イトケン(G)のブログ一覧

　今さらながら、ケンメリ・スカイラインのCMにハマっている。

　先代の箱スカの時代から引き継がれた「愛のスカイライン」というテーマを、見事なまでに映像として表現している。～愛と風のように～♪とBUZZ(バズ)が歌うテーマソングを背景に、ケンとメリーという若いカップルの二人の世界が繰り広げられるのだが、それは、映画を切り取ったように印象的で、主人公たちに感情移入をしてしまうほどドラマチックである。

　コイツがスゴイのは、一つのライフスタイルを当時の日本人に提案しているということだ。当時の日本は、ようやく重苦しい戦争の傷跡と呪縛から抜け出し、高度経済成長を迎え、活力に満ちていた時代。ようやく日本人も、「自由」というものを楽しむ余裕が出てきた時代。ケンとメリーは、トレンドの服で身を固め、オシャレな髪形で飾り、そして、「自由」な時間を過ごすという「生き方」を見せつけたのだ。

　ケンとメリーが繰り広げる「生き方」は、社会現象ともいえるほど、当時の日本人に影響を与えたとのこと。そして、その訴求力は40年余の時を経ても全く色あせていない。「ああ、こんな風に、愛する人と素敵なところを旅してみたい。こんな時間を過ごしてみたい」と率直に思う。そして「このクルマがあれば、こんな素敵な時間が手に入るのではないか」という錯覚に陥る。

　そう、これ。これなんだよ。コマーシャルの力と言うのは。

　こうやって、そのモノがあったら、自分の暮らしは変わるんじゃないかって幻想を抱かせて、モノを欲しがらせるのがホンモノのコマーシャルと言うものなのだ。

　ケンメリ・スカイラインの映像を見た後で、オレはこのクルマが欲しくなって市場を探してしまった。そして、残念ながらというか、幸いにと言うか、程度の良いケンメリはもう手に入らないということが分かったんだけどもね。

　翻って、新生スカイラインである。13代目となるV37型スカイラインのCMを頻繁に見るようになった。そのたびガッカリしてしまう。クルマの姿を映して「新生スカイライン誕生」というアナウンスが流れるだけのもの。「このクルマを手に入れたらどんな暮らしができるんだろう、」なんていう夢も想像も広がらない。ましてや、このクルマが欲しいなんて、これっポッチも思わない。クルマに興味のない人ならば、このCMは何の記憶にも残らないだろう。

　以下、ケンメリCMをまとめた動画です。ホント、すばらしい。



　この曲が、ニールヤングのハーベストの最初の曲にクリソツだってのは、まぁ、ご愛嬌。