
日本経営管理教育協会が見る中国 第432回--宮本邦夫(日本経営管理教育協会)
9月、1年ぶりに北京を訪れた。自動車で移動したのだが、道路の渋滞には驚かされた。北京の国際空港から天壇公園の西2、3キロメートルの場所までの移動であったが、渋滞がなければ1時間ぐらいで行けるはずなのに、何と3時間近くもかかってしまった。迎えに来てくれた中国の友人によれば、このよう渋滞は、北京では常態であると、半ばあきらめ顔で言った。次の日に聞いたことであるが、これを「交通病」というのだそうである。
■「交通病」は避けられない「都市病」
「交通病」というのは、道路の渋滞だけを現わす言葉ではないらしい。道路の渋滞のほか、駐車場不足、地下鉄の混雑、なかなか進まないバスなどの公共交通機関、交通機関の乗り換えの不便さなど、交通全体の問題を指す言葉であるという。こうした「交通病」は、何も北京に限ったことではない。かつて東京でも渋滞がひどく、車の排気ガスなどが環境問題になったほど、重篤な「交通病」を経験したものである。つまり、大都市では、どこでも罹るのが「交通病」であり、避けられない「都市病」であるということである。
■いろいろと「交通病」対応策は打ったのだが・・・
このような「交通病」に対して、当局は、いろいろな手を打ってきた。例えば、北京オリンピックに合わせて、多くの幹線道路を造ったり、地下鉄の路線を増やしたり、あるいは北京空港から都心近くまでのモノレールを建設するなどして、それなりの対策を施してきた。それなのに、交通渋滞が解消されないのは、中国において急速にモータリゼーションが進んだのが最大の原因であろう。走っている自動車を見ていると、乗用車が極めて多い。聞くところによると、若者は、自動車への関心が極めて強く、自家用車を購入して、それで通勤するのが夢だということである。
■一人ひとりが守りたい交通道徳
「交通病」の対策は、中央政府や北京市などの地方政府に任せっきりで良いわけでは決してない。当局の対策と同時に、市民一人ひとりが、当局が決めた交通規則を守るとともに、交通道徳を守ることが大切である。ここで言う交通道徳というのは、自動車の運転マナー、乗客の乗降マナーのことである。北京では、自動車の割り込みが非常に多く、それが渋滞の一因になっていることは確かであり、割り込みを避けることで渋滞の一部を解消させることができる。また、乗客がバスに乗るとき整列乗車をすれば、バスの遅延だけではなく渋滞もかなり解消されるはずである。(執筆者:日本経営管理教育協会・宮本邦夫 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(写真は北京での交通渋滞の様子、写真提供:日本経営管理教育協会)
Posted at 2016/12/16 07:38:05 | |
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