
前回のが長くなってしまったので続きを書きます。
⬆︎こちらは三つ又ヒルクの動画です。走っているのは、ふたりの子持ちさん。
最後のモーグルを走っていますが、対角で浮いています。
この場合のリカバリー法も前回のレポートとほぼ一緒ですが、違いがあるとしたらこれはロング車で横幅も最大クラスのクルマであると言うこと。
つまり、ハマった後であれこれと足掻いてもダメなことの方が多い。
これが小型車だと、モーグル内で適当にハンドルをぐるぐる回しているだけでなんとなくグリップが回復してクリア出来ることがあるが、大型車の場合はさっさと状況確認を済ませ、再度プランを練って再アタックした方が早いことが多い。
一般的にヒルクライムでは、ショートよりロング車の方が戦闘力は高い。
同じ場所を登ってみればわかるが、ショートではかなり大きく傾くところでも、ロングだとそれほど傾かないで、前後のタイヤに均等に荷重がかかり、結果としてトラクションがかかりやすく、登りやすい。
姿勢変化も少ないので安心してアクセルを踏める、ということもありますね。
この場合も、なるべく四輪全てが浮かないようなラインを組み立てて攻めてやると上手くいく可能性が高くなる。
ビデオの中でも言っているが、あと少しで脱出出来るのに最後のところでハマったというときなどは、完走出来るポイントや姿勢、速度から逆算していって、どこを通るか、進入する速度やラインの組み立てを考えると上手くいくことが多い。
この場合だと、最後の段差で左前タイヤが段差に対して垂直に近い方向で当たっているのでそれが抵抗になってしまっているのが前進をはばむ原因になっています。
もう少し大外からまわりこむような感じで溝を前後とも又越すようなラインで攻めると、もしかすると前が木に接触するかもしれないなら、同じラインでほんの少しだけ進入速度を上げて再度アタックしてみる…などと考えていくわけです。
このクルマはATなので選択するギアで悩むことはないですが、MT車の場合は、ローローでいくか、ローセコでいくか、などと考えることもあります。
この日は晴れているのであまり考えなくてもよかったのですが、特に重量車の場合は自分が攻めることで地形を荒らしてしまうことが多く、それによって自分の首を絞めることがあるので注意が必要。
大型車の場合はハマった状態でモガいてもムダなことが多いといいましたが、地形を荒らすと墓穴を掘ることも多い。
これはクルマの大小に関わらず、なるべく再発進時のタイヤの回し始めは繊細に行ったほうが良い。
僕の場合はヒール&トゥでブレーキチョークを使ったままジワリとタイヤを回し始めることが多い。
大減速・大トルクなクルマはクラッチ操作だけでジワリと回し始めることも出来るし、ブレーキチョークが使えないとか、大減速・大トルクでないクルマを使っている場合はタイヤの回転速度を今までの半分くらいにするくらいのつもりで慎重に発進させることをお勧めします。
これまで何も考えずにガン!とクラッチミートさせて発進していた人はこれだけでも随分、地形を荒らさなくなるし、加速のノリも良くなるハズだ。
あと、このときもやっているがムダなステアリング操作は極力しないことだ。
このときは段差に対してやや垂直気味にタイヤをあてているため抵抗になってしまっているが、ステアリングを切らずにまっすぐにしていることは走行抵抗を抑えることになるので良いことなのだ。
「あとちょっとで登れるのに!」という場合は、ステアリングが真ん中で地形に対して抵抗のないラインを考えて再アタックすると良いと思います。
動画では撮ってませんでしたが、このときはクルマの状態を外から確認して登頂に成功しています。
こちらは同じ三つ又ヒルクを攻めるクラックマン。
このライン取りは僕もよく使いますが、インベタ ギリギリのラインて登ってきて、左後ろのタイヤが穴に落ちる力(重力)を使って通過させています。
ビデオの中ではデフロックがあるからなぁ〜と悪口言われてますが(笑)、使わない僕のクルマでも同様に進めるラインなのでデフロックはあまり関係ないですね。
ヒルクライムを攻めるとき、モーグルを攻めるとき、岩場などを攻めるときはこのように重力を利用して加速させる技が非常になので覚えておいて損はないでしょう。
同じ場所を攻める広島の黄色ジムニーチームのS君です。
ここでは典型的な「デフロックライン」で走っています。
これはランクル、ジムニーに共通して言えることなのですが、初心者のうちからデフロックの多用は弊害が多いので注意が必要です。
クロカンの基本の「溝は又越す」ということがなかなか身につかないので、難所を攻めると急にグダグダになってしまう人が多いからです。
特に雨の日に走っているのを見ていると車輌感覚がなくてラフなアクセル操作しか出来ていない人はテキメン分かります。
リアがすぐにズレて溝の底に落としてグリップを逃がしてしまうことが多いからです。
僕の場合、初心者には最低でも2〜3年はオープンデフで走り込みをすることをお勧めしてますが、
常時デフロック車に乗っている方は、リアタイヤをなるべく滑らせない、普段からデフロックに助けられた走りをしていないか注意しながら走る、クルマを壊しやすいので壊さないギリギリの感覚を走り込みで磨いていく…などの工夫が必要になると思います。
デフロックは腕を磨く上でも、クルマの耐久性にとってもデメリットはかなり多い反面、デフロックがないと出来ないことも確かに多くあるので、頑張って「クルマに乗せられない」よう考えて経験を積んでください。
同じ場所を攻めるHZJ71V@71たつやさん。
途中までは、結構ええラインでしたが、最後の段差でタイヤを厚めに当て過ぎて抵抗になっちゃいましたね。
運転席から見えない左前タイヤの抵抗をステアリングから伝わってくる感触で逃がしていく操作は、特にランクルなどの強力なパワステ車は難しいですが、慣れたら地形の状態が、だんだん分かってくるようになります。
この地形との対話がクロカンの醍醐味のひとつでもあるので、しっかり走り込みをしてくださいね。
う○こジープを先頭に、モンスターV字の上を走っています。
僕はこの中では最後尾の黄色ジムニーさんと同じ、溝を又越すラインで登頂しました。
先頭のクラックマンは、わざと右後ろタイヤに荷重がかかりやすい態勢で、しかもステアリングは真ん中のままで抵抗を落として通過。
褒めたらすーぐ ピノキオになるので悪口言っているくらいでちょうどいいのですが、ここだけ見ても走り込みしているのが分かる操作ですね。
※参考画像集
おバカ2人
「モンスターV字」の語源になった今は亡きモンスター小川さん@BJ74V
「可変トレッド」や「ぶちこわ〜!」や、「かじはら、技に溺れたなぁ〜」などの逸話や名言を多く遺しました
今から10年ほど前になるのかな?荒れる直前のモンスターV字の様子です
この頃の方が溝が狭く深かったので、特に雨が降ると超絶で難しいポイントになってました
そういえば、彼と本気で走り込みしたのはこの時が最後でしたね
広島勢は四時過ぎに帰られたのでここから先は比較的近い三人が残って広場で基礎練しています。
これは71たつやさんですね。
ここではまだ、タイヤでザクザク路面を掘ってしまっているので次回からは空転したらすぐタイヤを止めるようにした方がよいのと、タイヤの回転速度をもっと抑える、グリップして前進できる場所とそうでない場所のギリギリの境界線をもっと細かく調整しながら走ってみる、などを注意しながら走り込みすればよいと思います。
同じ場所で練習するクラックマン。
斜面を利用してステアリング操作をせず、クルマの向きを変えていっているのがおわかりいただけるだろうか?
そしてこちらは、となりにある小山を利用した「ステアリング操作を一切せずにクルマの向きをその場で変えていく方法」だ。
最初に斜面に対して垂直に入り、この時にステアリングをやや右に切っておく。
あとはローに入れっぱなしで前後に数十センチずつ動くだけだ。
慣れた人がすると、斜面に扇形に綺麗なフットプリントが残る。
以前、別の記事で前後に揺すりながら地形をならして走りやすくする、という技を紹介したことがあるが、
この練習は、そのような操作を効率よくスムーズに行うことができるようになる為のものだし、クロカンの現場では極わずかしか動くことが出来ないが、そこで向きを変えねばならないことが本当に多い。
多くの人は据え切りでステアリングをコジるような操作をするが、こと「クロカン」は自走で無事に家まで帰ることが目標なハズなので、操舵系に普段をかける操作は控えるべきだと僕は思っています。
最後にこのような基礎練が初めての71てつやさんがチャレンジしています。
僕のクルマで同じような操作をするとヒール&トゥを使い続けねばならないので結構忙しいですが、エンジンがよく粘り、ギア比の低いクルマであれば右足はブレーキ操作だけに集中出来るんじゃないかと思います。
それでもちょっとアクセルをふかせたいというのであれば、チョークレバーやアクセルコントロールのダイヤルでエンジン回転を少し上げておくといいでしょう。(僕はしませんが)
あまり急な斜面でやると怖いことになるのでこのくらいの緩斜面で練習すると良いだろう。
いかがだったでしょうか?
今回は走行レポートでしたが、少し長めの解説を加えてみました。
文章ではなかなか理解しにくいと思いますし、言葉足らずなところも多いので申し訳ないですが、本来「クロカン」って全て物理的なことですし、詰将棋のように頭脳的な遊びだと思います。
感覚だけでバンバン走って楽しいこともわかりますが、地味でもこのような練習をしていると、いざ難所に入った際に走行プランで悩んだり、スタックして往生したり、壊してしまって周りに迷惑かけることも少なくなると思います。
ま、クロカンはそれでもトラブルが起こるから楽しいんですけどね♪
当日参加の方、お疲れ様でした。
分からないことがあったら聞いて下さって結構ですし、自分はこう思ってるからおかしいんちゃうか?というような意見があればどんどんコメを残してやってください。
でわでわ。