イトケン(G)のブログ一覧

　オレ、オリンピックは好きだ。オレもアスリートであるから、一つの競技を極めていく労力と忍耐力、一日たりとも気を緩めることなく続ける肉体と精神のコントロールなど、大変さもよく知っているつもりだ。世界の頂点のスポーツイベントに向けてそれらの作業をしていくことの難しさは、想像を絶する。それを乗り越えて本番で素晴らしいパフォーマンスを発揮する選手たちの姿に、どれだけ励まされるか。

　しかし、東京でのオリンピック開催に、心から喜ぶことができないのはオレだけか。

　かつて東京でオリンピックが行われた時は、日本は戦後の復興の中にいた。発展途上の都市がオリンピックを契機に、様々なインフラ整備が行われ、世界に通用する都市に発展した。そして、経済も文化も暮らしも豊かになった。大いに意義のあるものであったと思う。しかし、今は違う。都市機能もこれ以上必要ないぐらいに発展している。

　オリンピック開催に向けて、これから大がかりなインフラの再整備が行われる。道路、鉄道、競技場。オリンピック特需で建設業界や一部の業界は潤うと思う。しかし、インフラ整備に使われるお金の原資は「税金」だ。いま、最も税金を使うべきことが、オリンピックなのだろうか。

　何より、いま必要な公共事業は、震災の復興ではないのか。福島の問題の解決ではないのか。

　仮設住宅の壁はべニアで、プライバシーなんて確保されない。冬になれば東北の冷たい風が容赦なく吹き込んでくる。床や壁はは結露してカビてくる。お世辞にも広いなんて言えない。そんな生活を強いられている人たちがまだたくさんいるんです。

　オリンピック特需で雇用も生まれ経済波及が広範に及ぶという理論はわかるんですけどね、けど、その事業、仮設住宅を鉄筋コンクリートの市営・県営住宅に建て替えたり、公共施設、病院などの津波でで奪われてしまったモノを作り直したりする、「街を作り直す事業」にしたら、もっとイイと思うんですよね。

　長野オリンピックが開催された地域を今訪れると、あちこちに、過剰ともいえるほどキレイで大がかりな道が整備されていることに驚く。長野を訪れるたびに、オリンピックというイベントが街を丸ごと作り変えてしまうほどの大きな事業なのだということを実感する。建設業界はさぞかし儲かったことだろう。しかし、オリンピックの時に整備したキレイな道路を行き交うクルマは少ない。

　繰り返すが、これらのお金の原資は「税金」だ。「国債」という名の借金だ。競技場を作る金があるなら、壊れてしまった被災地の町を再建すべきではないのか。