今回は少し違う方向から、考えてみたいと思います。
Chevrolet Tahoe / GMC Yukon の2ドアです。
2ドアというのがポイントです。
タホというクルマは、今のフルサイズSUV事情に多大なる影響を与えたと思います。
90年代初頭のアメリカンフルサイズSUVと言えば、Ford F150を短くして、キャノピーを乗っけたBronco、同じようにシルバーラードK1500にキャノピーを乗っけたK5 Blazer、そしてロングワゴンのサバーバンだけだったと思います。
正確に言うと、まだSUVって言葉がなかったですね…
この頃は、3台ともブレイクしてたとは言いがたい気がします…
状況が変わるのは、1995年にタホの4ドアボディーが追加されてから。
4枚ドアで便利だし、本国でもサバーバンの大きさはいらないって人が多かったようで、タホ4ドアは売れ始めます。
タホに続く形で1997年にフォードからExpeditionがデビューします。こちらはブロンコとは違い、4ドアのみの設定です。
クライスラーも同時期、ダッヂラム1500をベースとしたメキシコ産のラムチャージャーを持ってましたが、2ドアのみの設定のためか、アメリカ本土では販売されませんでした。
1990年代後半、4ドアのSUVは一定のマーケットを築いており、これをベースにフォードからリンカーンナビゲーターがデビューします。
これに続けと、GMからはGMC Yukon Denaliをベースとした、半ばやっつけで作った初代エスカレードがデビューします。
そんな感じだったので、初代ナビゲーターはリンカーンがキャデラックにセールス面で買った数少ないモデルとなりました!
振り返ってみると、もしタホ4ドアがヒットしていなかったら、今のようにエスカレード、ナビゲーターやハマーH2がマーケットを支配する状況になっていなかったかもしれません…
今やどこのメーカーともフルサイズSUVの開発には力を入れており、初代ではピックアップトラックの上屋違いみたいなところがありましたが、今のモデルは違います。リアサス形状にもこの傾向が表れており、初代タホはC1500/K1500 Silveradoトラック系とほぼ同じリーフスプリングでしたが、現行モデルではトラック系とは別のマルチリンクになっています。SUTのAvalancheの定着もあると思いますが、SUV&SUTとトラック系の間には一線が引かれ、フルサイズSUVが大事にされているのが分かります。
話を2ドアに戻しますが、1992年にK5 Blazerの後継としてデビューした、Blazer Silveradoこそ一連の流れの原点だと思います!
Blazer Silveradoは、キャノピーではなくボディーが一体となり、リアサイドのガラスはかなりの大きさでした。
1995年にはマイナーチェンジとともにタホ/ユーコンに改名され、合わせて4ドアがデビューします。2ドアは、タホスポーツ/ユーコンGT等のグレードを用意するなど、スポーツ色を強めた戦略だったように思えます。
しかし、2ドアは4ドアの影に隠れ、売れなかったのです…
1998年頃からアメリカにいましたが、2ドアの中古車はまず見かけませんでした…
黒ボディーのユーコンGTなんて、カッコ良かったんですけどね☆
しかしながら、不人気度合いには勝てず、2ドアは2000年にデビューした2代目タホには引き継がれませんでした…
そして以後、どのメーカーからも2ドアのフルサイズSUVは出てきていません…
さて、ここからはそんなタホの車両そのものの話。
プラットフォームはGMT400系で、ホイールベースが短いタホ2ドアからサバーバンやC/Kトラック系まで、すべてカバーしていました。
88年から98年までの10年間使われたロングライフのプラットフォームです。
1997年モデルでフロントサスの改良を受けたのか、回転半径が小さくなっています。
また、この年のモデルから4WDにオートモードが追加されました^^
エンジンはVortecのサブネームが付いた5.7L V8で255馬力を発揮します。
1996年からの搭載だったと思いますが、こちらが主流と考えていいと思います。
Vortecもこの次の世代にいくと、少しシャンシャン回るというか軽い感じになる気がするので、個人的には、こちらのほうがアメ車っぽくて好きです☆
パフォーマンス的には、0-60で9秒前後なので、現行モデルと大きく変わらないと思います。この頃のモデルも100マイルでリミッターが効きます。
燃費はUS HW: 6.8km/L City: 5.1km/Lなので、現行モデルは改善されてるんですね!
興味深いのは、このVortec 5.7は当時のコルベットに詰まれたLT1と排気量が一致!
101.6mm / 88.4mm のボアストロークもピタリと一致している点です!
もちろん同じものではないですが、この時代のスモールブロックのヘッドは共通点が多かったのかもしれません。
タホは1996年に、MotorTrend誌の「MotorTrend truck of the year」を受賞しています! ライバルがいなかったという言い方もできてしまいますが、このモデルの重要性が伺えます☆
まったりゆったり乗るクルマとしては、今乗っても結構いい選択では、と思います^^
シンプルでタフなクルマなんで、複雑な壊れ方もしないでしょうし、新車の頃からセッティング煮詰めたシャッキとした乗り味を持っていたわけではないので、あまり細かいことを気にせず乗れると思います!