
今日ご紹介するのは,プジョーが作りました308というクルマの,1.5リットルのディーゼルエンジンを積んだモデルです.
ディーゼルエンジンというのは,日本ではどこかの都知事が黒い煙が出るってさんざんこき下ろしたもんですから今ひとつ人気がありませんが,安い燃料を効率よく使えるってんで,ヨーロッパではいまだに根強い人気がございます.
そんなディーゼルエンジンを積んだクルマを,いつもの山坂道に持ってまいりました.
この日はあいにくの天気で滑りやすい路面だったんですが,四つのタイヤがしっかり踏ん張っていて,多少のことでは滑り出すなんてことはございません.
クルマというものは,カーブを回ろうとすると車体は外側に傾こうとするんですが,この308では,これが決して不快なものではありません.
この傾きをロールと申しますが,実に自然なロールの仕方で,運転者に「ここまではまだ余裕があるぞ」って教えてくれるようにも感じられます.
クルマの脚,サスペンションなどと申しますが,308ではこれが前はストラット,後ろはトーションビームという,ごくごくオーソドックスなしつらえになっています.
それでいてこんな自然なロールを演出してくれるのですから,大したもんですねえ.
他にも,ダブルウィッシュボーンとかマルチリンクとか凝った作りのサスペンションがございますが,こんなに単純な構造でこの乗り味が実現できるんですから,金かけなきゃ良いクルマは作れないなんて思ってる設計者は,もっともっと勉強しなきゃいけませんねえ.
ディーゼルエンジンは,どの回転数からでも図太いトルクが取り出せるというのが,特徴のひとつです.
トルクというのはものをねじる力だと思っていただければいいんですが,エンジンを回しても回さなくてもトルクがたっぷりあるってのは,実に運転しやすいものです.
エンジンを回すと運転が楽しい,もしくは楽しいと錯覚させる,盆と正月が一緒にやってきたようなエンジンを積んだクルマも世の中には存在しますが,この308にはそのような特別な仕掛けや数値的に飛びぬけた性能はありません.
でもどんなスピードでも,運転しやすい,運転が楽しいと感じられるってんですから,素晴らしいと思いますねえ.
こんな魔法のようなクルマをフランスのメーカーに作られただなんて,悔しいじゃないですか.
ぜひとも日本のメーカーにも頑張ってほしいものです.
一部の方にはもう気付かれたかと思いますが,今回は箱根の長尾峠を走ったということで,僕のつたない文章力で,敬愛してやまない自動車ジャーナリスト,
三本和彦さんに登場いただきました.
こんな偉大な先達がいらっしゃると,後進の方々も大変ですよね.

Posted at 2020/07/07 21:16:35 | |
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