
中国国内ではEC産業の爆発的な普及に伴い、物流網が急速に発展しつつある。これは大変結構なことであるが、残念ながら現状のままでは、やがて中国はテープや段ボール、緩衝材といった「宅配便ゴミ」に埋もれることになるかもしれない。
中国メディア・参考消息網は4月30日、「中国の宅配便、年間169億5000万メートルの粘着テープと99億個の梱包箱を消耗」とする記事を掲載した。記事は、中国の郵政当局による資料データとして、昨年1年間に扱われた宅配便は206億7000万件に上り、前年比48%増になったと紹介。
北京印刷学院の専門家が、このデータから宅配便の包装に使われる資材の量を計算、ビニール編みバッグ29億6000万個、ビニール袋82億6000万枚、梱包箱99億個、粘着テープ169億5000万メートル、緩衝材29億7000万個に上ると推定したことを伝えた。
そのうえで「ECが発達し、物流網が急成長するとともに、大量に蓄積するゴミも問題になっている」とし、手のひらサイズの乳液をたった1本購入するのにどれほどの包装がされているかを紹介。一方で、大多数の物流業者やEC企業は薄利な包装資材回収業務を行っていないうえ、廃品集めをする者にも引き取ってもらえないため、資材が「そのまま捨てられてしまっている」とした。
そして、同学院の専門家が業者に対し、基準を設けて過度の包装を防ぐ努力が必要であると提言するとともに、中国の物流業団体関係者も資材を可能な限りリサイクルするよう呼びかけたと伝えている。
包装資材のリサイクルについて、確かに記事が指摘するとおり、業者が可能な限りの努力をする必要はある。過剰包装が必要になる理由の1つには、輸送時の扱いの雑さもあるだろう。少しでも丁寧な輸送サービスが心掛けられれば、少なくとも現状より簡単な包装で済むはずである。
しかし、業者ばかりに「宅配便ゴミ」問題の責任を押しつけていてはいけない。行政が積極的にゴミの分別回収、段ボールなどの回収に乗り出すとともに、市民や企業に「省包装、再利用」の徹底を呼びかけるアクションを起こすことも必要だ。
急発展、急成長の裏側には必ずなにがしかの「副産物」が伴い、やがて成長を阻害することになる。「副産物」への対処が新たな発展段階に進むためのカギなのだ。使い終わった包装資材の処理システムを構築できるかが、物流業さらにはEC産業の将来を左右すると言っても過言ではない。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF) :サーチナ 2016-04-01 07:49
Posted at 2016/11/30 06:14:23 | |
トラックバック(0) | 趣味