
現代の日本は飽食の時代とも言われる。日本で食糧難に直面することはあまり考えにくいものの、食糧は人が生きていくうえで必要不可欠な存在だ。深刻な食糧難によって飢餓が発生すれば、国家の運営そのものにも大きな影響をもたらすと考えられるが、この原則は水にもあてはまる。水も食糧と同様に人にとって必要不可欠なものだからだ。
中国メディアの今日頭条はこのほど、水を制する者は世界を制すると指摘、日本が水インフラの輸出という巨大な潜在力を秘めた水ビジネスに力を注ぎ込んでいると伝えている。
日本では日常生活で水に困ることは少ないが、水不足にあえぐ国は多く、世界的に見れば水は非常に大きなビジネスになる。例えば、海水を淡水化する事業の市場規模は現在約80億ドル(約9000億円)であり、そして10年後には1000億ドル(約11兆2511億円)を超える可能性もある。しかしなぜこれほどの需要があるのだろうか。
記事は、国連の予測を引用し、現在73億の世界人口が2050年には95億に達する見込みと伝え、アジア太平洋地域の発展、さらには工業化に伴って、同地域で使用される淡水資源の量は急増すると指摘した。さらに米国航空宇宙局の調査によれば、世界の半分以上の地下水は枯渇に向かっており、淡水資源を確保することは急務だという見方を示している。
ますます稀少化する淡水資源だが、海水は豊富に存在するため、海水を淡水化する技術がますます注目されるようになっている。地球の水資源全体のうち淡水資源はごくわずかであるが、海水は実に97.5%を占める。では日本はどのように水インフラ輸出に取り組んでいるのだろうか。
インフラ輸出は安倍政権の成長戦略のけん引役だが、例えば2015年に日本企業はサウジアラビア企業と日本の海水淡水化プラントを導入する覚書に調印した。このプラントは従来の設備に比べて20%ものエネルギーを節約しながらも、供給量は従来の2倍に相当する約500万人分の飲料水を提供できる。
記事は、サウジアラビアは今後も海水淡水化プラントの建設に向けて多額の投資を行う予定であると説明、従って15年に日本企業が覚書を調印したことはさらに大きなビジネスにつながる可能性を秘めている。また海水の淡水化市場が大きいのはサウジアラビアだけでなく、米国のカリフォルニア州やインドや中東の砂漠地域もこの技術を必要としている。
人間は水を飲まなければ生きられないだけに、海水の淡水化技術を制することはビジネス、外交などさまざまな面において想像をはるかに超えた価値を持ち、「水を制する者は世界を制する」という言葉はあながち誇張とも言えない状況にある。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)
:サーチナ 2016-03-09 20:18
Posted at 2016/12/02 07:09:38 | |
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