毎年9月中旬~10月中旬は、高山の紅葉と富士山狙いで登山計画を立てたいと考えている。
しかし、環境の変化があって3年遠ざかっていた。
■環境変化
〇世の中の環境変化
2020年に発生した新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、県境移動制限、登山口連絡バス、山小屋、関連施設の営業自粛・縮小・人数制限等々があって、登山機会がめっきり減ってしまい、長時間登山(5時間以上)は2019/9の北岳以来計画すらできていなかった。
〇個人的な環境変化
・2020年から在宅勤務継続中(約3年)
→運動不足がたたり、1時間弱の登山でも異様な腰に張り・痛みを感じるようになっていた。(2021年秋口に精進峠をyanagiさんを案内して登山した際、たかだか1時間足らずの登山なのに、ペースは上がらないわ下山後腰が張って張って苦痛だった)
・2022年7月初旬に右肩の肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)が発生。きっかけは、寝た状態から起き上がって、右腕を後ろに引いた状態から無理に起き上がろうとしたときに痛みが走った。放置しておけば治るだろうと思っていたら一向に治らず。症状を調べてみたら典型的な五十肩(軽度)の症状であった。整形外科で治療継続中(なかなか改善せず)。
→ ザックを背負う際に両腕を後ろに引いて持ち上げるが、その動作が苦痛。長時間登山に耐えられるのだろうか?
・肩痛から立て続けの同時期(2022年7月初旬)に左足親指骨折(亀裂骨折)。朝方勢い余って左足親指を強打。放っておけば治るだろうと思っていたが、夕方になっても痛みが引かず異常に腫れあがっていたので、整形外科へいってレントゲンで確認してもらったらポッキリ骨折していた。ほぼ生まれて初めての骨折。部位と状態から予定通り3週間(7月末)で固定器具は取れたが、骨が軟骨で引っ付いただけで走ったりはできない。しかし既に骨の修復が始まっており、医師には子供なみに回復スビードが早いと驚かれた。2ヵ月後(9月初旬)で骨治療は終了。
→ 治療終了したとはいえ、登山では登山靴で親指が圧迫され、体重+20kg前後の荷重を長時間受けることになる。下山時は更につま先に荷重がかかるので、骨折箇所が耐えきれるか不安
■鳳凰山計画
高山から紅葉と富士山といえば、やはり鳳凰山(観音岳)からの紅葉が撮りたい。
鳳凰山の代表的な登山ルートは
1) 夜叉神峠登山口起点の夜叉神(やしゃじん)ルート
2) 御座石鉱泉起点の御座石鉱泉ルート(ございしこうせん)
3) 青木鉱泉起点のドンドコ沢ルート ※鳳凰小屋で2)のルートと合流
4) 青木鉱泉起点の中道(なかみち)ルート
がある。
2)と4)は過去に経験があって、自分にあっているのは2)御座石ルートだと思っているが、宿泊地になる鳳凰小屋は、テント場が狭く隣のテントまで1mも無いようなすし詰め状態になるので小屋泊が条件。
※「2)→御座石鉱泉ルート」→
トラウマの山
コロナ禍になって、どの山小屋も収容人数を絞って宿泊料金を1.5倍ぐらいに値上げしている(ただし、鳳凰小屋は値上げ微増)。基本嫁と2人泊のため、値上げ幅は2倍かかってくる。
今回は、鳳凰三山の基本ルート1?を一度は経験してみたいと思っていたので、夜叉神ルートで登頂を目指すことにした。(ただし、夜叉神峠の駐車場に車が停めらないようだったら、御座石温泉に回ろうとも考えていた。)
夜叉神ルートであれば、南御室小屋でテント泊もできるので、NEMO DaggerStorm(3人用テント)のデビューを考えていた。テント泊登山装備と自身の評価テスト(試金石)にもなる。
※テントは最終的にDaggerStormはあきらめvs30に変更。
■登山装備
いつもテント泊登山はザック総重量が24kgぐらいになって、何とか軽量化できないか悩んでいた。今回「運動不足からくる足腰不安」「右肩痛の不安」があるので、まじめに対策を考えて見ることにした。
1) まず登山携行品の1つ1つの重さを細かく1g単位で計測
(カメラ機材、ザック、テント、シュラフ、バーナー、飲食類、ウェア、バッテリ等)
2) 取捨選択してどのぐらいの重さになるか算出
こうすることで、どれが重量を食っていてどれを軽量化すれば効果があるか一目瞭然にわかるようになった。
※調べていくうちに楽しくなって来て、いろいろ購入してましった…
〇ザック
1) オスプレージーニス108 2,992g(レインカバー、三脚補強カスタム含む)
2) グレゴリーバルトロ85 3,176g(レインカバー、三脚補強カスタム含む)
3) 山と道 one(50-55L) 826g(レインカバー、腰Packx2、StaffPack含む) ※今回追加
→ 山と道oneにするだけで、なんと2kg以上軽量化ができる!これはでかい。しかしoneの最適荷重域は最大11kgでありオーバーしても13kgにとどめたかったが、納まり切らなかったので、最終的に「1)ジーニス108」をチョイスした。
〇カメラ機材(三脚除く)
1) GFX100S + レンズ1本(GF32-64mmF4) + 小物 + インナーケース 2,896g
2) GFX100S + レンズ2本(GF32-64mmF4、GF45-100mmF4) + 小物 + インナーケース 4,036g
3) z6II + レンズ2本(24-70mmF2.8、70-200mmF2.8) + 小物 + インナーケース 4,290g
4) z6II + レンズ1本(24-120mmF4) + 小物 + インナーケース 2,512g
→ 軽量化だけであれば4)だが、画質も捨てきれないため最終的に1)に決定
〇テント(3人用テント)
1) Dunlop VS30 一式 2609g(本体/ポールで2.1kg、グランドシート、ペグ含む)
2) NEMO DaggerStorm 3P一式 2423g(本体/ポールで1.7kg、フットプリント、ペグ含む) ※今回追加
→ テント本体(インナー、フライ、ポール)だけであれば、VS30 2.1kg、DaggerStorm1.7kgだが、その他を含めると最終的には185g差。
NEMO DaggerStormは室内が広く両サイド出入口ありで、かつVS30より0.4kg軽量と機能面では素晴らしいのだけど、反面NEMOテントは市場価値が高く盗難率も高い。また、軽量化設計で標準状態では施錠も掛けられない。
今回テン場にテントをデポして山頂アタックする予定なので、NEMOテントデビューは今回見送り。市場価値が低めでかつ施錠ができるvs30をチョイスすることにした。
■山行
当初から計画してわけではなかったが、初の二泊三日の山行でした。
2日目の朝の景観はパッとしなかったので、追加で連泊を決行することにしました。
〇概要
1日目 6:30 夜叉神峠登山口より登山開始
14:40 南御室小屋到着
南御室小屋のテン場でテント泊
2日目 1:20 南御室小屋出立
3:50 観音岳撮影ポイント到着
7:45 観音岳出立
10:35 南御室小屋到着
南御室小屋のテン場でテント泊
3日目 1:20 南御室小屋出立
3:30 観音岳撮影ポイント到着
7:20 観音岳出立
8:50 南御室小屋到着
11:40 テント撤収、下山開始
16:50 夜叉神峠登山口到着
観音岳山行の詳細な様子は、
こちらをご覧ください。
【鳳凰山2022】観音岳ピストン(夜叉神峠ルート)
(項「写真」の右端にある「スライドショーで見る」がおススメです)
■作例
(1) 夜明け
(2) レンブラント光線
(3) モロゲンロート
(4) デイライト
■山行を終えて
◆良かった点
・鳳凰三山の主要ルート制覇。
鳳凰山登頂には、御座石ルート(ドンドコ沢コース)、中道ルート、夜叉神ルートがあるが、毎回この3つの内どのルートから行くか迷っていた。夜叉神ルートは経験がなく比較ができなかったので、今回経験できて3コースの比較ができるようになったのは収穫でした
個人的な3コースの比較はこんなイメージ
御座石ルート 小屋泊:◎(前日予約可)、テント泊:○、コース難易度:○、利便性:○
中道 ルート 小屋泊:△(予約難)、テント泊:×、コース難易度:×、利便性:◎
夜叉神ルート 小屋泊:△(予約難)、テント泊:◎、コース難易度:△、利便性:△
・嫁さん転倒せずに踏破
いつも嫁さんは何度か転ぶことが多くて、特に2018鳳凰三山(
トラウマの山)では手指から動脈出血するほどの怪我をしてしまったが、今回は一度も転ぶことなく踏破できた。
jtは基本転ぶことはほぼない。バテることはあるけど…
・南御室小屋のテント場がよかった。
テント場が広く、ペクも打ちやすい、平坦、脇にベンチあり(場所による)、水がおいしい(南アルプスの天然水)、風の影響を受けにくい。
※鳳凰小屋はテント場が狭く、繁忙期のテント場は過密幕営するので、隣のテントまで50cmないと思う。水はおいしい。
・テント泊で初の連泊経験
最初から連泊計画する予定ではなかったが、連泊可能な食料は準備していた。1泊目の早朝の撮影シチュエーションが今一つだったため、連泊してみることにした。
思いのほか快適で、寝不足気味の疲労している体をゆっくり休めるにはなかなか良い。時間を持て余すこともなかった。1発で絶景に巡り合えばいいけどそうじゃないことも多いから、7時間前後の登山では連泊想定は今後積極的に取り入れたい。(その分休みが必要だけど)
・体調の変化
1)在宅勤務もあっての運動不足
2)右ひざの異変(内側健の不快な移動、バキン音)
3)右肩の肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)
4)左親指骨折
2022/7月初旬に左親指骨折。保育園時代に左鎖骨にヒビが入ったことがあったが、まともな骨折は初めてだった。単純骨折(閉鎖骨折)らしく一般的に3週間で固定装具が外せると言われた。左足だったのは不幸中の幸いだった。もし右足だったらアクセル/ブレーキ操作ができずずっと家から出られなかっただろう。骨折の翌日にはがん検診にも行ったし、撮影にも出かけていた。予定通り3週間で固定装具が外せたが、軟骨で骨が付いた状態で登山するにはまだ時間がかかると言われた。結果2ヵ月で完治。
→このような状況でテン泊装備(約20kg)22時間登山だったが、特に痛みもなく心配は杞憂におわった。右ひざの健も登りではパキパキ音はなっていたけど気にならなくなった。
・jtも嫁さんもトレーニング登山無しのぶっつけ登山だったが、登りで大バテはしなかった。ただ杖立峠の途中から苺平の石がゴロゴロした急登エリアはバテ気味だった。
・テント泊装備軽量化。
いつもテント泊装備だとザック重量は24kgコースだったが、20kgでまとめられた。(ホントは18kgぐらいにしたかったけど)
・登山装備重量総点検ができた。
カメラ機材、登山アイテム1つ1つの重量を1g単位で計測。なにが重くてなにを削ればどの程度軽量できるかが数式化でき、事前に想定重量を算出できるようになった。これによって各アイテムのUL化ができるかもしれない。
◆反省
・嫁さんが下りで親指の爪あたりに内出血していた(両足)
同じ靴で鳳凰三山、北岳、千枚岳登ってこのような事はなかったのだが、傾斜が比較的緩めという先入観店から登山靴の締め具合が甘かったのかもしれない。
・ULザックを使えなかった(テント泊装備ではどうしても重量オーバー)
せっかくのoneが。よく考えたらジーニスやバルトロより値段高いのだけどなぁ…。
・NEMOテントが使えなかった。
7万円超の高機能・軽量テントが使えなかった。