
中国社会を震撼させ、食品の安全問題が大きくクローズアップされる、きっかけとなった、「乳児用粉ミルク」へのメラミン混入事件、そして、日本にも影響を及ぼした、「毒入り冷凍ギョーザ事件」が、発覚したのは2008年。あれから9年が経過しようとしているが、中国の「 食の安全 」はいまだに確保されているとは言い難い状況だ。
中国メディア・人民網は5日、「食の安全を解決するのに、どれほどかかるか 日本は約20年かかった」とする記事を掲載した。
記事は3日に習近平国家主席が、「食品安全への取り組みを強化せよ。わが国の13億人あまりの、健康と命の安全に関わる問題であり、しっかりやるところを、さらにしっかりと努めよ」との訓示を垂れたことを紹介。そのうえで、「では一体、どうやってしっかりやるべきなのか」とし、日本の事例を取り上げた。
日本は食品が、安全であることで知られているとする一方で、「半世紀前には日本でも、『毒粉ミルク』事件が発生し、全国を震撼させたのだ」と紹介。1955年より森永乳業の粉ミルクを飲んだ乳幼児が相次いで死亡する、あるいは身体の変調をきたす事例が頻発、安定剤の中に有毒物質であるヒ素が含まれていたことが明らかになったとした。
問題発覚後、被害児の家族らは最後まで、責任追及の姿勢を崩さず、良識ある学者らの協力を得ながら、企業側と激しい法廷闘争を繰り広げ、ついに1973年に被害者支援団体、国、同社との間で被害者の恒久的な、救済に関する確認書が締結され、同社が責任を負う事で決着したと伝えている。
記事は、この事件によって日本社会が、「有毒食品」に対して神経を尖らせ、世論が企業を厳しく監督することになったほか、市民があきらめずに、とことん責任追及する精神が、「政府に関連法律の整備を急ぐよう迫らせた」と説明。中国においても政府当局が食品生産者を、厳しく監視すると同時に、なおのこと社会の大衆が政府と生産・販売者の両方に対して、厳しい目を光らせるべきなのだと呼びかけた。
「環境汚染」にしても、「食の安全」にしても、直接的な被害を受けるのは、他でもない市民だ。そして、劣悪な状況を改善し、安心して生活できる食住環境づくりに向けた、力強い波を起こすのも、市民による「怒りのパワー」なのである。政治や社会の体制が、日本とは異なり、より大きな困難が伴うかもしれないが、少なくともこれらの問題を解決するためには、市民による大きな、ムーブメントが必要ではないだろうか。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF) サーチナ 2017-01-07 12:12
Posted at 2018/07/20 16:25:51 | |
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