
「かじはら君と言うと”引っ張り系”のイメージが強いですよね」って言われることがあります。
特に、十数年来の付き合いのある方からはよくそう言われるのだが、本人としてはあまりそのイメージはない。
まぁ、「ハマったり、引っ張ったりすることを含めた”クロカン”が好き」なので、「自走テクニックを磨く」のも好きだし、「牽引したりレスキューすること」もまんべんなく好きなので、間違ってはいないと思いますけどね。
先日まで不動産だったフロントのオーバーハングにブラ下がっていた50kg近くもある我がトヨタ純正の電動ウインチだったのだが、不動だった理由がコネクターの接触不良だと分かったので、先日の某所でのクロカンからなんとか復活することが出来た。
個人的に言うと「デフロックより電動ウインチがあった方がクロカンは総合的に楽しめる」と思っているのだが、これについては異論がある方も大勢おられるだろうと思う(笑)。
まえがきは長くなったが、今回は「あまり多く語られることのないウインチのある能力」についてお話したいと思います。
個人的に、僕が最優先でウインチの能力を評価するのは、牽引力とか使い勝手などではなく「壊れにくさ」だ。
よく引っ張り系と呼ばれている人の話題に登ることに、「牽引速度」や「牽引力」などがある。
つまり、より巻き取りのチカラが強く、かつ巻き取り速度が早いウインチが高い評価を得ているように思う。
僕が今付けているウインチは、俗に「トヨタ純正の縦型ウインチ」と言われているものだ。
形としてはウォーンのM8274(パーニーナナヨンと呼ぶ)に酷似しているのだが、外見で大きく違うのは、パーニーナナヨンにはついているラチェットになった円盤状の部品が、トヨタ純正の偽パーニー(笑)にはない点ですね。
(左がM8274、右がトヨタ純正の偽パーニーナナヨン)
駆動音も本家と偽では随分と違う。
本家は「ウィーン」というモーターの駆動音と共に「カリカリカリカリ」というラチェットの小気味よい音がすることに対して、偽はただ「ウィーン」というモーター音がするだけ。
巻き取りスピードも本家が偽の倍近くも早く、現場での使い勝手は非常に良い。
特に、タイヤを回しながらする「駆動アシスト」の時は、偽パーニーが「もう少し巻き取り速度が早ければ、タイヤの回転速度と巻き取り速度がシンクロしてイイのにな」って思うことが多いのに対し、
本家パーニーは巻き取り速度の方が早かったりするので駆動アシストと巻き取りのタイミングが合わず、ギクシャクしてしまうことが少ないのは良い点だ。
つまり、「どちらがより素人向けか?」ってことになると、これは確実に本家パーニーナナヨンの方が素人向けってことになると思う。
ウインチネタは語り始めたら尽きないほど多いので、早速本題に入りたいと思うのだが、先ほど「僕は巻き取り速度や巻き取りのパワーより、壊れにくさを評価する」という話をしたのだが、
実はウォーンのパーニーナナヨンに限らず、どのウインチも非常に壊れやすいと思っている。
まぁ、僕自身はウォーンやラムゼイ(ラムジィ)、その他もろもろの社外製ウインチは使い込んだことがないので評価はあえてしませんが、人のウインチが現場で壊れたのを度々見るのでその度に「もう少し頑丈なウインチって作れないものかね」って思うのです。
リレーの中に水が入って・・・などという素人でも対応可能なものではなく、ギアが飛んだとか、ヒューズが飛んだとか、ブレーキが壊れたというような「どうしようもないトラブル」を起こすウインチがあまりにも多く出回っているように感じるのです。
僕も、最初に付けていたのは純正のPTOウインチで、これはシェアピンが物凄くカンタンに飛んでくれて困ったことが何度もあった。
これを付けていたのはランクル60の頃だったのだが、泥沼でスタックしたのでウインチで脱出しようとしたら、引いた瞬間にエンジンの真下付近にあるシェアピンが飛んで、引くことも出来なければ、ドラムを逆転させてワイヤーを緩めることも出来ずに参ったことがあった。
その後、純正のシェアピンの代わりに五寸釘(笑)を突っ込んでしばらく使っていましたが、PTOウインチは転倒時など、エンジンをかけれない時には使えなかったり、
車は駆動力を使って前向きにタイヤを回したいのだが、ウインチは逆に送り出す・・・みたいな複雑な使い方には対応出来ないので、結局諦めた。
今では、搭載位置さえもう少し高くすることが出来れば「もう一度、PTOウインチを極めたいな」と思っているのだが、今の電動ウインチが使い勝手がいいのと、なかなか壊れないのでそのまま使わえてもらっている。
PTOの後に装着したのが、これもトヨタ純正の電動ウインチ。
これは先ほどの「縦型」に対して「横型ウインチ」って呼ばれているタイプのものだが、これは僕からしてみると最低評価のウインチだ。
なぜかというと、この横型はドライブシャフトがわざと弱く作られていて、肝心な時にポッキリ折れてしまうという点と、
そのヒューズ代りの部品の単価がなんと1万円以上もする・・などという理由があるため全く使えなかったのだ。
今では、これに付いていたモーター&リレーボックスを予備として保管している。
(サイズはやや旧式の縦型の方が大きいが、縦型に新型のモーターを取り付けることは可能)
ちなみに、もうかれこれ10年以上も僕の酷使に耐えている旧型の縦型ウインチは、8mmワイヤーをかれこれ十数回は巻き取り中に破断させたが、ブレーキ・ギアボックス、その他壊れたことがない。
この頑丈さは驚嘆に値すると思っています。
僕は、ウインチングする際によくこんな使い方をすることがあります。
この時は僕一人でアタックしていたので動画を残していなかったので分かりにくいかもしれませんが、
この時は画像の右の斜面に車が張り付いた状態になってしまっていたので、ウインチで向かって左にまず引き上げ、ボディを斜面から離し、そこからフロントを右側にズリ落としてこの難所を通過させることが出来た。
通過した直後の画像だが、この画像の左端の方に写っている岩2つを僕の車では踏み越えることが出来ず、左の斜面に車がベッタリ張り付いてしまったわけだ。
僕の場合、このような状況に陥っても、右上の方にまず引っ張り上げ、そこからワイヤーを送り出しながら左にフロントを落とすようなウインチングを平気でやっているのだが、
ギアボックスやウインチそのもの、ブレーキなどが弱い一部のウインチで同じことをやっていたら、たちまちウインチを壊してしまう場合があるので要注意だ。
だから、このようにブレーキをかけながらワイヤーを送り出しながら重量物を下ろすような使い方は、ブレーキの信頼性が抜群に高いチルホールなどで行う方が本来は向いている。
あまり頑丈でない(と思われる)ウインチを搭載している方や、重量車に乗られている方は一応覚えておいた方がいいだろう。
(ちなみに僕の縦型ウインチは玉数が極端に少ないのであまりオススメ出来ないと思ってます)