えるものもある。そして、その違いもちゃんと体感できる。ブレーキフルード、ATF、パワステフルードなんかもみんな同様で、日常的な交換だけで言っても軽く年間10万以上の差が出てきます。この調子でこだわりだすと、維持費は簡単に膨れ上がります。
フツーに乗れるかって部分は自分の場合、止まっちゃうような故障の頻度、メンテできる場所(人)、夏の暑さへの対応力、渋滞への対応力、悪天候への対応力などです。
まずは故障ですが、、、Bentleyと言えど、SZ系は80〜90年代に売られていたイギリス車😎 完璧を求める方にはオススメできません 笑
考えてみると、帆世の経験上、故障が最も多いのは揃ってイギリス車な気がします。クラシックレンジはユーモア溢れる電気系でしたし、Jaguarも電気系中心にいろいろ。この前お借りした新しいXFですら、突然iPhoneを認識しなくなるハプニングが😲 まぁ、インフォテインメントはどこかのサプライヤーが作ってるので、これはJaguarの故障と言っていいか微妙な気もしますが。。。
Turbo RSの入院の原因である冷却系は故障というより消耗・劣化な気がしますが、電気系も突然窓が開かなくなって元に戻ったり、パワーシートが時たま休暇に入ったり、イギリス車ぶりを発揮してます✨✨
冷却系は完璧になって戻ってきたものの、水温計の動きは若干怪しいですね。とりあえず、サーモスタットとかは大丈夫そうなので、次のオイル交換の時とかで良いかと思ってますが😊
"English Electrics"なんて言われ方をしますが、どうやら、Turbo RSも重症ではないにせよ、その仲間ですね 笑
エンジンの発熱量も多い方だと思います。冷却系を一新した後は、真夏の渋滞でも水温が上がりすぎるようなことはないものの、あまり気分的によろしいものではない。事実、発熱量の多い大排気量加給エンジンを積む古いクルマに暑すぎる真夏の渋滞が良いわけがありません。ゴム類とか確実にやられていきます。ま、どんなクルマでも過酷なことには変わりないのですが。。。
ホントか少し怪しい水温計を見てるとわかりますが、このクルマはある程度走行風を当てることが前提の設計のようですね。フェラーリもそうでしたが、自然とエンジンを極力冷やす走り方になります。
SZ系までのRolls Royce/Bentleyと言えば、特徴的なのは足回りとブレーキの油圧用のミネラル・オイルでしょう。規則的に補充するものではないですが、平均すると1,000〜1,500キロ毎くらいには補充してますね。突然減ったかと思えば、全く減らない時もあります。油圧のオイルが減るのは少し不思議ではあるものの、圧がかかり過ぎたらオイルを逃す機構があるようです。なんでオイルが逃げるシーンが多いと減ってきます。エンジンオイルも食う部類のエンジンのようです。自分の乗り方だと、2,000キロ弱で1L減る感じのようですね。まぁ、多気筒のスーパーカーに比べれば、半分程度の減り方です。
計器類も信じきれないですし、距離走る前や走った後、長期乗らなかった時は、エンジンルームの点検が必要です。液体が減ってないか、異常減りはないか。今回もクーラントの異常減りから始まりましたしね。音、振動、ニオイにも気を配る必要があります。自分の乗り方だとしょっちゅう点検したりオイル補充することになりますが、20年以上前のイギリス車ですし、ある程度のケアは必要です。まぁ、オイル類のケアは年式に関係なく、構造上、新車の時から発生してたはずですが。。。
操作面でも、急がつく操作、力を入れる操作、クルマが嫌がってるとこを無理にみたいなことは避けないといけません。Bentleyに限った話ではないですが。。。
やっとスマートにドアを閉めれるようになってきました。市販車では最も重いドアの1つだと思いますが、力を入れすぎると多分そのうち壊れます (^^;;
ケアが必要な分、クルマとの距離感が近いと感じる反面、使い方的には新しいクルマの方がいいのかなって思う部分も正直あります。Bentleyの場合、W12も発熱量多くて夏は少し気を使いそうなので、一番楽に付き合えるのは最近のVW製のV8モデルになるでしょうね。Mulsanneも進化してるんでしょうが、普段使いには全長が長すぎるのと何度見ても微妙な顔をしている。。。伝統と新しさからくる安心という意味ではMulsanneしかないのですが、、、顔見慣れるしかありません 笑
とりあえず写真よりは実車のほうが数段エレガントに見えるクルマではあります✨
Turbo RSで予想より数段良かったのは燃費ですね‼️
車重も2,390キロありますし、基本は70年代設計の空力なんで期待してなかったですが、今のところ、7キロに近い6キロ台をキープしてます。都内を走れば3キロ台とかだと思いますが、高速を120キロくらいでのんびり巡航すると、1,800回転ほどですし、7.5km/L以上走ってくれます。
この個体の問題なのか、130キロあたりから、タイヤのカーカスが痛んだ時のような振動がステアリングに伝わってくるので、あまり飛ばす気が起こらないのです。まだ180キロくらいまでしか出してませんが、125〜155キロくらいで振動が出ますね。140キロくらいから風切り音も変わってきて、なんとなく空力と連動してるような感じもします。でも、不思議と160キロくらいから振動も消えてきます。従って、快適な巡航は120キロ以下か160キロ以上で、間の常用域が使えない。。。
今回、タイヤバランス取ってもらいましたが、完治はしていないので、ゆくゆくタイヤ換えたり、いろいろ試してみたいと思います。タイヤは何が合うか、ちょっと考えないといけないですね。コーナーでも不安定ではないものの、若干重心が高い感じがして、剛性も現代の水準では高いわけではないので、ハイグリップ過ぎるとボディへの負荷とグラッとした揺れが出るような気もします。
正味3ヶ月ほど乗って改めて思うのは、走りというか加速の滑らかさ。
動く部屋的ではあるんですが、もすこし自然と全体が動いていく感じがします。密封されたキャビンが動いていく感じのSクラスがエレベーターだとすると、こっちはエスカレーターに近いですね。自然でスーッと走ってスピード感もないですが、外の世界との分離感は高く、自分のいる世界がスーッと動いていくような独特なフィーリングです。この感じなので速さは感じなく、データよりも遅く感じます。Rolls Royce製のBentleyはSilent Sport Carと呼ばれていた時代もあり、たしかに、そんな雰囲気もありますが、現代の目線ではいろいろと気になる音を発します。Silent Sport Carは静かなメカを作れなかった時代の言葉ですが、現代においては、意図的に音を出してるクルマを除いて、うるさすぎるクルマなんて、ほとんどありません。イヤな音のクルマは多々いますが。。。 Turbo RSもエンジン音や排気音、ロードノイズは静かです。無音ではないですが、エキゾーストからは控えめな、なかなかいい音が聞こえてきます✨
が‼️ 高速走行時は決して静かではありません。まず、風切り音が現代、いや、96年当時でもうるさい部類だと思います‼️
そして、剛性や建て付けも現代の水準では甘く、入力によってちょっときしみ音やビビリ音が出たりします。で、このきしみ音が温度というか熱によって微妙に変わります。この辺りは1980年から基本的なカタチが変わってないので、クラシックカーだと思った方がいいでしょうね。だんだん慣れます (^^)
クラシックカーという意味では、インパネやスイッチ類もクラシックですね。おそらく、ここから過去のモデルを辿った方が、新しいモデルに乗り換えていくより、違和感を感じないと思います。
気遣いは多いものの、身体的には長距離走っても非常に楽です。心なしか周りのクルマや人も気を使ってくれるので、そういう意味でも楽です。ほとんどクラクションを鳴らす場面にも遭遇しません⭐️
後ろのクルマも少し距離置いてくれることが多いですね✨ 最近増えてる"あおられ"運転みたいにブロック走行になる前に道譲りますが。
Turbo RSは96年の限定車なので、もう23年前のクルマで性能的には特にすごいとこはないですが、それでも、やはり、圧倒的なものを感じます。世界中のどのクルマにも影響されない、どのクルマにも媚びてないと感じます。メルセデスも昔は独自の道を行く圧倒感を持ってましたが、それはW126、W124までな気がします。SZ系に乗ってみてわかりましたが、W140はどこかSZ系になりたかったのでしょう。。。W140、今でも好きですが。。。
SZ系にもGMのミッションが積まれていたり、部品の共有化はあるものの、現代でいう共有化とは意味が違うと思います。もうこういうクルマは出てこないと思います。そういう意味でもクルマ人生の1つの終着点にしていいクルマだと感じています。楽にグランドツーリングできる性能は今でも健在ですが、そこにかかる手間を考えると、やはり、趣味のクルマです。趣味のクルマなら、サルーンより華のあるクーペ。一番欲しいContinental Tがやはり気になります✨ 乗り味はTurbo RSとそんな変わらないでしょうから、"Continental"という名前を買うようなものです。風格という意味ではエレガントなクーペより、いかつめに見えるセダンの方があるようにも思いますが、歴史を少し知ってしまうと、Continentalという言葉の大きさを感じてしまいます。
しかし、色やハンドル位置とかの仕様にこだわりだすと、数年に一度出会いがあるかの世界。もし、そのような個体が現れたら、考えるとしましょう。いずれにしても、Bentleyというクルマは何台(種類)か乗ってみたい気がします。