※アクシオのお買い物の話です
インプレッサ界隈では、バンテージに染み込んだ大量のオイルが一気に発火して車両火災になった人や、「じゃあバンテージ巻かなければいいんだ!」って断熱対策をしなかった結果ハーネスを燃やして電気系統のトラブルになった人がたくさんいることと思います。
今のところ運よく車両火災までは行っていませんが煙が出るところまでは経験がありますし、アルミのアンパネがエキマニの熱で部分的に溶けたこともあります。ガソリンターボの排気系の熱はとてもシビアです。
純正マニで遮熱版使えばいいじゃんって話なんだけども。
世の中にはこんなものもあります。セラミック系の断熱コーティングをしたエキマニです。
このエキマニに施工されているのは、Zircotec社の
パフォーマンスホワイトという製品と思われます。
(リンク先は日本の代理店の紹介ページです)
耐熱温度1400℃、もともと原子力向けの技術で、F1にも使われているとかいう代物です。バンテージに比べると非常に薄いので重量が軽く、クリアランスがカツカツな場所でも安心。凄いじゃん。
なお値段。それと、メーカーでの施工が必要なのでめちゃめちゃ時間がかかります。
流石に大掛かりすぎる。もうちょっとお手軽なのってないの?って思いますよね?思いました。思わなかった人は是非施工してみてください。これを超えるスペックの物は現状無いので。
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情報収拾をしてみると、パフォーマンスホワイトの白色とは違うセラミック系の断熱コーティングをしている人が結構います。だいたいみんなNIC社のセラコートか、三陽のHDPです。セラコートシリーズとHDP、どちらも塗装の設備で扱える代物です。なので国内で施工できるためZircotecよりは敷居が低く、みんカラ内でもたまに見かけますね。
車両に使うと雨水を被ったり振動に晒されたりとかなり厳しい環境で使うことになり、塗膜が弱い物は剥がれてしまいます。工場の設備などの地上に固定された機器には使えるけど車両に使うには持ちが悪すぎる、というものを除外すると事実上この2種類しか使えないんだとか?
セラコートを施工した鉄板をグニグニ曲げていると、剝離する前に金属疲労で鉄板が割れます。
(←実際に見せてもらいました。)
オイルやガソリン、その他各種溶剤がかかっても溶けず、剝離したくなったら削るしかないとのこと。なんだよその辺の自動車の塗装より性能良いじゃん。
性能良いので米軍でも使ってるとかなんとか・・・
そんな強力な塗膜に1000℃以上の耐熱と断熱性能が付与された断熱セラコート、費用はお高いですがZircotecよりは敷居が低いこともあり、主に二輪でみんなに愛用されていたようです。四輪は「とりあえずバンテージ巻いとけ」からなかなか思考が進歩しませんが、二輪のエキパイは見えるとこについているので経年でヨレヨレになったバンテージなんて許されるはずがありません。でも何も対策しないと熱害があるし、何より乗ってる自分がしんどい。火傷します。きれいに塗ったエキパイなら見栄えもいいし、それで熱さが軽減されるなら最高じゃん。
二輪においてバンテージを選択するのは熱害対策より排気のチューニングとして保温する意味合いが強いです。四輪ではその辺がごっちゃになっていて、分けて考えてる人ってあんまりいないと思います。二輪の方が科学的ですね。
『愛用
されていた』という過去形なのは、数年前に断熱セラコートが供給終了になってしまったっぽいからです。
というか国内代理店が消滅・・・そのくらいの時期にHDPが登場したので、現在はこちらを選ぶっぽい?
じゃあ試してみっか!と思ったけど、Zircotecほどではないにせよいいお値段する。ボーナス入ったのにEJのエキマニからタービンハウジングまで全部施工する勇気が出ません。
(Attackに出てるような車両は吸気系も全部やってたりする?マジ??)
あ!ちょうどいい実験台がある!!
ってわけでTRDマニに施工してもらうことにしました。NZのエキマニは同じ四気筒とはいえEJの物よりかなりちっちゃいので、使う塗料が少なくて済むぶん安いです。
それに1NZ-FEならそこらじゅうにいるので、同じエンジン入ってる車を持ってる人を誘って本庄あたりで1枠走って、パドックに戻ったらボンネット開けてエンジンルームの熱気を浴び比べてみれば効果を体験できるでしょう。
軽量化!!!とか言ってバルクヘッドの断熱材を撤去したりしているので、後方排気の1NZだとバルクヘッドが排気系の熱を直接受けるので強制的に暖房になります。そういうものマシになったらいいよね。
それにTRDマニは生産終了なので、錆を抑えて長く使えると助かる。
腐食で穴開いても買い換えられないので・・・高い温度に耐えるものでも600℃程度のシリコン樹脂系耐熱塗料はエキマニの温度には耐えられませんが、1000℃まで行けるHDPなら耐えられます。
そのほかに施工を依頼した塗装屋さんでいろいろ聞いた話を置いておきます。
ちなみに三陽のHPに施工代理店として名前が載ってるお店、塗装が本業のとこは2社くらいで、他は塗装ができる車屋さんバイク屋さんが多いんだとか。
○放射温度計やサーモグラフィーで測ると表面温度が高く出る。どう見ても火傷するような温度が出てるのに触ってみると触れる。
放射率の関係とかなんですかね?これのせいで「エキマニ表面が○℃下がりました!」みたいなデータを出せなくて困ってたそうで。そりゃデータ出せないのに「なんか良い」みたいな宣伝してたらオカルト認定だもんね。
エンジンルーム内に撒き散らす熱が減ったことで吸気温度という形で差が測定できたそうです。10度以上下がった?マジ???春秋くらいの気温なら自分だけ冬の吸気温度で走れるってこと?!
○HDPは表面が凄くザラザラ
マイクロファイバークロスで拭こうとすると、ベルクロで貼ったような状態になるとか・・・掃除の際はナイロンのブラシとかで軽く撫でるのがいいそうです。
(二輪で)見た目の都合でザラザラはやだ!ってケースでは、集合部までをHDP、そこから後ろ(特に目立つサイレンサー部)は断熱ではないけどセラコートで仕上げるなどの提案をしているそうです。
○HDPは常温乾燥で使える=樹脂OK
乾燥は5日ほどかかります。洗浄したりブラストで下地を作ったりマスキングしたりと塗装前にもやることが多いので、施工を依頼すると完成まで2~3週間くらいかかるとのこと。Zircotecを選んだら3か月とかの単位になるので、待つのが苦手な人には優しい・・・かも。
3か月って待ってる間に車潰す人いそうですよね。ワンオフカーボン外装待ってる間にエンジン壊した実績があるので笑えないです。
放熱の方はセラコートとHDPどちらも今(2024年7月現在)できますが、セラコートは焼付が必要な関係で施工対象が金属はセラコートで樹脂ならHDPって使い分けをすることが結構多いらしい。
ちなみにZircotecは100℃以上に耐えられる樹脂には施工できるらしいので、この辺の条件は中間くらいになりそうです。アクリルは怪しいけどポリカ(レースカーが使ってる軽量ウインドウなど)やポリプロピレン(バンパーなど)、FRPに使うポリエステルやエポキシ樹脂ならいけるって感じかな?
○放熱の方を使う時はできるだけ広い面に塗った方がいい
熱を伝えにくい成分を配合すると断熱、熱伝を伝えやすい成分を配合しているのが放熱。これはセラコートもHDPも共通の概念です。放熱用は熱伝導が良いので、塗った面に熱が拡散するっぽい。
コストが高いので費用対効果を考慮して施工する必要はありますが・・・パソコンの筐体とかに施工したら面白いことになりそうです。
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施工完了したらパーツレビューとかで自慢するのでお楽しみに!
1NZの過給器無し車に乗ってる人限定で熱気の浴び比べをしたい人も募集中です。みんカラでもいいけど見てる頻度の都合でMisskeyとかで声かけてくれるとスムーズです。
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2024/07/15 00:42:02