昨日のブログで書きましたような新たなチャレンジには発明がつきものですね。昔からクルマなり、飛行機なり、新しいモノが創られる時には画期的な発明があるものです。
何かを人類史上初めて成し遂げる,というのはすごい事だと思うし、名誉と尊敬が与えられます。子供の頃の僕はそういう話を見聞きする度に、「すごいなぁ」と思っていたものです。
……が、もう子供でなくなってしまった僕には、その頃は見えなかったものが見えてくるようになってしまいました。大人には見えないものが子供には見えている、という話はよく聞きますけれど,その逆もあるってことです。しかも、大人になってから見えてくるものは大抵ダークサイドだ。
飛行機を例にとりましょう。現在、史上初の有人動力飛行を行なったのはウィルバー & オービル・ライトの二人という事になっています。その事により,彼らは栄誉を与えられました。
で、二人はそれで満足したのでしょうか?
この問いに対する答えはご本人達にしか分からないのですが、その後の二人の行動を見ることによって、想像する事はできます。
実は彼らは動力飛行を試みる前に、特許申請をしていました。内容は飛行機のバランスを保つための操縦系に関するものなのですが、飛行機が方向を変えるための基本原理に近いものです。
この特許を盾に、彼らは世界中の飛行機研究家・製造会社を訴えました。当時の裁判官はライト兄弟を、申請していた特許の発明家であるばかりでなく、飛行機の発明家として認めていたようで、彼らの権利を保護しようとしていたようです。
ライト兄弟の課したライセンス料はベラボーなもので(一説には 1000 ドル/日といわれています)、当然ながら彼らは航空界で孤立していきました。
……どうですか? 栄誉だけで満足したと思えますか?
これがレアケースだと思われる方もいらっしゃるでしょうから、別の例も軽く出しておきます。
ガソリンを燃料とする自動車の発明者は誰であるかご存知ですか?
現在,この答えは「ゴットリープ・ダイムラーおよびカール・ベンツの二人」という事になっています。
みんカラに来るようなクルマ好きの方なら、この名前聞いた事ありますよね。後にこの二人は "ダイムラー・ベンツ" という会社を設立します(その後、1998 年にクライスラー社と合併、ダイムラー・クライスラー社となります)。
ベンツというクルマがどういうクルマか、説明するのもアホらしいのでしませんが、発明者が手にしたものは栄誉だけではないという事がお分かりの事と思います。
……大人になるという事は、こういう見えなくてもいいところが見えてしまう事でもあるんですねぇ。
Posted at 2006/03/14 18:16:04 | |
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ウンチク | 日記