
湖南省のネットメディア「華声在線」は23日付で、同省から輸出される鋼材価格が暴落し、「白菜以下の価格」になってしまったと報じた。輸出鋼材の価格下落は中国全国でみられる現象だ。
「華声在線」によると、同省から輸出される鋼材価格は2014年8月から下落を初めて15年1月には1トン当たり4000元(約7万9200円)に近づいた。2月には約4600元と上昇したが、3月から再び下落し、4月には3957元になった。
1キログラムでは4元(約79円)を割り、省政府の担当者も「白菜よりも安くなってしまった」と嘆いたという。
鋼材の輸出価格の下落は中国全国でみられる現象だ。中央政府・海関総署(中国税関)によると、4月の鋼材輸出量は854万トンで、輸出額は321億8803万元(約6390億円)だった。1トン当たり3769元であり、湖南省における輸出価格よりさらに低い。輸出量では前年同月比39.6%増だったが、輸出額では7.7%増にとどまった。
経済情報サイトの生意社は14日付で、「トルコが中国の鋼材輸出による市場直撃を懸念」と題する記事を掲載した。トルコは欧州でロシア、ドイツに次ぐ鉄鋼生産国だ。2014年の粗鋼生産量は、ドイツが4290万トンであるのに対し、トルコは3400万トン(世界第8位)だった。
しかしトルコの国内向け鉄鋼も、1-3月には中国からの輸入が前年同期比284%増になるなどで、「経済全体が受け入れられないほどの激増」を示しているという。
中国政府もかなり早い時期に、鉄鋼業界の生産能力過剰を問題視/危険視し、2003年には投資の制限を始めた。しかし現在も生産能力の過剰は深刻な状況だ。中国経済の成長の鈍化にともない、国内需要は減少した。そのため、値引き競争が激化した。
値引き競争は、中国の製鉄会社から利益を奪い、「省エネ・環境保護」という新たな技術の導入にも支障が出るとの懸念が高まっているという。
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◆解説◆
中国の物価体系は、高級品価格は極めて高いが、最低限の生活必需品や基礎食品は相当に安価という特徴がある。富裕層も増えたので、高級品への需要も大きく、一方で「格差社会」の中で取り残された低所得層も「通常ならばなんとか食べていける」構図だ。上記記事では鋼材価格の暴落を「とりわけ安価な白菜価格よりも安価」と表現した。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF) :サーチナ 2015-05-28 06:14
Posted at 2016/11/25 12:27:02 | |
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