マーズ・ワンという非営利団体が計画しているプロジェクト、
火星コロニー建設計画に世界 140 ヶ国から 20 万人以上が応募したんだそうです。
このプロジェクトに募集を掛けたというニュースはしばらく前に聞いていまして、それについていろいろ考えた結果、僕の出した結論は
たとえ人類が火星に移住出来たとしても、数十年後には寂れていくだろうな(考えうる最良の結果で)
というものでしたので、20 万人もの人が応募したことにびっくりしました。
何が問題なのかといいますと、火星で生活するにはほぼすべての材料を地球から運ばないとならないのですが、その運送に関わる費用は(最初のうちはともかく)、誰が負担し続けるのか、というものです。これに対する答えが見つからなかったので、この計画は成功しないんじゃないかなぁ、という結論に達しました。
火星で人類が生きていくためには、外環境から遮断された空間を作り、その中を地球環境になるべく似せることが必要です(テラフォーミング、といいます)。重力までは何ともしようなないと思いますが、酸素と水、そして食料が確保されないとなりません。
閉鎖環境でこれらを『自給自足』させられるかどうかを試みた人達はおります。これは火星のテラフォーミングのための実験というわけではなかったのですが、アメリカ合衆国アリゾナ州に密閉空間を作って農耕と牧畜をおこない、食料と水、酸素を外部からの供給を受けずに生存することを目標としておこなわれました。
で、結果はあえなく失敗。当初は人員は交替しながらも 100 年間続けるはずであった実験は、最初の 2 年で打ち切られました。食料も酸素も不足し、さらには中にいた人達( 8 名の科学者達)の心理的な問題も起きたそうです。
火星に移住した場合、これが大規模で再現されるはずです。しかも、現在地球から火星への移住は一方通行と仮定されています。帰ってこれる移動手段を火星で作るのは不可能だし、地球から往復をするためには燃料や食料を片道分の倍以上用意しなければならず(重量が増える分燃料は増やさないと打ち上げることすらできなくなります)、そんな輸送手段は用意できないから、という理由です。
となれば、移住した人達の食料・酸素・水を供給し続けなければならず、それに関する費用が発生し続けるわけです。で、その費用の出所は、税金であるか、企業が出資するかしか考えられません。
税金で賄い続けるにはその地域の人達の同意が必要なはずです。最初の数年ならともかく、何十年後も見返りのない巨額の出費を続ければ、反対する人も出てくるだろうし、その前に安定した予算がある保証は何処にもありません。
また、企業は見返りのない出資を続けることはありえないです。見返りはあるのか、といわれたら
ない
と断言できます。
(現在考えられているのが、火星へ移住した人達の様子をメディアに紹介することで収入を得ようという計画。これも最初のうちはお金を払ってでも見たいという人がいるでしょうけど、いつまで続くかを考えたら先は見えてしまうと思います)。
実はここまでは前振りで ww、こういうことをずっと前から考えていたはず(と僕が勝手に想像していただけなんですけど)の、とある人達がおりまして、その人達はどういう思考をしているのか、知りたくなりました。
SF 作家、っていう人達なんですけどね。
もはや SF では古典となった感がある、その名もずばり、
火星年代記という作品があります。ここに答えはあるのか、と今年になってから読んでみたのですが……、
そういうことは考えていなかったみたいです。
念のため、その他にも宇宙へ旅する類の SF をいくつか漁って見たのですけど、そういうことは目を瞑ってるんですね。SF 作家の方達だからといってすべてを科学的に考察しているわけではないということを実感させられて終わってしまいました。
念のために書いておきますけど、火星年代記が出版されたのは 1950 年、まだ人類は月どころか、宇宙空間にも行っていない時代に書かれた作品です。そしてこの作品は火星への移住という題材を用いてはいるものの、実際は文明批評と当時のアメリカ合衆国の文化を風刺した作品であります。
Posted at 2013/09/10 19:57:17 | |
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