日付穴埋め投稿也。
とある顧客が定期検査を依頼した。 飛行中エンジンから偶に振動が来ると言うことも含めて 見て欲しいと。 「飛行中」で、しかも「偶に」起こる症状。 地上でどうやってどうしたら良いモノか❓ 常連客なので過去の整備は記録してある。 考えられる項目を一つ一つ取り除く。 Process of eliminationだ。 そして浮かんで来るのが、排気バルブの摺動問題。 俗に云う Sticky Valveだ。 このエンジンでは、よくあり得る問題だし。。。。四気筒の内どの気筒が其れを起こしているのかを知るのが課題。
Compression Testを行うと、疑わしい気筒がどれか判った。 第一気筒だ。 この気筒のバルブ摺動性が向上するよう作業をする。

カバー、ロッカーアーム、プッシュロッド等を外すと、問題が見えた。

滑らかに回っていないので、片べり(異常摩耗)している。 滑らかに稼働するよう整備を行う。

圧縮工程の始まりの位置にピストンを持って来る。 気筒内にロープを送り込む(圧縮空気の役目をする)。 プロペラを回転方向に動かなくなる迄 まわす。
専用工具を用いバネを外す。

ロープを抜き取り、バルブを燃焼室内に落とす。

専用リーマーを用い、、、、

優しくグリグリする。 航空機用ガソリンには、鉛が含まれていて、エンジンの使用時間がかさむと燃焼副産物として固体化した鉛がバルブガイドとバルブステムに積もる事がある。積もった鉛がバルブの摺動を渋らせる。 バルブがキッチリ閉まらない状態になる。 圧縮効率が低下し、パワーロスや振動に繋がる。 ここで何をしているかと云うと、リーマーでグリグリしてバルブガイドに積もった鉛を削り落としている。

次にバルブステムを引っ張り出す。

(・_・D フムフム 目視点検するが、GGE Eyesでは、よく見えない。

取り敢えず、自作専用工具でシコシコする。

シコシコしたら鉛が気持ちよく擦れ取れて来る。 ( ´∀` ) 作業範囲が限られているので根気の要る仕事だ。
積もった鉛を取り切ったら全てを元に戻す。 飛び出たバルブをいかにして元に戻すかは、企業秘密なので公開しない。 (´∀`*)ウフフ。
この作業は、八月に行った。 以来顧客は、数回飛んでいるが、エンジンの振動に関する文句は訴えていないので、作業が成功したに違いない。
🅼
Posted at 2020/10/01 10:38:22 | |
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航空関係 | 日記