中古車の穴場に続くシリーズです。
穴場というには、タマ数が少なすぎたり、価格的な旨みがなかったり…
でも、単なる不人気車で終わらせるのはもったいない… そんなクルマ達について書いてみたいと思います。ほとんどが、個人的に好きなクルマだったりするんですけどね (^^;;
第一回は少し懐かしい時代の日本のクルマ達から。
まず、1台目はLeopard J Ferieです。
輸出用はInfiniti J30で出てた車です。
この車がデビューした時、まだ運転できる年ではなかったです。
でも、何故か日産からも本物感ある高級車が出たんだなぁって思ったことを覚えています。
ベースは当時のY32 セドリック/グロリア。これを熟成し、カリフォルニア日産のデザインスタジオNDIのボディーを被せ、国際仕立てにしたのがJ Ferieなのです。Y32より数段高級に見えるから、不思議です☆
自分的にはこの日本車離れしたリアが落ちたスタイリングはかなりヒットなんですが、これが受けなかったんですね…
顔がブルーバードARXに似て偉そうでないとか、トランクが狭くてゴルフバッグが入らないとか、いろいろと。ま、そんな連中には乗ってほしくないですが、残念ながら購買層のほとんどがそんな連中だったようで… (-_-
メインマーケットはUSで、はじめは国内投入の予定がなかったみたいですから、想定の範囲内なのかもしれませんが…
当時はまだ多くの日本車が運転席エアバッグすらオプションとする中、運転席・助手席エアバッグを標準装備させた最初の日本車だったと思います。操作系のタッチや質感もかなり研究されており、世界を意識し本気で作られた高級車でした。
開発はバブルが弾ける前なので、こうした作り方ができたってのも大きいと思います。
オプションでポルトローナ・フラウのレザーを選べたあたりはバブルの名残です。たしか60万とかでしたが (X_X)
エンジンはこの頃の日産の主流V6 VG30DEと二代目シーマに詰まれたVH41DEです。VH41DEは4.5Lのストローク切ったんで、トルクがないなんて言われましたが、例えばX308 XJ 3.2のV8なんかもストローク切り詰めた高回転V8なので、これはこれでありなんでしょう^^
当時の「間違いだらけの車選び」で徳大寺さんがセルシオに並ぶタッチの良い車とし高評価していたのが印象的です^^
さて、2台目もバブルの偉大なる産物 Eunos Cosmo 20B です。
この車の特徴はなんと言っても、市販車で唯一3ローターエンジンを搭載していることです。そして、当時としては新しい2ステージのシーケンシャルターボ!
燃費の悪さ世界選手権なんてあったら、優勝候補になれそうな一台です (^^;;
それと、GPSを使ったカーナビを世界で始めて搭載した車だったと思います。タイプEだったかな。デビュー時は、ラグジュアリー仕様のタイプEとスポーツ仕様のタイプSがあったと思います。
トップグレードであるタイプE 20Bの価格は530万円。
車の値段は年々上がってるので、今の感覚だとラグジュアリークーペの価格としては、むしろお買い得にすら思えますが、当時のセルシオの中間グレードと同価格帯、現在のLSを基準に考えると、1000万級の車と考えていいのかもしれません。
このクラスの車としては、少しマニアック過ぎたのかもしれません。
例えば、当時開発が噂されたV12エンジンなどを搭載していたら、また、別の運命を辿ったかもしれません。
昔見に行った印象では、V12というよりモーターのような滑らか系だった記憶があります。メルセデスのV12なんかよりも、回転の上がりが軽い感じがしました^^
エキマニ変えてある個体では、抜けのいい、イイ音してました!
ラグジュアリークーペというジャンル自体が、国内で、いや世界的に見ても、そんなに数を捌けるジャンルではないはずです。
メルセデスを見ても、CLクラスが走る実験室の役割を担っているので、そう言っていいと思います。表向きは量産ハイエンドモデルに、新技術を搭載する!ですが、ホントの目的は何か問題があった時のリコール台数を減らすことでしょうから…
そんなこんなで売れなかったわけです。
3ローター車の生産台数は、おそらく4000台にも届いていないのでは? というレベルです。13Bを含めコスモ全体で見ても、8875台です。これは例えば、フェラーリ360モデナ(スパイダーを除くモデナのみです!)とほぼ同じ数字なのです。
オーストラリア製の最高級レザーにミラノ・シンプレス工房によるウッドパネル。インテリアも含め、車全体にお金がかけられていたのです。
従って、この生産台数ではペイしていないでしょう… というか、そもそも530万円でも利益が出ていたか怪しいです…
280ps / 41kgmで車重は1600キロ台。ゼロヨンを13秒台で駆け抜けます。
日本車がボディ剛性と騒ぎ出す前の世代なので、今の基準で見るとボディというか立て付けが緩く、若干不安な気持ちになりますが、ここはあえて足も柔らかいタイプEがオススメと思います。普段はゆったり乗って、ケツを沈めながらの直線加速を楽しむ! そのくらいの乗り方がいいと思います。直線加速なら悔しい思いをすることも滅多にないでしょうから…
もっとも、今乗るにはV8フェラーリ以上のメンテ代の覚悟が必要そうですが (>_<)
さて、3台目もまた別のマニアックさを持ったクーペ、Subaru Alcyone SVXです。
どうもこの時代のメーカー色が色濃く出たクーペは、販売面で苦戦してますね…
この車がデビューしたのはバブル後期の1991年秋。
スポーツカーの世界では、280馬力ウォーズ真っ只中!
1馬力でも多い車、ゼロヨンがコンマ1秒でも速い車が偉かった時代に240馬力NAエンジンは、少し見劣りしました…
それでいて、スープラやフェアレディZも買えてしまいそうな価格帯。ブレークし始めたレガシーの影に隠れて、売れなかったのです (>_<)
もし、ターボつけて280馬力で出していたら、もう少し違った展開だったのかもしれません…
でも、時代に飲まれず、独自の路線を進んだ結果、グランドツアラーとしての素質を感じる車ができたのだと思います。
当時のキャッチコピーは「500 MILES A DAY」だったので、グランドツアラーとして売り出そうとしていたのが伺えます。
水平対向6気筒3.3L NAエンジン、トルク配分式のフルタイム4WD、エクステリアデザインはジョルジェットジュジャーロ!
この3.3LのEJ33型エンジン、ベースはレガシーのEJ22型ではあるものの、SVXで理想とするフィーリングを求めて、あえてNAでこの車のために専用設計されたエンジンです。
この辺りにも、GTとしてもポテンシャルを感じますし、レガシー用4気筒ターボを載せたバージョンを作らなかったあたりにも好感が持てます^^
性能的には、0-100キロ: 7秒台、ゼロヨン: 15秒台、最高速: 240キロ+です。
長距離乗るには、パワーのない車は疲れるし、過敏すぎる車も疲れるしで、ちょうど良い感じですかね…
う~ん、吸排気 + サブコンで2割くらいアップさせたくなりますね (^^;
この頃悪いと言われた燃費は、日本の10・15で8.0km/L、USのCityで6.36km/L・HWで9.78km/L、EU複合で11.48km/L。
よく見てみたら、この時代の車としては車重が1.6トン近くあって、結構重いんですね。
生産台数は24379台。その内、国内で販売されたのは5884台。
これを多いと見るか少ないと見るか… 比較対象が難しいですが、セールス面で失敗したと言われるポルシェ928でも、生涯で60,000台以上が生産され、流通が多いS4以降のモデルだけでも20,000台を超えます。
水平対抗6気筒 + 4WD + ジュジャーロ、この組み合わせを持つのは、後にも先にもSVXだけです。ここまで来たら、インテリアもイタリアン・カロッツェリアにやらせて欲しかった感じはしますね☆
コスモもそうですが。開発者が作りたいものを作ったって感じがしますし、それが許された(そこにお金をかけれた)時代です。
売れることだけを目指して作った車、流行に合わせて作った車は、旬が過ぎれば、色あせて行きます…
しかし、SVXやコスモはセールスや流行ではなく、作りたい車を作った。その結果、今でも色あせない世界観を持っているのだと思います。
SVXについては、コスモのようにメンテで苦労することもないので、全天候型ツアラーとして今でもありな選択肢だと思います!