
中国メディア・中国科技網は29日、「日本の『富二代』はどのように『豚肉の中の和牛』を育て上げたのか」と題する記事を掲載した。記事では、養豚業で成功した父親を目標に、自らも努力と研鑽を積んで新たな品種のブランド化に成功した男性について紹介されている。そこには、中国が今目指している「匠の精神」のみならず、「富二代」と呼ばれる「2代目」の問題を考えるヒントが隠されていたようだ。
記事は、塚原牧場の塚原氏の父親が1980年代に周囲の牧場経営者と共同で豚肉飼育会社を設立、年商70億円の規模まで成長させたと紹介。塚原氏は、身一つで起業した父親を目標に大学へ入学し、大手企業に入社してリスク投資事業に従事するも、仕事に対する虚しさを感じたと説明。「父親と一緒に、みんなに喜ばれる美味しい豚肉を作りたい」と思い立ち、会社を辞めて家業を継ぐことを決めたとした。さらに、父親が高額の費用を投じて中国から取り寄せた梅山豚(メイシャントン)を、会社が生産効率の低さ、販路の狭さから手放す事になったと知ると、自らの貯蓄を投げ打って会社の一部株式を購入し、会社から切り離して梅山豚を牧場で育てるという行動に出たと伝えた。
梅山豚は中国原産で、現地では「国宝級」とされる豚の品種だ。繁殖力が強い上、人類が食べない植物を飼料にできるため、「21世紀を救う豚」として注目された。中国は1986年より十数カ国に輸出を行ったが2006年に「国宝級保護品種」とされて以降、輸出が禁止された。通常の品種より歩留まりが悪いものの、和牛のようにサシが入った美しい肉は味が極めて濃厚とのことだ。
記事は、塚原氏が父親の指導を受けるとともに、大学で梅山豚の飼料に関連した環境科学について研究、麦茶の出がらしを始めとする人間の食べかすが良好な肥料になることを発見して飼育コストダウンに成功したと紹介した。そして、2001年に日本国内で狂牛病が流行すると、霜降り肉の梅山豚がたちまち脚光を浴びるようになり「豚肉の中の和牛」と称されるまでの人気を集めたと伝えた。さらに、インターネットを通じて、塚原氏の豚肉を求める消費者が急増、通常の豚肉の4倍もの価格がつくようになるとともに「塚原牧場」として梅山豚のブランドが確固たるものになったと説明した。
会社や商売は、初代が築き上げたものに対して2代目がどうするかでその後の命運が大きく左右される。親が築いた富を湯水の如く遊びに使い、真面目に仕事をしない2代目を持つ会社の行く末は暗い。偉大な創業者を親に持つプレッシャーを感じながらも目標とし、それを超えようと努力する2代目がいる会社には明るい未来があるはずだ。それは中国でも同じである。「富二代」という言葉が持つネガティブなイメージは、2代目たち自身が変えていかなければならない。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF) :サーチナ 2016-08-01 10:11
Posted at 2016/12/14 18:26:03 | |
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