
955 カイエンターボに1500キロほど乗ってみてのインプレです。
カイエンというクルマには、SUVのスポーツカーというイメージを持っていました。しかし、ある程度の距離を走ってみて、それは少し違うというのが、自分の印象です。
もっと正確に言うと、スポーツカーのような味付けではない、ということです。味付けがサルーン的というか、大人な味付けです。
最近のスポーツモデルは、エキゾーストが妙に吼えたり、ハンドリングが妙にクイックだったり、分かりやすいというか、言葉選ばずに言うと、少し幼稚に感じるものが多く感じます。
それに対し、カイエンは、エキゾーストが悪戯に吼えることもない落ち着いたサルーン的な味付け☆
ただし、限界は非常に高いところにあります。素人が乗る限り、コーナリングの限界は簡単には到達できないですし、ブレーキのコントロール性、高速域の加速力、安定性も第一級です。過去所有車と比べても、355やC5と同等以上に感じますし、性能面でこれを上回るスポーツカーもそう多くはないと思います。しかし、スポーツカーのような派手な演出をしていないですし、全体的な過度が取れていて必要以上に鋭い反応を示す部分がないのです。
なので、性能的にはスポーツカーと言っていいかもしれませんが、ステアリングを
握っている限り、スポーツカーというよりサルーンやGTに乗っている雰囲気なのです。
そんな大人な味付けに加えて、非常にマジメというか、ドイツ車だなぁって感じる部分がいろいろあります。
ブレーキ踏んでないとエンジンかからなかったり、
サービスエリアでのアイドリングが禁止されるドイツに合わせてエンジン余熱によるヒーターが本国仕様にはあったり…
それに、ドア、リアーゲート、ボンネットがガッチリしているというか、重いです (>.<)
オートクロージャー標準でつけとけよ!って突っ込み入れたい感じで…
少し驚いたのは、エンブレの効き具合です。
メルセデスの7A/TやBMWの8A/Tもずいぶんとエンブレが効くと思ってましたが、これはそれ以上な印象です。1速で駐車場を微低速で走るような場面では、「マニュアルか?」って感じの挙動を示します。
走り出してしまえば、基本は2速発進しているようですが、1700rpmくらいを保ちながら、高めのギアを選択します。低速域から一気にフル加速するようなシーンでは、ギアが2段落ちることがあり、タイムラグを感じます…
燃費やギアボックスへの負担を考えたプログラミングだと思いますが、この辺りの反応がも少し速いと嬉しいです。
多段A/Tの宿命と言えば、宿命ですけどね…
そうした意味で、5速6速で走る高速域のほうが、反応もいいしクルマ全体の動きがシャキっとします。オフロード性能も確保したSUVとは言え、1つのメインターゲットは高速なのだと感じます。
これはハンドリングというか、ステアリングのタッチにも言えます。
自分の個体にはサーボトロニックが入っているので、低速では軽すぎると感じる場面もあるステアリングも、高速では、正確なんだけど、必要以上に正確であることを伝えてこない良く出来たドイツ車のそれになります。派手さはないけど、こうした静かな高性能ぶりにポルシェのエンジニアリングなんだなぁって納得させられるものがあります。
足回りはエアサスで、5段階の車高調整機能が付きます。
ノーマルから、上2つはオフロード用、下1つ目は高速モード、一番下は荷物の積み下ろし等を考えたローディングモード。高速モードは125キロで勝手に27mm落ちます。そして、40キロまで車速が落ちない限り、下がったままになります。なので、高速は知らぬ間に車高が落ちています^^
この動きはとても自然で、余程注意していない限り、車高が落ちた or 戻ったことに気づきません。停車中に車高調整すると、結構コンプレッサーの音がして、CL600のABCのほうが静かかなって気もしますがね…
そして、ダンパーはComfort / Normal / Sportの3つから切り替えます。
ホントはこの手のいろいろ切り替えられるシステムって、あんま好きじゃないんですよね…
電子制御が入ってきて、エアサス車が増えてから特に増えた感じしますが、あれこれ切り替え機能つけるなら、ノーマルを煮詰めろよって感じで☆
それに、エンジン反応が常に鋭いまま街中で乗りこなす! ジキルとハイドではなく、ハイドは常にハイドでいてほしい…
そんなわけで、基本はノーマルに固定ですが、一応、全モード試してみました。
Sportだと路面追従の動きが速くなって、ロードホルディングが良くなります。
Comfortはなんか微妙に浮遊している感じ…。
長距離走るには、Normalがバランス取れてるかな、と思います。
Normalで飛ばしてもクルマが全然ついてきますし!
路面からの当たりという意味では、モードに関係なく、タイヤが20インチ40扁平なんで、それなりにゴツゴツきます。こういうゴツゴツ感嫌いじゃないですが、この辺りの履きこなしはCLのほうが上手でしたね…
内装の質感は高いと思います。純正BOSEもなかなかの音!
初期モデルって、結構コストかけて気合入れて作るケースが多いと思いますが、このカイエンもその例に漏れてないと感じます。クラシックレンジのような温かみがある感じではないですが、同じく総本皮+アルカンターラだったCL600と比べても、色のせいか高級に感じます。
帆世の歴代所有車的には、一番高級に感じます☆
データ的には、↓の感じです。
◇0-100キロ加速 : 5.6秒
◇最高速 : 266km/h
デビュー時は最速だったかもしれませんが、今の基準で数値だけ見ると、驚くようなものではありません。
例えば、現行BMW X3 35i 直6ターボの0-100キロ加速が5.7秒ですから…
追いつかれます (>.<)
でも、乗ると不思議なもので数値以上の加速力に感じます。
特に100キロ~200キロへの加速シーンで、気づくと200超えてたりって感じで☆
前車の100と車重・トルクは似たり寄ったりで、馬力が50馬力勝ってるだけなので、そう変わらないだろうと思ってましたが、正直体感できるレベルの差があります…
寂しいような嬉しいような… 複雑な心境です。
燃費は高速120~130キロだと、リッター7以上走ってくれてます。
高速加速からも燃費からも、100キロ~200キロが美味しい領域かもしれません^^
それ以上でも大丈夫でしょうが、人間側が神経遣いますからね…
ちなみに、500馬力を誇る現行モデルのデータは↓の感じです。
◇0-100キロ加速 : 4.7秒
◇最高速 : 278km/h
車両の形状と数値領域を考えると、すごい進化だと感じます。
丸っこいので、車両感覚が若干掴みづらいかなってのはありますが、長距離も全然疲れないし、総合的には、SUVだったら次もカイエンと思わせるものを持ったクルマです!
ターボSに惹かれますが、現行の958ターボSって2,000万くらいするんすっね (--;;
イイクルマでなくちゃいけない金額です…