オートリトラクタブルトップを自作(まずはハッキング)
| 目的 |
チューニング・カスタム |
| 作業 |
DIY |
| 難易度 |
  中級 |
| 作業時間 |
1時間以内 |
1
ロードスターRFのルーフは電動で開閉でき、非常に便利です。開閉時間は約13秒と、ハードトップの動作としては短時間な部類ですが、完了するまでリトラクタブルハードトップ・スイッチを押し続けなければなりません。
実際、この操作は乗降時に行うことが多く、メガネやスマホを手に取るといった他の動作と重なりやすいため、地味に不便さを感じていました。
そこで巷で販売されているのが、スイッチを押し続けなくて済む「オートリトラクタブルキット」です。今回はこれを「自作できないか?」という発想で挑戦してみました。
以下の内容は個人的な備忘録としてまとめており、多くの方には不要な情報かもしれませんが、興味のある方の参考になれば幸いです。なお、対象車両はロードスターのND2です。ND1の場合は配線の色などが異なる可能性があるため、ご注意ください。
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ルーフの開閉動作中、シートヒータースイッチ付近にある「リトラクタブルハードトップ・スイッチ」を押し続けている間は、作動表示灯が「点滅」します。途中でスイッチを離すと動作が停止し、表示灯は「点灯」状態に変わります。
この仕様から考えると、作動表示灯が点滅している間、開閉スイッチをONに保持し続ける回路を組み込み、スイッチ周りの信号を制御できれば、オート化が実現できそうです。
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まずはシートヒータースイッチを分解し、基板の構造を観察してみます。 基板上には、ルーフ開閉用の2つの「タクトスイッチ」と、動作状態を示す「LED」が確認できました。
ここからはテスターを用い、これら3つの部品からどのような回路(抵抗やダイオードなど)を経由して、最終的に背面の「コネクタ」端子へ繋がっているのかを特定していきます。
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基板裏面を確認するとICチップが1つ実装されていますが、全体的には抵抗、コンデンサ、ダイオード、トランジスタといった標準的な素子で構成されています。複雑な信号処理を行って車体へ送っているわけではなく、あくまで「スイッチ」と「インジケーター」としての役割に特化した回路という印象です。
ただ、ここで一つ問題があって、中央左にある黒い直方体のオスコネクタについてです。 車両側のメスコネクタは「住友電装 025型 NH 非防水 10極」と特定できたのですが、それに対応する基板実装用のオスコネクタがどうしても見つかりません。住友電装のカタログすら掲載されておらず、市販されていない品番のようです。
こうした背景から、市販のオートリトラクタブルキットはカプラーオンではなく、純正配線を加工(切断・割り込ませ)して取り付ける仕様になっている理由が分かった気がします。
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基板に実装されている10極のオスコネクタには、ルーフ開閉関連だけでなく、助手席のシートベルト未装着警告灯やシートヒーターの信号線なども集約されています。
そのため、先ほど確認したタクトスイッチや作動灯の回路パターンを物理的に辿り、この10本のピンの中からオート化に必要な配線だけを正確に特定していきます。
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まずは開閉スイッチの回路を観察しました。スイッチ周りの構成は非常にシンプルです。
コネクタ①配線の黄緑線(yellow green)から分岐した信号は、それぞれ2種類のタクトスイッチへと繋がっています。一方は2.2kΩ、もう一方は1kΩの異なる抵抗を経由して、最終的にコネクタ⑧配線の黒線(black:GND)へと合流する仕組みです。
車両側は、この①配線に現れる抵抗値の差を読み取ることで、現在「OPEN」と「CLOSE」のどちらのスイッチが押されたのかを判定しているようです(多分)。
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次に、インジケーター(作動灯)からコネクタ配線までの回路を解析しました。こちらは少々複雑な構成です。 基板上の「D5」と記されたLEDが、外部へ動作状態を伝える作動表示灯にあたります。
解析の結果、この回路はコネクタ⑤配線の紫線(purple)から始まり、さまざまな素子を経由して、最終的にコネクタ⑦配線の空色線(light blue)へと行き着くことが判りました。 周辺の電子部品の配置から推測すると、⑤配線(purple)は12Vが供給されている電源線と思われます。
途中の回路にはICチップやPNP/NPNトランジスタなどが介在していますが、回路図に起こして整理してみると、実態は比較的シンプルです。車両側のコンピューターが⑦配線(light blue)をマイナスコントロール(吸い込み制御)することで、電源側の⑤配線と接続されたLEDの点灯・点滅を制御しているという構成のようです(多分)。
※なお、回路図に記載した電子部品の型番は、部品上のレーザー刻印から推測した相当品であり、必ずしも実物と一致するものではありません。
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回路の全体像が見えてきたので、仕様を簡略化したテスト用回路を製作してみました。 使用したパーツは、すべて手元にあったストック品です。
スイッチには、シートヒータースイッチと同様の動作を再現できる2極双投(DPDT)のモーメンタリースイッチがあったのでそれを使用。また、実際の開閉動作中のインジケーターとしてLEDを組み込みました。
本番の実装回路では、メイン電源に5Vを使用する予定です。そのため、今回はあらかじめ三端子レギュレーターを介して車両の12Vを5Vに降圧し、5Vの使用が問題ないかもテストを行っています。
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いよいよ実車での検証です。車両側コネクタの①・⑤・⑦・⑧に自作回路を接続し、動作テストを行いました。
検証の結果、2極スイッチの操作でルーフが正確に開閉し、動作中にはLEDが「点滅」、停止時には「点灯」することを確認。純正のシートヒータースイッチと完全に同等の挙動を再現できました。 (※写真は、ルーフを閉じる動作を途中で止めた状態です。このとき、LEDは点灯状態に変わります。動き始めると再び点滅します。)
巷で市販されている「オートリトラクタブルキット」の配線情報とも照らし合わせてみましたが、内容はおおむね一致しているようです。
これで、ルーフ開閉スイッチの解析(ハッキング)は無事に完了しました。あとは、コネクタの①配線(開閉信号線)に別回路を割り込ませ、動作中はスイッチをONに保持し続けるロジックを実装するだけです。
……とはいえ、ここから先の製作で失敗し、この記事がお蔵入り(あるいは削除)にならないよう、慎重に進めていきたいと思います。
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