
日本では企業が従業員に教育を施してキャリア形成をサポートする一方、従業員は企業に対して比較的強い帰属意識を持っている。しかし、中国では「自分のキャリアは自分のもの」という考えにあり、企業と個人間の「絆」は弱い。どちらのスタイルにも良し悪しはあるが、新しい成長の形を模索している中国では、日本企業のスタイルに関心を持ち、その長所を学び取ろうとする経営者も少なくないようである。
中国メディア・今報網は1日、日本の中小企業が長続きする秘訣について紹介する記事を掲載した。その中で、中国の中小企業が日本から学ぶべき点について中小企業の専門家・黒瀬直宏氏の見解を紹介している。
記事は、「企業が発展するうえで、行政や社会による環境づくりとともに、自らも目標を持った取り組みを進めることが必要である」としたうえで、同氏が「提起できるものは多いが、結局のところやはり人材をちゃんと扱い、留めさせ、自分の能力を十分に発揮してもらうようにすることだ」と語ったことを伝えた。
そして、そのためには、「心からの待遇を提供すること、従業員を育てる姿勢を学ぶこと」が大切であるとし、日本には企業の大小を問わず、自社の従業員を育成することを大事にしており、日本企業には和気あいあいとしたムードがあると説明した。また、100年も続くような企業では「昔からおなじみの面々」の従業員が多数おり、この点からも従業員の会社に対する忠誠度の高さが伺えるとしている。
記事はさらに、中国の中小企業を視察にやってきた同氏に同行していた友人が、ホンダで屋台骨を支えるエンジニアとして40年勤めあげて定年退職した人物だったと紹介。この友人が「もし、またホンダで仕事をしたいですか、と聞かれたならば、やっぱり『したい』と答える」と語ったことを併せて伝えた。
居心地の良さがかえって慢心を招く、新たな刺激を求めて新天地に飛び立つ、という人もいる。その心意気は素晴らしい。一方、居心地が良いからこそ、その会社に強い愛着を持ち、会社の発展のために高いパフォーマンスを発揮し続ける人も少なくない。記事が紹介した「友人」もその1人だろう。
高いパフォーマンスを期待するのであれば、そのための環境を作ってあげるのは当然のことだろう。そして、単に給料の高低だけで良い人材を集め、留めておくのは難しい。転職が当たり前の中国において、集めた人材を自らの懐に長い間留めておきたいならば、「会社は自分を必要とし、自分を大切にしてくれている」と従業員に感じてもらう必要がある。経営者は、そのためにはどうしたら良いかを考えなければならないのだ。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF) :サーチナ 2016-11-04 14:25
Posted at 2016/11/09 11:03:17 | |
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