イトケン(G)のブログ一覧

　MINIは2ドアなので、後部座席にアクセスしたり荷物を積んだりする時にはシートを前に倒す必要がある。シートを試すためのレバーがこれだ。シートの肩のあたりにあるので、立ったまま片手で操作する事ができる。

　これが超便利。

　と言うのも、前のMINI(R50)の時は、そのレバーは座面の横に付いていた。そのため、操作するときは屈む必要があったのだが、それが屈まなくてもよくなった。

　と、この話はこれだけではないのだな。

　R50のシートを前に倒すレバーの位置と言うのは、他の車であれば通常、シートのリクライニングレバーが配置されている。R50のリクライニングレバーは通常の反対側、サイドブレーキ側にあったのだ。

　そのために全国各地で、何も知らない人が助手席に座った時、リクライニング調整をしようとして、シートを前に倒すレバーを操作してしまうという事故が多発した。

　シートを前に倒すレバーでリクライニングしようとすると、シートの背もたれが変な角度で固まって動かなくなってしまう。当然、シートとしての役割は果たせなくなり、座ることができなくなってしまう。これを直すには、強引にプロレスラー的な怪力で、エイヤッ、バキッとやるしかない。

　そんなわけで、助手席に人を乗せるときにはいつも非常に気を使った。

　人ってのは、座った瞬間に、自分のすわり心地がいいようにシートの位置と角度を調節したがる生き物なのだ。

　「あっ、それ違うレバーだからっ。」

　と、素早く指示を飛ばさなければならない。

　おまけに、人ってのは、さっき聞いたことをすぐに忘れてしまう生き物なのだ。

　「あっ、だから、それ違うレバーだからっ。」

　そして、時間は流れた。
　MINIはR56になって、レバーの位置が改善され、そんなヒヤヒヤする場面は、もう経験しなくてよくなった。時々、そんな昔が懐かしくなるが、時代は流れていくものだ。とても便利な時代になったものだ。