AVCSコントローラの開発 (ソフトウェア編)
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AVCSをコントロールするハードウェアの準備できたので、次はソフトウェアを完成させないといけません。
(ハードウェアはM5Stackで製作、写真で赤線で囲ったユニット)
ソフトウェアの基本部分(左右カムの進角検出)はハードウェア開発にも必要だったのでエンジン回転数検出やスロットルバルブ開度の取得と計算、さらにターゲット進角を計算する部分などは既に出来ていました。
そのため新しく作ったのは実際にカムシャフトを駆動して進角させるOCV(Oil Control Valve)制御部とそのチューニングになります。
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AVCSの制御パラメータにはエンジン回転数と負荷(燃料噴射量/回転数)を使って、カムの進角をマップ制御しているようですが、このプロジェクトでは負荷の代わりにスロットル開度で制御することにします。
この方がレスポンスは向上しますがエンジンの状況にマッチしない状況もありえのが問題になります。例えば吸気圧より排圧が高い状態で吸気を進角するとオーバーラップが増えて排気から吸気への吹き戻しが多くなるなど。
(写真は2006年仕様のGDB SpecC用)
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前の画像(マップ)もそうですが、ROM Raiderなどで公開されているGDB用でGroupN用のデータがあり、こちらは負荷ではなくマニフォールド圧で制御している様なので、後々こちらも試してみたいと思います。(現在は絶対圧センサを取り外しているため試せず)
ROM Raiderで公開されているデータをいくつか見ると...
中低回転から中回転までで、最大45程度の進角をしているようです。
(実車でのテストでも最大50度位までは進角することを確認できているので5度分はマージンなのでしょう)
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OCVはクランク軸に設置されているオイルポンプで圧送されるエンジンオイルをPWM制御で減圧して、
AVCSカムプーリのスライド機構に油圧をかけて普段はバネで最遅角の状態から進角させる仕組みとなっています。
進角具合はバネと油圧のつり合いで決まるのですがOCVに入る前の油圧がエンジンの回転数や油温で変るし、他にもいろんなパラメータが予想されるわけで、当初はPID制御で行けるかと思っていたら、これが結構難しいと判明...。またOCVを駆動するPWMデューティーを少しくらい変更してもフリクションのせいなのか進角が変わらなかったり、反対に一気に動いたりとなかなか難しい。
進角の測定も正確には2回転当たり1回しか出来ないので予測的な制御が必要だったり、カムプーリーは左バンクに設置されているのに対して、右側インテークカムはタイミングベルトの伸びやベルトテンショナー部の遊びなどによると思われるズレがかなりあるなど、やってみないとわからないことが一杯でした。
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結局、どのくらいのPWMデューティーを振ればスライドするのか、その応答時間などを計測して、それを基にスライダーが進角/遅角する中央値を常に推定しながらデューティーを中央値から振って制御する方式に落ち着きました。
あとはターゲットとかけ離れたり、ターゲットが急激に変わった時にオーバードライブ掛けたりとか、アイドリング付近は別制御を入れたりと...。
この辺りはログを取りながらトライ&エラーを繰り返してチューニングしていきました。
画像では振動が出てしまった例
黄色線が進角のターゲットで、それを左バンクの実測のカム進角、赤茶色が右バンクのカム進角で出来るだけターゲットに一致するように制御したいのですが、なかなかこれが。
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PC(Vehicle Data Link)とのリンクも成功したので、今後はマップ自体のチューニングを進めて行く予定です。
でも暫定で入れている進角マップデータでも、既にトルクの立ち上がりが凄いことになっているような気がします。
画像はGDBのS204のものですが、このデータがなかなかいい感じなのでこれベースで進めていくことになりそうです。
前のGC8のEJ20K時代にスライドカムプーリーを入れて、ミラーを見ながら調整してスイートスポットをカンで探していたことを思うと、進歩している実感があります!
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あとVDLのログに、加速度からトルクとパワーを計算して出力するようにしました。
これで微妙な変更による変化も捉えて、ログ解析で最適値に持っていくことも可能になるかと。
取りあえずAVCSマップはひとまずFIXとし、空燃比と点火時期調整を再度やり直してからAVCSのチューニングを進めていこうと思います。
ソフトはFIXとして主モードをオートに、初期マップをspecCに変更、あとは画面レイアウトを少し整理しました。
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