
前々からカタログ燃費と実燃費に乖離がある、と言われ続け、カタログ燃費の基準も
60 km/h 定地燃費 → 10 モード燃費 → 10・15 モード燃費 → JC08 モード燃費 → WLTC モード燃費
と次々と変更されております。にもかかわらず、カタログ燃費と実燃費の乖離は解消されたという話は聞いたことがありません。
しかしですね、冷静に考えてみれば両者の乖離は解消されるわけがないのです。
理由の一つ目としては、クルマの使い方は人それぞれということが挙げられます。
近所の買い物メインな使い方をする人と、長距離を走るのがメインな人で同じような燃費にならないのは分かりますよね。発進・停止を繰り返すのは燃費にとって悪い影響しかありませんからね。
もう一つの理由は、人によって車の運転(この場合は燃費を上げる、という意味においてですが)に上手下手があるということです。
上に載せたグラフは、DJ Demio (ディーゼル)のカタログ燃費(30 km/L)と、ネットで拾ってきた実燃費(23.99 km/L)を使って作成したものになります。
標準偏差は 2 としています。これは根拠があってのことではないのですが、このくらいの数値にしないと説明ができないので。
話が前後しますが、人によって数値が異なる燃費の数値は、ある一定の分布を取ります。おそらく正規分布用の分布を取るはずですが、そうでない分布を取ったとしても話は同じです。
改めてグラフをご覧下さい。平均燃費を山の頂点にして、高燃費・低燃費の両方向に広がった形の分布をしています。先ほど標準偏差を 2 とした、と書きましたが、この数値を取ると 30 km/L の燃費を出せる人は 1000 人に一人か二人ということになります。いかにもありそうな数字でしょ?
(もうちょっと詳しく書くと、燃費のばらつきが正規分布を取ると仮定すれば、平均燃費 + (3 x 標準偏差) が29.99 km/L、平均燃費 - (3 x 標準偏差) が 17.99 km/L、この範囲に入る人の割合が 99.7% になります)
で、こんな誰も出せないような数値をカタログ燃費にするな、というのが多くの人の主張だと思うのですが、逆に問いたいのがどのような数値ならば納得するのか? ということです。平均燃費(実燃費)をカタログ燃費にしろ、と言われると思いますが、それは多くの人が使用した後に分かることであって、市販前に平均燃費なんか分かるわけがない。また、平均燃費をきっちり狙って叩き出せるテストドライバーさんなんているわけがないと思います。
その他に、自社が真面目に平均燃費付近の数値を出したとして、他社がちゃんと平均燃費付近の数値を出す、って信用できますか? できるわけないですよね。だって実際にインチキやってるメーカーさんあったじゃないですか。
(ついでと言っては何ですが、たとえ平均燃費をカタログに載せたとしても納得しない人は出るはずです。なぜなら使用者の半分は平均燃費を出せないから)
これが1000 人に一人しか出せないような燃費であっても、インチキではないきちんとしたやり方で出した数値であれば、比較はできますし、その数値を狙うほうが(まだどのくらいの数値になるのか分からない)平均燃費を狙うよりはよっぽどやりやすいのです。
そんなわけで、各メーカーとも出せる最高値を狙ってテストをしているのだと思います。ですから今後どのようにモード燃費が変化したとしても、「そんな数値出せるわけがないだろ」という数値が出ると思います。その数値が平均とどれだけ離れているか、という数字が近いか遠いかだけの話ではないかと。
Posted at 2021/06/14 21:23:28 | |
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