イトケン(G)のブログ一覧

　シャア専用オーリスが、オレの家の近所に2機配備されている。

　1機は近所の小学校の主任先生が乗っているので、先日、近くでじっくり眺めさせていただいた。この車両は、ジオン公国軍の管理車両なので、トヨタのマークの代わりにジオン公国のマークを掲げている。地球連邦軍のモビルスーツ、ボールとジムの撃墜数もペイントされている。その他、モビルスーツ風のデザインがデコレーションされていて、雰囲気たっぷりのクルマだ。

　ただ、このクルマも、似合う人って、なかなかいないよねぇ。

　どんな人なら似あうかなぁと思ってあれこれ想像してみた。

　シャアと言えば、アダルティックで、セクシーで、スマートでカッコいい男の人。例えば、存在感で言えば、サッカー選手、クリスティーナ・ロナウドのような感じかな。ロナウドなら似合うかな。
・・・・・似合わない。ロナウドはメルセデスのSLに乗っていて欲しい。

ブロンド髪の二枚目、レオナルド・ディカプリオなら。
・・・・・似合わない。ディカプリオには、トヨタのプリウスに乗っていて欲しい。

強面俳優の遠藤憲一さんには、、、、、
似合わない。遠藤憲一さんには、レクサスのLSに乗っていて欲しい。

軍人役が最も似合う柳葉敏郎さんには、トヨタ・クラウンマジェスタの後部座席。
映画「アルキメデスの大戦」の主役、菅田将暉さんには、カローラスポーツ。
怖いものなしおじさん梅沢富美男さんには、ダイハツ・ハイゼットトラック。
シャアにちょっと雰囲気が似ているダイヤモンド・ユカイさんには、キャデラック・エスカレード。

　ダメだ。似合う人はいない。ってか、いるわけないよねぇ、だって「シャア専用」ですから。じゃあ、シャアに似合うのかと言われると、シャアにも似合わないよねぇ。シャアは、ザクやズゴックやジオングに乗っているんだもの。

　ちなみに、近所の2機のシャア専用オーリスには、マイケルムーア風のおじさんと、パタリロ風のおばさんが乗っている。

　あー、むしろ、そのほうが似合っているわ。一番似合ってるわ。

　ちらほら、マツダ3(旧姓アクセラ)を街で見かけるようになってきた。マツダが長年取り組んできた「デザインでブランドイメージを構築する」というミッションは、今回のマツダ3で円熟の時を迎えた気がする。街で出会うと、「本当にカッコいい」と思う。マツダ3の美しさは浮世離れしていて、従来の市販車のデザインとは別次元の完成度だと思う。

　たとえば、テレビアニメを実写化し、生身の人間がキャラクターを演ずると、どうしても生々しさが出てしまう。二次元でキャラクター化された顔と人間の顔は、絶対に同じ次元のものにはならないのだ。

　クルマも同じで、どれだけ美しいデザインのコンセプトカーがベースであっても、市販化される際には、生活感を纏って現実的なデザインになってしまう。道交法上クリアしなければならない課題とか、市販車に求められる強度とか、製造工程やコストなど、様々な事情の中で、最後は現実的になってしまう。

　理想と現実は違うのだよ。

　ところが、マツダ3ときたら、現実的な生々しさをほとんど感じない。アニメの中からキャラクターがそのまま飛び出してきたような感じ。「保安基準のいくつかを端折ったりしていないか?」と思うほど生活感がないクルマなのだ。

　でもね、その美しさが、すごく違和感があるんだよねぇ。

　アニメのキャラクターが現実世界の中では、完全に浮いてしまうのと同じ。時々、コスプレで写真撮ってる人たちがいるじゃないですか。服や髪型だけでなく、顔までも原寸大のお面を被って、等身大フィギュアの状態のコスプレの人。アニメキャラクター再現度が完璧であればあるほど、現実世界での違和感が増す。

　マツダ3に感じる違和感も同種のもの。普通の街並みの中では、マツダ3は完全に浮く。マツダ3は安藤忠雄先生の作った近未来的な建築物の前に静かに鎮座していてほしい。どこまでも続く草原の中を無人で疾走していてほしい。

　マツダ3の横に人間が立つと、スワロフスキーのシャンデリアと使い古しのモップみたいな、まるで世界の違う二者になる。

　そもそもね、人間なんて造形的には不完全なんだよ。人間が使うクルマも、道具としての生々しさがあることが自然。マツダ3に乗っていた人が、トイレに行ったら不自然だもの。ラーメン屋の駐車場に停まっていたら変だもの。ホームセンターで買った、園芸の肥料とか木材を積んだらダメだもの。

　マツダ3が似合う人間は、この世には存在しない気がする。