さて開幕を迎えるF1です。
今回のエンジン(パワーユニット)には大変興味がわきますね
レギュレーションは以下の通りです。
●内燃機関のスペック
・排気量1.6リッター6気筒エンジン
・最大回転数15,000 rpm
・最大燃料噴射圧500bar
・シングルターボチャージャー
・バリアブルジオメトリータービン禁止
・Vバンクは90deg
・最大ボア径80㎜
・エンジンの重心や最低重量が決まっている
・最大燃料流量は100kg/hに制限
・外部からのエンジン始動禁止
・
●KERSのスペック
・リアの運動エネルギー120kW
・ターボチャージャーと連結した排気エネルギー回生
では実際どのような考え方で仕上げているのか想像してみましょう♪
ここからは私の妄想です。
まずエンジン本体ですが、V6の1.6Lでボア、ストローク、Vバンク角度
は規制されています。
また重心位置やクランク高さ、ギアの厚み素材といったところもまで
規制が入っているので、意外と触りようがないのが現状です。
大きく違うのは直噴エンジンとなったこと。
燃圧と最大流量が決まっていますので、12000rpm(最大燃料流量は100kg/hに制限)
以上で燃料を増量することができません。
最高回転数は15000rpmですが、実際使うのはオーバテイク
だけではないでしょうか?
直噴のノズルはボア中央です。
ここで考えられるのは、直噴なので燃料の噴射方法です。
燃料を一定で噴射する必要がないので、吸気工程で
噴射したり、圧縮工程前半で噴射したり、圧縮工程後半で
噴射したり(シーケンシャル噴射)できます。
当然燃料消費を抑えるため、全域リーンバーン運転が
必要でしょう。
市販車のリーンバーンは三菱のGDIエンジンで話題になりました。
40:1の空燃比であの時代に燃やすことができています。
ただ排気ガス規制が現在はある(PMの問題も)ので市販車
ではだめですが排ガス規制のないF1ではOKです。
なので、燃料噴射時にスパークプラグの周りでリッチな混合気を
作るようにして、着火させ、全体的にはリーンな混合気を燃やします。
またV8時代にも燃料消費をおさえるために、気筒休止を
行っていましたので今回もするかもしれません。
直噴エンジンなのでやり方によっては、4サイクルの2回転に一回
燃焼させずに、4回転に一回燃焼させるような間引き運転も可能です。
リーンバーンではパワーが出ないという方もいますが、パワーが必要な時は
リッチにもできるし、ターボのブースト圧制限がないので
基本的にはブーストを上げていけばいいと思います。
(インタークーラはできるだけ小さくしたいのでブーストに頼るのも空力的問題がでます)
この辺は林義正本にも書いてますので興味がある方は読んでみてください。
燃料消費を抑えるためには、フリクションロスも減らさないといけない
のでエンジン回転数を抑えることも重要ですね。
ちなみにスロットルバルブですが、基本的に開きぱなしに
なると思われます。
V8の時もホットブローの時に明らかになりましたが、
エンジンブレーキを利かせると破損につながるそうです。
V8時代はエンジン保護の為スロットルを開くか、少し燃料を
吹いて燃焼させていたそうです。
今回は燃料吹くともったいないので、スロットルは開けたままだと
考えられます。
燃料の噴射量で出力を調整するのかなぁ。
想像できるエンジン本体は簡単に以上のような予想ができます。
あとややこしいのがターボチャージャーです
今回のレギュレーションではターボチャージャーに
発電機を付けてエネルギー回生ができるようになっています。
(MGU-H)
簡単に言えば排気ガスでタービンを回し発電するということです。
ここのポイントとしては二つあり、一つは発電機の最大回転数が125000rpmと決まって
いること
もう一つはタービンによるエネルギー回生には上限規則がない事です。
なので回生すればするほどお得な計算です。
ちなみにMGU-K(従来のブレーキ回生)には最大回生量が規則で決まっています。
一つ目のポイントである発電機の最大回転数ですが、
ターボチャージャーだけなら20万回転以上回すのが普通です。
しかしターボチャージャーのタービンシャフト
に発電機を直結した場合、125000rpmまでしか回せなくなります。
規則上はタービンシャフトと発電機を直結する必要はありませんが、
変速するにしてもタービンシャフトの回転数が20万rpmとかになると
ギア等では無理(振動で破損する)高度な技術が必要になります。
(今後は油圧で伝達するトラクションドライブも考えられます)
なので実際はタービンシャフトと発電機は直結のようです。
ちなみにルマン24hに挑戦するポルシェ919は、規則がないためターボチャージャと発電機が完全に別で
ターボチャージャーを回した後の排気ガスで発電用タービンを回します。
話は戻って最高回転数の決められたターボチャージャーは風量を得るためにできるだけ
直径を大きくすることが考えられます。
大きなターボチャージャーを常に125000rpmで回せば発電にも有利です。
直径の大きなターボチャージャーはターボラグが心配されますが、
発電機は逆に電圧を加えるとモータになります
なので回転数の低いときには発電機をモータとして
活用し、スーパーチャージャーのようにエンジンを
回します。
モータとして使用すれば当然電力が必要になりますが、
たかが直径20センチほどのタービン(重さも数百グラム)回すだけなので
問題はないはずです。
タービンをまわし続けるとブーストがどんどん上がり続けますが
ユーノス800のミラーサイクルエンジンのように、吸気をバイパスしておけば
問題ないと考えます。
排気についても真空状態になると思いますが
バイパスしてやればいいのではないでしょか。
といったところで私の妄想は終わります。
簡単に書こうと思ったけど、長くなっちゃいました。
実際のところはどのような制御をするかわからないですが
とっても楽しみです。
あと、年間5基しか規則で認められないので、
開幕戦から、ぶっ壊れるとかなり厳しいシーズンになりますね。
想像しながらF1をみるのもよろしいかと・・・
ではでは♪ご清聴ありがとございました。