
マクラーレンホンダがついに走り始めましたね♪
かなり不安な感じがしますが、頑張ってもらいましょう♪
今日はちょっと前に読んだF1技術本の内容が面白かったので書いてみます。
V8時代のF1エンジン写真ですが動弁系は直打式が良いのか?
それともロッカーアーム式が良いのか?
ってことについて書いています。
昔のレーシングエンジンは大体直打式が多かったと思います。
理由は軽量でシンプルなことから高回転に向いているという
ことだと思います。
なんで2001年モデルまでは直打式を採用していたけど
よりハイリフト化するとリフター径(タペット径)の拡大が必要となり
軽量化との両立が難しくなった
そこでロッカーアーム式を採用したそうです。
市販車の場合はレバー比をとってよりハイリフト化するために
ロッカーアーム式にするのですが、このエンジンの場合は
レバー比を1に近づけ面圧を低減するとともに剛性向上による
バルブ挙動の改善させたとの事です。
ちなみに現在のF1エンジンではチタン材の使用が禁止されて
いるので、材料痴漢じゃなくて材料置換による軽量化が難しく
なってます。
ココで重要な技術ですがスリッパ部分にDLCコーティングして
耐久性(カジリ防止)と低フリクションを実現したそうです。
http://www.ipros.jp/adv/05354/
直打式はフリクションが多いようで実は少ないと学生時代に習いました。
コレはタペットをカムが押す時に摩擦があるのですが
実はタペットの中心とカムの中心がずれている為に
タペットが回転しているからだそうです。
なんでタペットを見ると大体円状の模様がついている筈です。
もちろんハイリフトカムになると対応できなくてカジリが発生することが
ありますけど。
ロッカーアーム式でもDLCコーティングのおかげで低フリクション化
ができるようになったんですね。
ということでより高回転を目指すエンジンの常識では
今後はロッカーアーム式になるんでしょうね。
市販車でもフリクション低減でローラロッカーアームってのも
あります。
コレは低回転のフリクションロス低減が目的です。
そういえばレクサスLFAもロッカーアーム式ですね。
次の写真ですがカムシャフト構造です。
レーシングエンジンでは高回転化=高出力となるので
より高回転化するための技術です。
高回転にバルブ挙動低下要因として、カム角速度変動が
あるそうです。
ようするにギアトレインとの共振によるカムシャフトがカム駒間で
ネジレが発生してカムシャフト回転に回転ムラがでるとの事です。
回転ムラが出ると高回転時に設計通りにバルブが開かなくて
パワーが出ないんですね。
そこで対策したのが2枚目の写真で、カムシャフトの反対側に
比重の重いタングステンのマスをつけて
慣性モーメントを大きくすることで、共振周波数を低回転側にずらし
角速度変動を低減したと書いてます。
ちなみにマスというのは重りのことです。
簡単にいうとエンジンにつけるフライホイールと同じですね
あれもエンジンの回転ムラを抑える為の物です。
コレで1500rpm向上と6Kwのフリクション低減できたそうです。
次に写真はさらに進んだもので、角速度の変動がカムシャフト後端に
多いことから、マスつきの後端が開放端であるのが原因と考え
カムシャフトの前後端をギア連結した物です。
これによってさらにカムシャフトの角速度変動が抑えられ
さらに、比重の高い(重い)タングステン合金のマスを
鉄製のギア置きかえ、カムシャフト軸も中空化を拡大することに
よりバルブ挙動を抑えながら2㎏の軽量化を実現したそうです。
カムシャフトの中空化というのはカムシャフトの中が空洞になってる
もののことです。
このあとカムシャフトにビスカスダンパ(3枚目右側)を取り付けた
ものを開発したけど撤退により実戦には投入できなかったそうです。
T社のエンジンにはマスタイプのダンパがついていましたね。
インディには投入されていたそうで、コスワースが最初に考えたて
売り込みに来たそうです。
いやぁ~面白いですよね。
エンジンっていうと重箱の隅をつっつくような
地味な改良しかないのかと思っていたんですが、かなりいろんな事
やってるんですね。
カムシャフトのマス(重り)とか普通つけないと思いますよね。
回転数が19000回転だとしたら、その半分の9500回転で回って
るんだし、加減速もすごいからより軽量化する方向だと
思いますよね。
なかなか勉強になります。
今は不況でレース事態が下火になり、さらに外注化で
設計はしても製作は外注だったりして、日本の技術が
ドンドン無くなっていく気がします。
お金はかかるけど、レースは宣伝だけでなく技術の向上を
目指して参加してもらいたいです。
ってことでかなり長文になってしまいました。
デハデハ♪