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2012年11月09日

「揺り返し」こそクロカンの基礎技術

「揺り返し」こそクロカンの基礎技術 かつてボクシングでフライ級・バンダム級の世界チャンピオンだったファイティング原田氏は、「わずか10cmの隙間があれば生きたパンチを打てる」と言っていたそうだ。

足腰がしっかりしていればそんな隙間でもKOが可能だということだそうなのだが、よく似た(?)ものとしては、中国拳法でも「寸勁(すんけい)」というものが存在するそうだ。

これはほぼ拳を相手に当てた状態から一気に拳を突き出し、相手に多大なダメージを与える技なのだそうだが、YouTubeなどで出ている動画などを見るとものすごくいかがわしい(笑)。

僕は剣道を十数年やっていたことがあるのだが、剣道でも割と似た技がある。

これはものすごくメジャーな技で「刺し面」という名前があるのだが、普通、相手を斬るのであれば、おおきく振りかぶってザックリと切り落とすというのを想像するかもしれないが、刺し面の場合は、ほんの数センチ振りかぶった状態で、剣を持つ手を瞬間的にギュッと雑巾を絞る要領で絞り上げ、剣先のスピードを極限まで早くする、というもの。

(剣道をある程度した人ならほぼ皆、使いこなせます)

ただ、普通に考えるとわずか10cm程度の隙間で生きたパンチなんて打てるもんじゃないし、もし打てるのであれば修練の賜物ってやつでしょうね。


■四駆を操る技にも似たようなものがある

四駆を操る技にも「わずか10cmほどあれば」という意味で似たものがある。

それは「揺り返し」と僕らが普段呼んでいる技だ。


ランクルやサファリなど、特に大排気量でアイドリング付近で大きなトルクが発生していて、減速比も低い車だと、アイドリングでクローリングしていても「止まることがないんじゃないか」という勢いでガンガン、背中を押してくれる車もある。

また、パワステも非常に強力な車の場合は、据え切りも楽勝なので、このような「揺り返し」という技を使わなくて済む場合がほとんどだと思う。

また、トライアルなどに出ている人も基本的に前後に車を揺すると減点対象なのでこの技を身につける必要ががほとんどない。

だが、こと「クロカン」においては必要不可欠と言っていいほど重要な技なので、ここで詳しく使い方とか使う意味などを紹介しようと思います。


■揺り返しを使う意味とは?

まず揺り返しを使う理由としては、「微妙なライン調整がし易いから」ということが挙げられる。

たとえばこんな使い方。


これなどはまさに「10cm」程度、前後に揺すっているのだが、極 微妙にステアリング操作なども行なっていることがお分かりいただけるだろうか?

こんな感じに実際にタイヤを回転させてみて、トラクションやグリップのかかり具合を確認しながら微妙にタイヤが引っかかるラインを選ぶような練習時にも使えるのだが、

その応用としては実際のクロカン時などにもモーグルなどでトラクションが得られるラインを選ぶときなどにも使います。


2つ目の理由としては、「据え切りを防止するため(操舵系の保護のため)」だ。

これは、一度 重ステの車に乗ってみたり、パワステの付いている車でもエンジンが停った状態でステアリング操作をしてみたらわかるが、

完全に車が停止した状態でのステアリング操作は、正直できたもんじゃない。


腕力さえ鍛えればガンガン回せる、と思うかもしれないが、車の場合は当然、しわ寄せとしてはキングピンや操舵系の各ロッドのジョイントなどに負担がかかっている。

ランクル70系の場合は、かなり強力なパワステが装備されているので、たとえばタイヤを溝に落とした状態で、ステアリングを無理やりコジると、溝からタイヤが浮き出してくるほど強力だ。

だが、これは私も過去に一度やったのだが、単独行で山の中を走っていて、タイロッドのジョイントがボコッと抜けてしまったために、あやうく自走で帰れない状況に陥ってしまった。

それ以降、「絶対据え切りはしないようにしよう」と心に誓ったことがあります。

そこで現在は、ちょっとした段差や斜面などを利用して、前後に車が動いている間にステアリング操作をするようにして、操舵系にかかる負担を極力抑えるようにしています。


3つ目の理由は、「荷重移動を起こしやすいため」だ。

典型的な使い方としては、岩場など、比較的大きな段差などにタイヤを乗せる際に、段差に乗せる直前にわざと車を前後に揺らし、車が揺れる反動を利用して段差に乗り上げていくというような使い方だ。

応用法としては、大きな穴にタイヤを落とした場合や溝を乗り越えるときなどに使うことがある。

クローリングで抜けれるのだが、わざと前後に車をブランコみたいに何度か揺らせて遊んでいることがあるのだが、それも一応、荷重移動の練習だったりする。

この荷重移動の派手なバージョンとしては、トラ車などがよくやる、障害物を飛んで超えていく技がある。

それは、障害物にフロントタイヤがヒットする直前に派手にブレーキングを行い、フロントに荷重が移動した瞬間にフロントタイヤが障害物にヒット。

その反動でフロントタイヤが真っ直ぐ上に飛ばされるのだが、その瞬間にアクセルオンして、今度は荷重をリアタイヤに移すことで、さらにフロントタイヤを高く飛ばし、大きな障害物を超えていくという技だ。

重量車でコレをやってしまうと、(出来ないことはないのだが)たちまち車を痛めてしまうので、ものすごく軽くその操作を行い、大きな段差を超えていくことは多くあります。

下りの岩場などではブレーキングだけで荷重移動を行い、揺れた反動で「ポン」と大きな段差に乗せたり、普通にクローリングをやったのでは引っ掛けられない斜面の上の方にタイヤを引っ掛けるような使い方をすることもある。

例としては、ちょっと見にくいかもしれないが、コレなどがそうだ。



(1分30秒前後で使ってます)

また、大きめの岩がゴロゴロしているようなガレ場では、アイドリングでのクローリングに頼らず、車が揺れている間に反動が合ったタイミングを利用して、ポンポンと岩を超えていくような走りを自分の車ですることもあります。



4つ目の理由は、「クラッチの保護のため」です。

慣れてくるとわずかなトルクで少しずつ大きな振幅にしていくことが出来るので、使い方が良ければごくわずかなクラッチの負担などで、大きな段差を乗り越えたり、溝や穴に落ちたタイヤを超えさせたり、雪道などで掘ってしまった穴から、掘り散らかすことなく脱出させたり、非常に多くの応用法がある。

僕がこの方法を身につけた(練習した)のは、「ギア比が高いPZJ70で半クラなどを極力使わず、クラッチの負担を抑えて走り込みが出来ないか?」と思ったのがキッカケでした。


実際の練習風景はコチラ



ギアは基本的にローかリバースに入れっぱなしにして行うので、前後に動かすたびにガチャガチャとギアチェンジをする必要はない。

・・・ただ、AT車では出来る車と出来ない車があるんじゃないかな?

過去に乗っていたATのソアラなどでは、トルコンが逝かれてたのかどうか知りませんが、坂道発進しようと思ってブレーキペダルから足を離すとATなのにバックしてた(笑)のだが、普通、AT車の場合は鼻っつらが上向きになって坂道で止まっていてブレーキを踏まなくてもバックすることがない。

クリープ現象ってやつだが、うちのJr.などはAT車がうちにあったことがないのでそもそもそんな現象が起こるってことも知らない可能性もある(笑)


そういう車の場合はこの「揺り返し」が効果的に使えない可能性がある。

度々、DとNの間をガチャガチャとシフトしてもいいのかもしれないが、サーボの動きが追いつかないような気もするし、元々がクラッチ保護のための技でもあるので、これが原因でサーボやATを壊してたら意味がない。

僕は走り込みを極めて重視したクロカンを普段から行なっているのだが、走り込みをして車を壊したり、車を消耗させるのは極力避けたい。

そこで使われるようになったのが「揺り返し」の技なのです。


■「揺り返し」は、クロカンでの重要な基礎技術の1つ

最近はAT車が多くなってきたので、揺り返しの技の中には使いにくいものもあって申し訳ないのだが、揺り返しが効果的に使えるようになると、車の消耗を抑えながら効果的に走り込みをすることが出来るようになると思っています。

また、V字溝を又越しながら這うときの微妙なライン補正や、モーグルでのライン補正など、非常に多用します。

10cmと言うと言い過ぎかもしれませんが、タイヤ半周分くらい前後に動かすことが出来たら、据え切りせずに車の向きをおおきく変えることも出来ます。

山道などを走っていると、崖のそばを走っていて、これ以上バック出来ないというような状況に出くわすこともあります。

そこまでいかなくても、モーグルのヒルクライムなどをしていて、1つのモーグルを超えたところで停止して、また次のモーグルをアタックする際にギリギリ後ろまでバックするようなときがよくある。

そんな場合、前後に動く幅がほとんど取れないこともよくあるのだが、この技を上手く使えば、据え切りすることで急にグリップを失うことも避けれるし、微妙なところでの操作を繰り返し行えるので、少しずつの成功を積み重ねて、走破する距離を安全に少しずつ伸ばす、ということもやり易い。

「一発で走りきる」というと、素人からして見てくれはいいのだが、実は踏まなくていいアクセルを余計に踏んでいた、ということは大半だし、大体、そんな走り方をしてたら、同じ場所なら10回も走ったら完全に飽きてしまう。

その点、最初から一発で走破することを狙わず、少しずつ走破する距離を伸ばしていくような走り方や、前後に車を揺すりながら少しずつライン補正を繰り返し、地形から伝わってくる情報を感じ取りながらするクロカンは飽きることがないと思っている。

今度の走行会も、こういう基礎の部分を徹底的にやろうと思ってますし、一度効果的な練習法を覚えてしまえば、後は自分ひとりででも出来るので上達は早くなると思います。



■走行会のお知らせ♪

次回の走行会は11月23~25日に予定しています。

スポーツランド岡山2泊3日飽きるまでクロカンしようぜ走行会
↑詳しくはコチラをクリック

飽きるまで走り込みをしようと思ってますが、「走りが上手くなりたい」とか「外から評価して欲しい」という方は積極的に絡んでくれるとありがたいです。

さすがにあまり親しくない方に辛辣な評価やアドバイスは出来ませんからね(^^;

今のところ、参加で手を挙げておられる方は、僕ら親子以外では・・

・てっちゃん@Y61さん (元々、うちのJr.と彼が言いだしっぺ)
・クラックマン@J55さん
・ジムニーのスズキ@JA11さん (休みが取れたら)
・仙人降臨さん

・・・こんなところでしょうか。

参加される方は出来るだけコメとかで参加表明をお願いしますね。
ブログ一覧 | クロカンテクニック | クルマ
Posted at 2012/11/09 15:15:57

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この記事へのコメント

2012年11月9日 16:01
私はどっちかというと一発狙いなんですが、それでもこの「揺り返し」の様な感じの事をします。
何故なら私の11はパワステ付いて無いからです。とにかく動いて無いとステアリング切れないので自然とこういう操作になります。
動画でされてる通り、路面状況を探る様なやさしいアクセルワークが肝心ですよね。ドラシャ折って勉強しました。
コメントへの返答
2012年11月9日 17:55
ランクル海苔も昔のパワステなしの40系などは想像を絶するほど重ステでしたから、揺り返しって少し前までクロカンが主の人は当たり前の技術だったハズなんです。

それが、近年はパワステ車が大半を占めるようになったので、ほとんど死滅状態ですからねぇ。。。

そこで、パワステ車の人も揺り返しを使うことは重要なんだよって記事を残させてもらいました。

2012年11月9日 17:51
クロカンジーパーなら基礎手技ですの。

パワステの有無に限らず、大事ですの。

ε=ε=ε=ε=ε=ε=┌(; ̄◇ ̄)┘

ヽ( ̄д ̄;)ノ=3=3=3
コメントへの返答
2012年11月9日 17:57
車にはパワステ付いてないのに、オクチにはパワーアシストが付いてるので、よくクルクル回るもんなぁ。

2012年11月9日 19:53
はじめまして。最近のクロカン記事を読ませていただきました。

CCVがまだ元気だった頃の古き良き時代の走り方ですね。

今のジムニーとかランクルとかでも、あばば~と回して無理に走っているのがなんか気に入らず、古き良き走りを具体的に表していてそれを具体的にかつ、動画を用いて分かりやすく説明していて、参考にさせてもらっています。

揺り返し。揉み出し。最近してないなぁ~
コメントへの返答
2012年11月10日 16:06
コメントありがとうございます。

CCVが元気だった頃の走りですか(^^;

僕は正直、CCVをそれほど神格化してない(考え方が合わないことも多かったから)のですが、

確かに今考えてみても、あの当時、魅力的な考え方をされていた方や走りの哲学を持たれていた、強烈な個性を持った方が多く第一線に多くおられましたね。






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何シテル?   06/05 08:56
かじはら(父)です。 1993年頃からランクルでクロカンするようになり、3年ほど休んでましたがまたPZJ70幌でクロカンを再開させました。 息子(♂...
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