
私は税理士であるが、日本の税理士事務所では珍しく中国人企業の経理ができる社員は10数人おり、中国人の個人企業、飲食店を中心として200社程度見ている。永年、日本における中国人の経営を見ていて、気の付いたことがある。
まず、ほとんどの顧問先は、中国人1人の社長を中心として同郷出身者で固めた同族経営である。その同族会社は、一人で出資して起業するのではなく、4人か5人の出資者を募り起業している。いわゆる仲間意識が強く、信用できる仲間と協力して会社運営を行っている。そこでは、社会保険には加入せず、残業代、有給休暇等の労働基準法を順守する意識はなく家族的経営となっており、とりあえず飲食店のような現金商売で生活ができればいいとの考え方である。
何故こうなるかといえば、就労ビザの関係である。日本では、外国人は、単純に起業できない。1人あたり500万円以上の出資を行い、経営管理ビザ(旧投資経営ビザ)をとり起業するしか方法がないからである。なお、永住者は、簡単に起業はできるが、日本に10年以上在留する必要がある。このように日本では、外国人の起業が非常に難しくなっている。
また、最近では、外国人の銀行口座開設が難しく、銀行融資も厳しい。これでは、年中休みなく働き、銀行からはまともに融資が受けられず、株式会社として発展は無理である。日本の戦後の大衆食堂経営の三ちゃん経営(父ちゃん、母ちゃん、婆ちゃん経営)と同じであり、現在の中国における各地方都市の個人商売のやり方と同じように感じる。
次に、起業する動機としては、仲間の中国人が儲けているから、その商売をまねて起業する。日本人みたく新しい商売を経験し勉強してから起業はしない。良し悪しはともかく、日本人のように慎重さはなく、行動は思い付きで早い。その代わり失敗すると撤退も早い。
また、計画を立てず反省もしない。いわゆる短期計画、中期計画等の事業計画を立てることが苦手である。行き当たりばったりの経営である。これでは、個人企業からの脱出は難しく、日本企業とのスムーズな取引も問題となる。
このように中国人の経営行動を見てみると、決断は早いが無計画であり、組織だった行動は苦手である。この背景には、中国社会の文化慣習の影響があり、中国人の欠点が垣間見える。中国の国営企業が資金力により強引に海外進出するだけではなく、中国では中国中小企業の育成と、ビジネス感覚の高度化、革新化が必要であろう。(執筆者:日本経営管理教育協会・下崎寛 編集担当:大平祥雲)(イメージ写真提供:日本経営管理教育協会。日本の理美容チェーン店の例)
:サーチナ 2016-02-24 20:40
Posted at 2016/12/11 06:25:58 | |
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