
昨日
フォトギャラリーに up した HINO SCANIA トラクターなんですけど、その場で説明を聞いていた際「このクルマはターボを付けたので排気量を 13,000 cc に抑えることができたんですよ」という言葉を、そのまま「ターボチャージャーを搭載した」と思い込んでました。
で、夜に調べ直してみたらなんかターボチャージャーとは別に
ターボコンパウンド という機構が搭載されているじゃないですか。
何ですのん、これ?
そう思ってちょっと調べてみたんで、この場でご報告。
ターボコンパウンドとは、
内燃機関の出力を増加させる装置の一つ。
エンジンの排気でタービンを回転させ、その出力を、ギヤや流体継手などを通じてクランクシャフトに伝える。
本来捨てているものだった排気から直接動力に変換するので、(タービンの排気抵抗を除けば)燃費を悪化させること無く出力の向上を図ることが出来る。
また大変に効率がよく、ターボチャージャーを通過した後の減速した排気からでも、ある程度の出力を得ることが出来る。
空気を圧縮する装置ではないので、過給器には属さない。
という説明が wikipedia にあります。
コンパウンド(Compound)とは混合とか合成といった意味で、燃料を燃やしてできる力と、排気で回したタービンの力を合わせる事から付けられています。これは広義の意味でいうハイブリッドエンジンになります。
排気ガスで回すタービンの回転を多段減速ギアと流体継手でクランクシャフトを回転させる力の一部として戻してあげるワケで、今まで捨てていた、というか利用できなかったエネルギーを使えるようにできるシステムです。ただ、これは特に新しい技術というワケではないようです。航空機ではダグラス DC-7 やロッキードコンステレーションなどのエンジンにこの技術が用いられております。
さてこのシステム、エネルギーの再利用という観点から、どれくらいの効率が考えられるのかというと、とある論文に書かれている数字を丸写ししますが、ボア x ストローク 135 x 150 mm のシリンダを 6 つ持つディーゼルエンジン(およそ 21,450 cc)で、
ターボチャージャーのみの場合、最高出力 294 kw/2,300 rpm、最大トルク 15.0 Nm
であったものが、ターボコンパウンドを取り付けた事によって
最高出力 353 kw/2,000 rpm、最大トルク 19.5 Nm
と、それぞれ 20% および 30% の出力アップとなったそうです。
ターボコンパウンドによって回収されたエネルギーは軸出力の 9%、このうち 3% が排圧の上昇などでレシプロ部で失われるため、6% がエネルギーとして回収できた事になります。
このエネルギー回収率、少ないと思います?
元々内燃機関は熱効率はあまり高くなく、このターボコンパウンド搭載エンジンで得られる熱効率は 41% です。そのうちの 6% がこのターボコンパウンド機構で得られるものですから、その割合は 6/41 x 100(%) = 14.6% となります。
この機構を搭載するだけで 1.5 割増しというと、かなりなものだと思います。
もっとも、燃費改善という観点からは
最大でも 1.5% 程度しか改善されないという意見もありますが。
この技術、出力の大きいエンジンであればある程回収できるエネルギーも大きいので、航空機、大型船舶、大型トラックなどでこれからも採用される技術だという事です。
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クルマの技術の話 | 日記
Posted at
2007/10/22 18:07:06