
先日の12ヶ月点検時の代車は,e208 GT-Lineでした.
発売開始からもうすぐ1年が経とうとしている電気自動車ですが,まだ試乗したことがありません.
実はこの代車目当てで,今回の点検も早めに予約を入れたのでした.
さて,その結末や如何に.
「運転は,今の308とほとんど同じですよ」
との説明を受けて乗り込んだのですが,STARTボタンを押しても静かに液晶ディスプレイが点灯するだけ.
クルマの進化に伴って,走り出すまでのルーチーンが簡略化されるのは当然ですが,「ソレックス」とか「ウェーバー」というキーワードに反応してしまう旧世代のオジサンとしては,やっぱり寂しいものがあります.
「最近の若いクルマは....」なんて言いたいところをグッとこらえて,とにかく発進.
「な,なんじゃこりゃ~っ!!」
電気自動車の動力性能については,散々聞かされていたことではありますが,正直ここまでとは思っていませんでした.
単に加速するだけでなく,その所作が実に洗練された上品さを兼ね備えています.
「クォーン」という静かなモーター音とともに,身体がシートに気持ち良く押し付けられる....
また,そんな状態からのステアリング操作も,中央の遊びが若干多めかとも思いますが,気持ち良く反応してくれます.
当然排気ガスは無いし,耳障りなノイズも皆無.
小回りも効くし.プジョー伝統の脚回りの良さも相まって,シティコミュータとしては最高の一台ですね.
ただ気になることが無いわけでもなく....
・ブレーキフィール
特に市街地走行時に気になったことですが,ブレーキペダルを踏んでゆくと,あるところで突然強力に効く,いわゆるカックンブレーキになり易いです.
自分の運転技術は完全に棚に上げていますが,市街地走行では,回生ブレーキを効かせるモード(Bモード)を積極的に利用し,ブレーキペダルは停止時に,というのが効果的かもしれません.
ブレーキペダルは踏まずに乗せるだけ,ん?
こんなクルマ,どこかで聞いたなあ.
(イヤ,ココマデヒドクハ....)
・航続距離
現時点での技術では仕方無いかもしれませんが,フル充電での航続距離が300kmでは,シティコミュータとしての利用に限定されてしまいます.
当然,あらゆるメーカが課題として取り組んでいるとは思いますが,例えば伊豆半島を一周するとこの程度.
これを日帰りで楽しむ方って,結構いらっしゃるのではないでしょうか.
本当かどうかは知りませんが,従来の自動車の燃料タンク容量は,満タンで400km走るのを目安にしている,って聞いたことがあります.
電気自動車でも,少なくともこの辺りを目指してほしいですね.
色々書きましたが,このクルマが素晴らしい技術の集大成であることは間違いありません.
プジョーの208,ガソリン車と電気車でプラットフォームは同じだと聞いていますが,本当だとするととてつもなく凄いことだと思います.
ガソリン車に比べ,300キロも重くなっているはずなのに,この気持ち良い運転感.
とんでもない実力を秘めた一台だと感じました.
例えれば,オイルで煮込んでいるのに余分な脂分を全く感じさせない,極上のコンフィのよう....
え,何言ってるか分からない?
じゃあ,濃厚なガトーショコラを添えた,芳醇なコクと香りの,水出しスペシャリティコーヒーのような....
余計分からんわっ!
ただ,あくまでも,天使でも,精霊でも,個人的には,
気がついたら時速270キロで疾走する
N700より,単線区間を一所懸命登坂する
キハ20が,好き.
(ディーゼル308の愛称を,「キハ308」にしようかと思った程度の,残留鉄分保有者です)
はい,時代に取り残された老いぼれの戯言っていうのは,百も承知二百も合点.

Posted at 2022/03/03 22:19:24 | |
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